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トキソプラズマ症

最終更新日:
2022年08月03日
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2022/08/03
更新しました
2017/04/25
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概要

トキソプラズマ症とは、寄生虫の一種である“トキソプラズマ”に感染することによって引き起こされる病気です。トキソプラズマは自然界に広く存在しており、主に私たちの感染源となるのはトキソプラズマに汚染された肉類や猫などペットの糞便とされています。

しかし、トキソプラズマ症は健康な人が感染しても症状がないことも多く、仮に症状が出た場合でも軽度な発熱、倦怠感、リンパ節の腫れなど一般的な風邪のような症状のみで自然に回復します。一方で、妊娠中の女性が感染すると胎児にも感染を起こし、“先天性トキソプラズマ症”を発症することもあるため注意が必要です。

現在のところ日本でトキソプラズマ症に保険適用される治療薬はなく、現れた症状を改善するための対症療法が行われます。

原因

トキソプラズマ症はトキソプラズマという寄生虫に感染することによって発症する病気のことです。

トキソプラズマは自然界に広く存在する寄生虫であり、ヒトを含む多くの動物に寄生します。そして、トキソプラズマに感染した動物の肉を口にしたり、感染した動物の便に含まれるトキソプラズマが口の中に入り込んだりすることで感染が広がっていくと考えられています。特に猫は体内でトキソプラズマが増殖しやすく、便に多くのトキソプラズマが排出されるため感染源になりやすいとされています。

また、トキソプラズマは加熱に弱い性質があるため、生肉、生ハムやしっかりと火が通っていない豚などの肉類を口にすることでヒトに感染します。そのため、フランスなど生肉を食べる習慣がある国はトキソプラズマの感染率が高いとのデータもあります。

症状

トキソプラズマに感染したとしても健康に問題がない人であれば多くが無症状であるとされています。まれに、発熱、倦怠感、リンパ節の腫れなどの軽度な症状が引き起こされることがありますが、自然に回復していくことがほとんどです。

一方、免疫力が低下している場合、初めての感染では健康な人と同じく症状が現れにくいとされていますが、すでに感染して体内に潜んでいるトキソプラズマが免疫不全状態で活性化して“トキソプラズマ脳炎”を引き起こすケースが知られています。トキソプラズマ脳炎を発症すると意識障害、けいれん、神経麻痺などの症状が現れて命を落とすケースも少なくありません。

また妊娠中にトキソプラズマに感染すると胎盤を通して胎児に感染し、胎児が視力障害・脳内石灰化・水頭症・精神運動機能障害がみられる“先天性トキソプラズマ症”を発症する可能性があります。

検査・診断

トキソプラズマ症は多くの場合、症状が現れないため感染に気付かないケースも少なくありません。しかし、何らかの症状があってトキソプラズマ症が疑われるときは次のような検査が行われます。

血液検査

トキソプラズマに対する抗体の有無を調べるために血液検査が行われます。また、症状がある場合は炎症の有無や程度を評価するために必要な検査でもあります。

画像検査

トキソプラズマ脳炎などの疑いがある場合には、詳しく状態を調べるためにCTやMRIなどによる画像検査が必要となります。

治療

トキソプラズマ症に対して海外では複数の抗菌薬が使用されています。しかし、日本では未承認の薬剤や保険適用とならない薬剤であるため、必要な場合は自費診療による治療が行われているのが現状です。

また、トキソプラズマ症は健康な人が感染してもほとんど症状が現れませんが、発熱など強い症状が現れたときはそれぞれの症状を緩和させるための対症療法が行われます。

予防

トキソプラズマ症を予防するにはトキソプラズマへの感染を避けることが大切です。

トキソプラズマへの感染を予防するには、猫の糞便を処理するときや糞便が混入している可能性がある土に触れるときは手袋を着用し、終了後に手洗いを徹底することが大切です。また、トキソプラズマは火が通っていない肉を介して感染することもあるため、特に妊娠中や免疫力が低下している場合は生肉に直接触れるのはできるだけ避け、肉類は中までしっかり火を通しましょう。さらに、生肉が付着したまな板や包丁などの調理器具は丁寧に洗浄し、生食するサラダなどの食材の調理に使い回さないことも大切です。

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