たいじきのうふぜん

胎児機能不全

同義語
NRFS
俗称/その他
胎児ジストレス
最終更新日:
2023年12月28日
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2023/12/28
更新しました
2017/04/25
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概要

胎児機能不全とは、妊娠中や出産中に胎児の状態に何らかの問題がある、もしくは生じる可能性があることを指します。一方で、胎児機能不全は必ずしも胎児の状態が悪くなっているということを意味するのではなく、検査上胎児に正常ではない結果が見つかることで“胎児が安全と言い切れない状態”を指します。中には、脳性麻痺(のうせいまひ)や子宮内胎児死亡などにつながり得る胎児の低酸素血症が起こっているケースもあるため、胎児機能不全と考えられる場合は妊娠中の管理方法や分娩方法などを慎重に決めていくことが求められます。

通常、胎児の状態は分娩監視装置という機器を用いて、連続的に胎児の心拍数と子宮収縮を記録することにより判断します(胎児心拍数陣痛図、CTG)。陣痛がないときの検査はノンストレステスト(NST)と呼ばれます。

原因

胎児機能不全とは、妊娠中や出産中の検査で胎児に何らかの異常がみられ、胎児が安全と言い切れない状態を指します。

原因は母体と胎児のいずれにも生じ得ます。具体的には、妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病、過期妊娠など母体の異常による母体因子、胎児発育不全、双胎間輸血症候群など胎児の異常による胎児因子が挙げられます。

そのほか、妊娠や出産に重要となる胎盤、臍帯(さいたい)(へその緒)、子宮の異常も胎児機能不全の原因となります。具体的には、絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)、胎盤機能不全などの胎盤因子、臍帯脱出、臍帯圧迫などの胎盤因子、過強陣痛子宮破裂などの子宮因子が挙げられます。

症状

胎児機能不全は胎児が安全と言い切れない状態を指し、何らかの理由により胎児が低酸素状態になっている可能性なども考えられます。

母体の自覚症状の現れ方は、胎児機能不全の原因にもよります。たとえば常位胎盤早期剝離の場合は、強い下腹部痛や出血がみられる場合があります。そのほか、胎児の状態によっては胎動の減少を自覚する場合もありますが、必ずしも症状が現れるとは限りません。

検査・診断

胎児機能不全は、妊娠中や出産中に胎児の状態を評価する検査に何らかの異常がみられる状態のことを指します。具体的には以下のような検査で胎児機能不全か否かを判断します。

胎児心拍数モニタリング

腹部にセンサーを巻いて胎児の心拍数と子宮収縮の状態から胎児の状態を評価する検査です(CTGもしくはNSTと呼ばれる)。胎児機能不全の多くはこの検査によって評価されます。胎児の心拍数が遅かったり、心拍数の変動が多かったりした場合は、胎児機能不全の可能性が疑われます。

超音波検査

超音波検査にて胎児の動きや大きさ、羊水の量などから胎児の状態を評価することもあります。また、超音波検査では胎児の血流の状態を評価できるドップラー検査をすることもできます。胎児の元気度を胎児心拍数陣痛図と超音波の検査を組み合わせて点数化して、総合的に評価する方法(Biophysical Profile Score:BPS)も重要となります。

血液検査

血液検査のみで胎児機能不全の診断を下すことはできませんが、母体の全身状態を調べるために血液検査を行うこともあります。

治療

胎児機能不全は、必ずしも胎児の状態が悪化していることを意味するわけではありません。そのため、検査上で何らかの異常がみられた場合でも、特別な治療は必要ない場合もあります。一方、母体や胎児、胎盤などに明らかな異常が認められる場合、母体と胎児の救命のために急速遂娩といって器械分娩(吸引分娩や鉗子分娩)や緊急帝王切開を行うことが必要となります。

また、分娩時に胎児機能不全が疑われた場合は、陣痛抑制薬を使用して胎児が酸素不足に陥ることを一次的に防ぐ場合もあります。

予防

胎児機能不全はさまざまな病気が背景にある可能性があり、確立した予防法はないのが現状です。しかし、胎児機能不全の中には母体や胎児の命に関わる重篤な病気が含まれている場合があります。決められた妊婦健診を受けて母体や胎児の状態を把握し、連続するお腹の張りや痛み、不正出血などの症状がある場合はできるだけ早めに医師に相談することが大切です。

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