Img searchbox
脳

せん妄

目次

せん妄とは

せん妄とは、軽度から中程度までの程度で意識水準が低下し、時間や場所がわからない、睡眠リズムが崩れる、支離滅裂な独り言を話す、注意力や思考力が低下する、などの症状をみるようになった状態を指します。

せん妄は高齢者にみられることが多い状態であり、認知症やうつ病と間違われることもあります。症状は突然に急性発症し、夜間に増悪する傾向にあります。適切な治療介入を行うことで、数日から数か月の間に可逆的に改善することが期待できます。しかし、せん妄状態であると気付かずに適切なタイミングで治療介入をすることができないときには、神経系の後遺症を合併することがあり、最悪の場合は死に至ることもありえます。

原因

せん妄の原因は単一のものではなく、複数の要因が組み合わさることで発症します。特に年齢(60歳以上)は大きな危険因子となり、ベースにアルツハイマー病などの脳疾患が存在することもせん妄の発症に関わります。こうした危険因子がある状況で、手術を受けICU(集中治療室)に入る、病院に入院して普段の生活環境と変わる(心理的ストレス、身体的ストレス、拘束など)、など日常とは異なる環境に曝されると、堀一層せん妄が発症しやすい状況に陥ることになります。

さらに、中枢神経系に作用する薬剤投与(抗コリン薬や抗不安薬、睡眠薬、ステロイドなど)、依存性薬物からの離脱(入院に伴う強制的な禁酒など)、感染症に罹患する、などの状況が直接的な因子となりせん妄が発症します。このなかでも薬物は直接的な誘因としては頻度が高く、せん妄全体の10-20%においての誘因となっていると報告されています。

症状

せん妄では、意識に関連したさまざまな症状を呈するようになります。なかでも中心的な症状ともいえるのは、注意力の低下や、時間・場所・人に対しての認識が低下することです。一見すると意識は鮮明にみえますが、ぼーっとした感覚のなかで起きており、場にそぐわないような発言をするようにもなります。また、支離滅裂な言葉を発して周囲を困惑させることもあります(たとえば、来る予定がないにも関わらず、その人がお見舞いにきてくれるなど)。さらに、幻覚(壁の絵が動き出すなど)や錯覚(点滴のラインが蛇にみえるなど)、妄想(来る予定がないにも関わらず、誰かがお見舞いにきてくれることになっているなど)などの症状も出現します。日中は穏やかだが、夜間になると攻撃的になることもあります。

せん妄に関連した症状は短期間のうちに出現し、一日のなかでも変動を示すことが特徴的です。特に、周囲からの刺激が少なくなる夜間において症状が増悪する傾向にあります。

せん妄は高齢者に起きることが多く、認知症として間違われることもあります。ただし、認知症では発症がより緩徐であり、慢性的に進行します。せん妄はしっかりとした治療介入を行うことで可逆性を期待することができますが、認知症は基本的には進行性です。こうした観点から、両者は鑑別されることになります。

検査・診断

せん妄は、注意力や見当識における軽微な変化をもとにして疑われることになります。一見すると意識ははっきりしているため、せん妄を発症しているかどうかを明確に判断するには、注意深く病歴を聴取・観察することが必要不可欠です。またアルコールの突然の中断、中枢神経系に作用する薬物の摂取などもせん妄の誘因リスクになるため、詳細な飲酒歴や内服歴を聴取することも重要です。

せん妄は、感染症や心疾患(急性心筋梗塞など)、頭蓋内病変(慢性硬膜下血腫など)、代謝疾患(脱水や低血糖など)などが直接的な原因となっていることもあります。こうしたことを評価するために、血液検査、尿検査、心電図検査、レントゲン検査、頭部CTやMRIなどが適宜行われます。

治療

せん妄の治療は、基本的にはせん妄を引き起こしている直接的な原因に対してのアプローチが必要になります。たとえば、薬物が原因でせん妄になっている場合には、原因となった薬物を可能な限り減量・中止することが求められます。また、感染症や脱水などが原因となっていると考えられる場合には、抗生物質や輸液などで対応することになります。

せん妄は、入院中の高齢者に発症することも多いです。入院をすることは普段の生活スタイルとは変化することを意味しており、せん妄が生じやすい環境にあるといえます。そのため、せん妄を発症しないように、できるだけ日中から声かけをするなどの刺激を加えることが重要です。その一方、夜間にはしっかりとした睡眠が取れるように、早い段階で就寝できるように生活リズムを整えることが重要となります。

せん妄を発症して夜間の興奮が強く睡眠が出来ない場合には、ハロペリドールやリスペリドンなどの薬剤を用いて興奮を抑える治療が行われます。ただし、せん妄の治療においてはこうした薬物療法に頼りすぎるのではなく、発症させないように環境を整える姿勢がとても重要であると言えます。

病気検索に戻る