ていおうせっかい

帝王切開

目次

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概要

分娩の方法には、大きく2つあります。

  • 自然分娩(経腟分娩)
  • 帝王切開術

帝王切開とは、メスで皮膚や子宮などを切開して赤ちゃんを直接取り出す分娩方法です。自然分娩(経腟分娩)ではお母さんもしくは赤ちゃんの健康状態について危険性が高いと判断された方に実施します。

帝王切開が適応されるのはどんなとき?

帝王切開は、女性や赤ちゃんのトラブル・合併症により経腟分娩(自然分娩)の出産は危険と医師が判断した場合に実施します。また、最初は経腟分娩(自然分娩)で分娩しようとしていた場合でも、途中から帝王切開に切り替わることもあります。

1) 母親側の理由によって帝王切開をするケース(一例)

  • 児頭骨盤不均衡
  • 前置胎盤
  • 子宮破裂
  • 重症妊娠高血圧症候群
  • 常位胎盤早期剥離
  • 分娩停止
  • 遷延分娩

2) 赤ちゃん側の理由によって帝王切開をするケース(一例)

  • 胎児機能不全
  • 臍帯脱出
  • FGR(胎児発育不全)
  • 早産
  • Preterm PROM(妊娠37週未満で生じる前期破水)
  • 多胎分娩

※帝王切開を実施するかどうかは、赤ちゃんや女性の状態などから医師が総合的に判断します。そのため、上記に該当する方が必ず帝王切開で出産するということではありません。

帝王切開術の合併症

帝王切開は、経腟分娩に伴うリスクを低下させるために行われます。しかし帝王切開そのものにもリスクがあることを十分認識しておきましょう。

大量出血

手術中の予期せぬトラブルによって、輸血が必要になるほどの大量出血をおこすことがあります。出血が止まらず生命の危険が及ぶ場合には、稀ながら子宮摘出術が必要になる可能性もあります

感染症

感染症にかからないように、術前に消毒をしたり、抗生剤を使用しますが、残念ながら感染症のリスクはゼロではありません。術直後は、手術の影響で熱がでることがありますが、術後数日してから発熱するようであれば、感染症を疑う必要があります。

血栓症

帝王切開では手術自体の体への負担や、術後の安静が必要であることから、血栓(血の塊)が深部の血管に詰まってしまう深部静脈血栓症や、血流にのった血栓が肺に達して血管を詰まらせる肺血栓塞栓症などのリスクが増加します。

腸閉塞

手術と麻酔によって、腸の動きは鈍くなります(麻痺)。また、時間が経つと腸が周りの腸や子宮、お腹の壁などと癒着してきます。そういった麻痺や癒着によってガスや便が出ず、お腹が張って、痛くなる状態を腸閉塞といいます。

上記の血栓症と腸閉塞の予防のために必要なことが、「早期離床」です。術後は薬物を利用することで痛みを取って、早く十分に歩きましょう!!!

治療

流れ

以下のような流れで、手術が行われることが一般的です。

麻酔→消毒→腹壁切開→子宮切開→胎児娩出→胎盤娩出→子宮筋の縫合→腹壁縫合

1) 麻酔

手術は当然痛いため、麻酔をします。麻酔にも色々な種類がありますが、通常は「脊椎麻酔(+硬膜外麻酔)」が行われます。

a) 帝王切開術のための麻酔

  • 脊椎麻酔(腰椎麻酔):一般的に意識は保たれ、痛みだけでなく、下肢も動かなくなります。
  • 硬膜外麻酔:術中の麻酔としては一般的ではないですが、術後の痛みを和らげるためにも使用可能です。
  • 全身麻酔:全身の痛みを取ることができ、意識もなくなります。脊椎麻酔よりも早く麻酔ができるため、緊急時に主に使用されます。

b) 術後鎮痛のための麻酔

  • 硬膜外麻酔

2) 消毒

感染症予防のため、消毒を行います。

3) 腹壁切開

腹壁を切開(皮膚の切開)を行い、腹腔内に到達します。

切開の方法には、縦と横があります。従来、おなかを切るのは縦が一般的でしたが、最近は美容的な意味から横切開となってきました。縦切開はどうしても傷が目立ちますが、前置胎盤などで子宮全摘術が必要となる場合などで手術野を広く取りたいときは縦切開のほうが便利です。

4) 子宮筋層の切開

昔は、子宮のど真ん中を切開しておりましたが、現在は、子宮の下節といわれる部分を切開しています。理由は、最も子宮の壁が薄くなっていて、子宮筋層のダメージを減弱できるためです。

5) 胎児娩出→胎盤娩出

これで、赤ちゃんの通り道ができたので、赤ちゃんを子宮外へ出し、臍帯(へその緒)をハサミで切断し、赤ちゃんを助産師さんに託します。胎盤を娩出します。

6) 子宮筋の縫合→腹壁縫合

切開した子宮の筋層と腹壁を縫合して、手術終了です。