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歯が痛い場合のむし歯の状態とは〜放置しても進行が止まったり、自然治癒したりすることはない〜

歯が痛い場合のむし歯の状態とは〜放置しても進行が止まったり、自然治癒したりすることはない〜
横瀬 敏志 先生

明海大学 歯学部 保存治療学分野 教授

横瀬 敏志 先生

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むし歯は“う蝕“とも呼ばれ、むし歯菌が作り出す酸が歯の表面を徐々に溶かしてしまう病気です。進行するとやがて痛みを感じるようになります。特に、むし歯が歯の神経にまで達したときの痛みは強烈で、夜も眠れないほどの痛みを感じることもあります。しかし、むし歯がはじめからこのような痛みを引き起こすわけではありません。

それでは、むし歯が痛い場合、歯はどのような状態にあるのでしょうか。詳しく解説します。

虫歯 痛い

歯は三層構造を成しており、歯の表面からエナメル質、象牙質、歯髄(しずい)に分けられます。むし歯ができてもはじめのうちは痛みを感じることはありません。痛みを感じ始めるのはむし歯がある程度進行し、象牙質や歯髄に達した段階です。

むし歯が象牙質に達すると痛みを感じ始めます。この痛みは持続的なものではなく、一般的には温かいものや冷たいもの、甘いものを食べたり飲んだりしたとき、または歯磨きの際などに物理的な刺激が加わることで生じます。

歯髄は歯の中心部分にある構造であり、神経や血管の集まりです。歯髄にむし歯菌が感染すると歯髄炎と呼ばれる症状が起こり、痛みを生じます。歯髄炎の痛みの感じ方はむし歯を除去すれば正常な状態に回復する“可逆性歯髄炎“と、むし歯を除去しても回復が困難な“不可逆性歯髄炎“の場合で異なります。可逆性歯髄炎であればむし歯を取り除いてしばらくすれば痛みが治まりますが、不可逆性歯髄炎ではむし歯を取り除いても痛みが続くようになります。

むし歯の痛みを一定期間放置すると一時的に痛みが治まる場合があります。

これは歯髄炎が治癒したのではなく、炎症が続いたことで歯髄が壊死(えし)して痛みを感じなくなったためです。この状態をさらに放置すると感染が歯根の先端にまで達し、歯根の周囲の組織に炎症を起こす“根尖性歯周炎“や歯根のまわりにがたまる“根尖膿瘍(こんせんのうよう)“に進展します。すると再び強い痛みを感じるようになり、場合によっては治療が困難となり抜歯が必要になることも考えられます。

ごく初期のむし歯であれば唾液の力で再石灰化するといわれています。しかし、すでに痛みが出る状態にまで進行したむし歯の場合は進行が止まったり、自然治癒したりすることはありません。

状態によっては一時的に痛みが治まることもありますが、痛みが治まったからといって治療を先延ばしにすることは適切ではありません。むし歯は進行すればするほど治療が難しくなり、歯を失うリスクも高まるため一度でも痛みを自覚したことがある場合はなるべく早く歯科医院を受診することが大切です。

すでに痛みが出ているむし歯の治療は歯科医院での治療が必要になります。治療の内容はむし歯がどれくらい広がるかによって異なります。

象牙質に達したむし歯では歯を削って詰め物やかぶせ物をつける治療を行います。比較的小さな穴であれば歯と同じ色のプラスチック(コンポジットレジン)を詰めることで治療が完了します。ある程度大きなむし歯であれば型取りをしたうえで金属などの歯科材料で詰め物やかぶせ物を作る必要があります。

神経に近いむし歯を治療した場合、治療後神経が過敏な状態になっているため痛みを感じることもありますが、しばらくすると治まることがほとんどです。

歯髄に達したむし歯は可逆性歯髄炎であれば詰め物やかぶせ物の治療ができることもありますが、多くの場合は不可逆性歯髄炎となり“根管治療“と呼ばれる歯髄を除去する治療が必要となります。

根管治療では、歯に穴をあけたうえで細長い器具で歯髄を丁寧に除去します。歯髄が取り切れたことを確認してから殺菌作用のある薬剤で消毒をして、“ガッタパーチャー”といわれる樹脂で隙間を埋めます。そして、金属などで土台を立てたうえでかぶせ物をします。

根管治療をするためには歯根が残っている必要がありますが、放置し続けたむし歯はほとんど歯が残っていない場合があります。このような場合はやむなく抜歯が必要となります。

痛みがあるむし歯の場合は、すでにある程度進行してしまっている可能性があります。痛みの感じ方は人によってさまざまであり、違和感程度の痛みから始まることもあるでしょう。しかし、いずれにせよ痛みがある状態から自然治癒することはありません。軽い痛みであってもすぐに歯科医師に診てもらうことが大切です。

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