概要
構音障害とは、口や舌、声帯など声を出すのに重要な役割を果たす部位に障害が生じ、うまく発声ができなくなった状態を指します。
構音障害の原因は多岐にわたり、脳卒中や筋ジストロフィー、パーキンソン病や頭部外傷などが原因となることもあります。
また、原因によっては発声だけでなく、嚥下(食べ物などを飲み込むこと)などにも支障をきたすことがあります。
原因
声を正しく発声するには、口や舌、声帯の動き、息の吐き方など多くのステップが秩序だって行われる必要があります。こうしたステップに異常が生じることで、構音障害が引き起こされます。
構音障害を来す神経・筋の原因別分類を以下に示します。
筋肉の動きを制御する脳の部位。
(2)小脳梗塞や小脳出血、小脳中部の神経膠腫、脊髄小脳変性症の場合
小脳:小脳は大脳と脳幹の間にあり、体の各部の動きを協調させています。
(3)脳卒中、頭部外傷、ハンチントン病の場合
基底核:大量の神経細胞が集まった部位であり、動きを協調させたり滑らかにしたりするのを助けています。
(4)脳幹梗塞、頭部外傷の場合
脳幹:脳幹は、呼吸に使われる筋肉や発声に使われる筋肉を制御しています。
(5)脳卒中、パーキンソン病の場合
大脳の外層(大脳皮質)と脳幹をつなぐ神経線維:このような神経線維は、唇、舌、口蓋、声帯などの発話に使われる筋肉を制御して協調させるために必要な情報を伝えます。
(6)重症筋無力症など
神経筋接合部:神経と筋肉との連結部を神経筋接合部といいます。
(7)多発性筋炎や筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)、口蓋裂など
口腔咽頭輪筋群:鼻咽腔や喉頭周囲の筋肉群であり、発声に重要な働きをする筋肉群です。
このいずれの部位に障害があっても、構音障害として表れてきます。
症状
構音障害では、正しい発音ができなくなってしまうことがあり、「がっこう」が「だっこう」となるなど、特定の音がうまく出なくなることがあります。
また、話すスピードが遅くなったり、抑揚がうまくつかなかったりといった症状をみることもあります。声がうまく出せず小声になってしまうことや、逆に声が大きくなってしまうこともあります。
構音障害を生じると、うまく自分の言いたいことが相手に伝わらないこともあります。このことから、円滑なコミュニケーションが困難になることもあり、フラストレーションが蓄積して気分の落ち込みなどを自覚することもあります。
また、原因によっては、同時に飲み込みにも支障をきたすことがあります。そのため、誤嚥(食べ物などが誤って喉頭と気管に入ってしまうこと)を起こしやすいこともあり、咳や痰、呼吸障害、発熱などの症状がみられることもあります。
検査・診断
構音障害では、原因を特定するための検査が検討されます。具体的には以下のような検査です。
- 画像検査:頭部CTやMRIなどにより、脳卒中や脳腫瘍などといった中枢神経系の異常を調べます。
- 髄液検査:脳の周りに存在する髄液を採取し、髄液を詳細に評価する検査です。こちらも中枢神経関連の異常を調べるために有益です。
そのほかにも、聴力検査、血液検査、筋生検、遺伝子検査などが行われることもあります。
また、どのような音が苦手なのか、唇や舌などの動きが正常かどうか、言葉に対しての理解は正常であるかどうかなどの評価も行われます。
実際にどの検査を受けるかどうかは、疑われる病気や重症度などによってさまざまです。
治療
構音障害の治療は、原疾患の治療を行うことに加えて、リハビリテーションが重要です。リハビリテーションを通して、発声の練習、口回りの筋肉の運動などを行います。
これらの訓練を行うことで、残された機能を最大限活用して、日常生活における支障を軽減することを目的とします。また、嚥下機能に問題を抱えることもあるため、飲み込みに対しての訓練を行うこともあります。
そのほかにも、ゆっくりと話をできるよう、プレッシャーとならないようになど話を聞く姿勢に周囲の方が気を配ることも重要です。
また、原因疾患によってはより根本的な治療方法が選択されることもあります。たとえば、口蓋裂であれば手術的な治療が検討されますし、パーキンソン病であれば内服薬の使用が検討されます。
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