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肺炎(こども)

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概要

肺炎は、肺に炎症が生じ、咳や痰などの症状が出現する病気のことです。子どもの場合、ウイルスや細菌等の感染症の一側面として発症することが多く、そのほか、薬剤や膠原病(こうげんびょう)などが原因となって発症することもあります。

子どもに多い感染症をきっかけとした肺炎は、日本のみならず世界の多くの国で見られる病気です。世界において90万人以上の5歳未満の子どもが肺炎のために命を落としていると推定されており、子どもの全死因の15%以上を占めるほど重要な病気です(2015年度)。特に、予防接種や抗生物質等の医療環境が整備されていない発展途上国においては、その傾向が強いと考えられます。

日本においては、予防接種や抗生物質、生活環境の整備などもあり、死亡率は高くはありません。しかし、それでもなお一般小児科診療においてよく見る病気であることには変わりません。また、中には入院を余儀なくされることもあり、看病をする親御さんに与える影響も大きいです。さらに、近年は抗生物質に対して効きが悪い病原体(耐性菌)が増加していることから、対策を講じることが必要な病気として考えられています。

原因

肺炎の原因は大きく、感染性と非感染性(薬剤や膠原病関連など)に分けることができます。子どもの肺炎の多くは感染性肺炎であり、年齢に応じて病原体が異なることが特徴です。

新生児期

母体からの出生過程を反映して(ちつ)周囲に存在する菌が原因となることが多いです。具体的には、B群溶連菌や大腸菌などの菌を挙げることができます。

新生児期以降~3歳

より密接に家族と接するようになるため、大人でもよくみられる一般的な風邪のウイルスであるライノウイルス、RSウイルス、インフルエンザなどによるものが多くなります。また、細菌性の中でも、環境中に存在するインフルエンザ菌、肺炎球菌などに関連した肺炎(市中肺炎)も多くなります。

5歳以上

この年齢になると、インフルエンザ菌や肺炎球菌による肺炎は少なくなります。その代わりにマイコプラズマなどによる肺炎が多くなります。

こうした疫学的な特徴はとても大切であり、予防接種開始時期の決定や抗生物質の選択にも重要な情報となります。また、黄色ブドウ球菌肺炎も生じるようになります。これは年齢にかかわらず生じる肺炎であり、耐性菌の問題や重症化しやすいなどの特徴から、より一層の注意が必要な病原体です。

症状

子どもの場合でも、発熱に加えて、鼻水・咳・多呼吸などの一般的な呼吸器に関連した症状が現れます。しかし、食欲低下・胸痛・腹痛・嘔吐など、肺と関係のなさそうな症状が現れる場合もあります。

年齢や病原体の種類によって、症状が若干異なることもあります。たとえば、乳児期早期に発症するクラミジア関連の肺炎においては、必ずしも熱がでるわけではありません。また、咳そのものがとても激しく、呼吸がとても早くなる傾向にあります。そのほか、マイコプラズマ肺炎においては、肺炎以外に種々の合併症を生じることもあり、それら合併症に関連した症状が全面に出ることもあります。具体的には髄膜炎(ずいまくえん)頭痛や嘔吐)、ギランバレー症候群(手足の麻痺(まひ))、発疹などです。

検査・診断

肺炎は熱の推移、呼吸症状、聴診所見などから総合的に判断して診断します。この検査をすれば肺炎と確定されるというものはありません。入院が必要なほど重症の肺炎であれば、肺炎とみられる影があるか、縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)心不全などほかの病気でないかをレントゲンで確認する必要があります。

また、肺炎に関連した病原体は多岐に渡ることもあり、肺炎を引き起こしている病原体を確定するために、痰や血液を用いた培養検査を行うこともあります。この検査では、原因となっている菌に対して抗生物質の効果があるかどうかを判定することもできます。

インフルエンザウイルスを始めとして、一部のウイルス疾患に対しては迅速検査が行われることもあります。また、マイコプラズマ検査においも迅速検査を行うことができます。そのほか、血液検査でマイコプラズマに対しての抗体検査を行うこともあります。

治療

子どもの肺炎の治療は、原因や重症度に応じて大きく異なります。ウイルス性に伴う肺炎が疑われ、呼吸器症状がさほど重症ではない場合においては、解熱鎮痛剤を始めとした対症療法で経過を見ることもあります。ウイルス性の中でも特異的な治療対象になりうるのは、インフルエンザウイルスです。インフルエンザウイルスに対しては、肺炎の重症度によっては抗ウイルス薬が適応になることもあります。しかし、薬による副作用の懸念(異常行動など)もあるため、使用に際しては注意が必要です。

また、病原体によっては抗生物質が適応になることもあります。外来治療で抗生物質を処方する場合は、お子さんの年齢や臨床経過、身体所見などを加味して使用する薬剤を決定します。たとえば、肺炎球菌やインフルエンザ菌が疑われる場合にはペニシリン系やセフェム系等の薬剤が使用されます。マイコプラズマやクラミジアが疑われる場合においては、マクロライド系を中心に使用されます。これら薬剤は、病原体によっては効果がまったくないこともあるため、慎重な治療薬選択が必要です。

入院時においては、内服薬の使用ではなく、多くの場合点滴にて抗生物質が投与されます。外来では、血液検査や培養検査などの併用も行いながら、より適切な治療方針決定を行っていきます。脱水や呼吸状態が非常に悪い場合などでは、適宜(てきぎ)点滴による水分補給や酸素などの補助療法も行われます。

肺炎については、ワクチン接種にて予防が可能なものもあります。乳児期であれば、肺炎球菌やインフルエンザ菌に対するワクチンが使用可能です。また、インフルエンザワクチンの使用も、肺炎の予防に対しての効果が期待できます。

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