概要
タバコ誤飲とは、タバコやその吸い殻、これらを含む液体を誤って経口摂取してしまうことを指します。タバコに含まれるニコチンが体に多量に摂り込まれると、自律神経系の活動に影響が及び、さまざまな症状が起こります。
タバコ誤飲は、小さなお子さんや認知症のある高齢者のいるご家庭などで起こることが想定されるため、注意が必要です。
原因
誤飲の原因は、タバコやその吸い殻を含むものを経口摂取してしまうことです。
状況
タバコを食べた場合は、苦味を感じるため、ほとんどの方はすぐにはき出すことができます。そのため、中毒症状が現れることはめったにありません。しかし、水に浸ったタバコやその水を誤って飲んでしまうと、小さなお子さんにとっては致死量になるほどの毒性を生じる可能性があります。特に喫煙する保護者の方々にとっては注意が必要です。
メカニズム
タバコの吸い殻にはニコチンという神経伝達物質が含まれています。ニコチンが多量に取り込まれると、体の仕組みを調節している自律神経系の活動が異常に活発になり、さまざまな症状が現れます。
症状
主な症状
吐き気やおう吐、下痢のような消化器系の症状と、心拍数の上昇や動悸などの循環器系の症状、また気分不快や意識障害のような神経系の症状などが現れます。
より重症になると、けいれんや麻痺、不整脈や低血圧、呼吸停止などにより命に危険が及ぶこともあります。
症状が現れるまでの時間
タバコそのものを食べてしまった場合には数時間以内、水に浸ったタバコを食べてしまった場合はこれより早く症状が現れると考えられます。また、吸い殻が入っている液体を飲んでしまった場合には数十分以内に症状が現れます。
検査・診断
問診
患者さんや保護者の方からの詳しい情報がとても重要となります。以下の情報を医師に詳しく伝えましょう。
- タバコを食べてしまった時間や状況
- その後吐き出したのかどうか
- タバコは固形物であったのか、吸い殻の入っていた液体であったのか
- タバコの種類や本数
など
検査
問診で必要な情報を把握したうえで、全身の臓器障害がないかどうかを調べるため、血液検査や心電図などの検査が行われます。
このほか、意識障害がある場合に、他の病気ではないことを確認する目的で頭部CT検査が行われることがあります。
治療
家庭で気をつけること
ご家庭では、飲み込んだ物を無理に吐かせてはいけません。気管のほうに飲んだ物が入る誤嚥のおそれがあります。
吸い殻を入れていた液体を飲んでしまった場合や、固形物を食べたあと何らかの症状がみられたりした場合には、医療機関の受診が必要です。
医療機関での治療
医療機関では、中毒に対する一般的な処置、胃洗浄や活性炭などの投与が行われます。また、重症度に応じて呼吸や循環の管理が行われます。最も重症な場合には、人工呼吸器や循環補助薬を用いた集中治療が必要となります。
医師の方へ
「タバコ誤飲」を登録すると、新着の情報をお知らせします