のうせいまひ

脳性麻痺

最終更新日:
2022年08月02日
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2022/08/02
更新しました
2017/04/25
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概要

脳性麻痺とは、受胎から生後4週間までの間に生じた脳の損傷によって脳機能が障害され、体が不自由になる後遺症のことです。

脳は手足を動かしたり(運動機能)、皮膚の感覚を感じ取ったり(感覚機能)、言語や記憶、思考などをつかさどったり(高次機能)しているため、脳が損傷するとこのような機能が障害されてさまざまな症状が現れます。

どのような症状が現れるかは損傷部位によって異なり、損傷部位に応じて、筋肉がこわばる“痙直型(けいちょくがた)”、手足が勝手に動く“アテトーゼ型”、体のバランスが悪くなる“運動失調型”、2つ以上の型が混在する“混合型”などに分類されます。

脳性麻痺に対する根治的な治療はありませんが、症状の軽減にリハビリテーションや薬物療法、手術などが有効な場合があります。

原因

脳性麻痺は、胎生期、分娩中、出生時、出生後のいずれかの時期に脳が損傷することで生じ、脳が損傷する主な原因として酸素欠乏、感染症、脳血管障害、核黄疸(かくおうだん)が挙げられます。

感染においては妊娠中の風疹(ふうしん)トキソプラズマ症サイトメガロウイルス感染症ジカウイルス感染症が原因になることもあります。

核黄疸とは、新生児に生じた黄疸の程度が強く、黄疸を引き起こすビリルビンによって脳が障害される病気です。特に未熟児に起こることが多いといわれています。

そのほか、遺伝子異常による脳の形態異常や、出生後の頭部外傷髄膜炎(ずいまくえん)敗血症、重度の脱水などが原因となって脳性麻痺が生じることもあります。

症状

脳性麻痺の主な症状には、手足の麻痺、体が硬くなる、反り返りが強くなる、手足が不随意に動く(不随意運動)、バランスが悪くなる、知的発達障害嚥下障害(えんげしょうがい)などがあります。そのほか、視覚障害てんかん、情緒の問題がみられることもあります。

脳性麻痺は損傷部位に応じて痙直型、アテトーゼ型、運動失調型、混合型などに分類され、型によって典型的な症状が異なります。

痙直型

痙直型の主な症状は、筋肉のこわばり(痙直)と筋力の低下です。筋肉のこわばりは体のさまざまな部位に生じ、両手・両足に起こることもあれば(四肢麻痺)、片側の手足(片麻痺)や、両足のみ(対麻痺)に起こることもあります。

また、痙直型では視覚障害を伴うことや、四肢麻痺がある子どもではけいれんや嚥下困難、知的発達障害を伴うことが多くあります。

アテトーゼ型

アテトーゼ型では、自分の意思とは関係なく手足や体幹の筋肉が勝手に動く不随意運動(アテトーゼ)がみられ、不随意運動は強い感情によって激しくなる傾向があります。

一般的に知能は正常ですが、言葉をうまく発音できない構音障害や、核黄疸が原因の場合には難聴がよくみられます。

運動失調型

体の動きを調整する機能が障害されることで、動きをうまく合わせられず、体や手足が震えるような動きが出たり、体のバランスが悪くなったりします。これらによって、早い動作や細かな動作など正確な動きが困難になり、歩調が不安定になります。

混合型

混合型は上記の型を2つ以上併せ持つタイプで、痙直型とアテトーゼ型が混合することがほとんどです。それぞれの典型的な運動障害のほか、重度の知能障害を伴うこともあります。

検査・診断

成長するにつれて首の据わり、ハイハイ、歩行などの運動発達の遅れや、運動障害が目立つようになるため、このような所見があると脳性麻痺を疑います。

次に頭部CT検査や頭部MRI検査が行われ、通常これらの画像検査によって原因を特定することができます。必要に応じて、血液検査や神経伝達検査、筋電図検査、遺伝子検査などが行われることもあります。

治療

脳性麻痺を根治させる治療法はないため、リハビリテーションが治療の中心となります。型によってリハビリのアプローチの仕方が変わってきますが、一般的には発育に応じた運動機能の発達を促す訓練が行われます。

また、生活上の不自由をサポートする目的で、足の装具や杖、食事を円滑にする自助具、安定した座位を得るための座位保持装置、車椅子などを用いた装具療法が行われることもあります。

脳性麻痺の患者の中には、筋肉の緊張が異常に高まることで筋肉がつっぱったりして手足の動きが悪くなる痙縮がみられる人もいます。痙縮の軽減には薬物療法やボツリヌス毒素筋注療法、バクロフェン持続髄注療法、手術が有効な場合があるため、痙縮がある患者にはこのような治療が検討されることもあります。

また、けいれんなどを起こすてんかんを合併することもあり、その場合は抗てんかん薬の内服を必要とすることもあります。

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