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刺激によって歯がしみる知覚過敏(象牙質知覚過敏症)とは ~自分でできる改善方法と医療機関での治療法~

刺激によって歯がしみる知覚過敏(象牙質知覚過敏症)とは ~自分でできる改善方法と医療機関での治療法~
横瀬 敏志 先生

明海大学 歯学部 保存治療学分野 教授

横瀬 敏志 先生

目次
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知覚過敏(象牙質知覚過敏症)とは、象牙質が露出することで歯への刺激が直接伝わり、痛みを感じる病態です。虫歯ではないため、治療法なども異なります。

それでは知覚過敏の具体的な症状には、どのようなものがあるのでしょうか。本記事では知覚過敏の症状からその原因、さらに治療まで解説します。

知覚過敏の主な症状は、さまざまな刺激によって数秒間現れる歯の一時的な痛みが特徴です。歯ブラシによる物理的刺激はもちろんのこと、冷たいものや糖度が高いものの飲食、乾燥(風が歯に当たる)などで引き起こされることもあります。知覚過敏はこのような刺激によって引き起こされる一時的な痛みのため、刺激がなくなれば痛みは治まります。

知覚過敏の痛みはさまざまな刺激によるものですが、なぜ刺激によって痛みが引き起こされるのでしょうか。刺激により痛みを感じる原因は歯の構造の変化にあります。

歯の表層はエナメル質、その内部・根部は象牙質、そして最深部には歯髄(しずい)(歯の神経)があり、これらは歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる顎の骨によって支えられています。エナメル質は体の中でもっとも硬い組織であり、刺激が歯髄に直接伝わりにくい構造です。

一方、象牙質はエナメル質より軟らかく無数の細かい穴が開いており、刺激が歯髄へと直接伝わりやすい構造です。

歯を覆っているエナメル質は硬いため、通常の場合であれば歯への日常的な刺激で痛みを感じることはあまりありません。しかし、何らかの原因によって象牙質がむき出しになり、そこへ刺激が加わると、内部の神経に刺激が伝達されて歯は痛みを感じます。この原因にはさまざまなものがあります。

知覚過敏 画像提供:PIXTA
画像提供:PIXTA

歯肉の痩せ

歯の根部を覆っている歯肉は加齢とともに下がってしまうため、それに伴って歯根部が露出し、歯肉で覆われていた象牙質がむき出しの状態になることがあります。この場合、歯ブラシが触れることや温度変化などの刺激により、痛みを感じることがあります。

歯の欠け・すり減り・溶解

外部から力が加わることで歯が欠けたり、歯がすり減ったりすることで、内部の象牙質がむき出しになることがあります。また、酸性の飲食物を頻繁かつ長時間摂取すると口の中が常に酸性状態になって歯が溶け出してしまい、象牙質が露出することもあります。

治療(虫歯治療・ホワイトニング)

虫歯の治療やホワイトニングを行った後に知覚過敏を生じることがあります。これらは一時的な場合もあれば長期にわたる場合もあり、歯の状態に応じてさまざまです。

知覚過敏の治療法を、自分でできることと医療機関での治療に分けて説明します。

一番大切なことは、毎回の歯磨きをしっかり行うことです。十分な歯磨きを行うことでプラーク(細菌の塊)が付着せず、エナメル質がさらに溶け出すことを防ぎます。すでに象牙質が露出している場合は、歯磨きの際に痛みを感じやすくなります。しかし、痛みのため歯磨きが十分にされないと、さらに歯の表面が溶け出してしまうため、しっかりと歯磨きをして口腔内をきれいに保ちましょう。

また、唾液や歯磨き剤の成分によって象牙質の隙間が埋まることで、軽度なものでは自然に消失することもあります。フッ化ナトリウム、乳酸アルミニウムや硝酸カリウムを含んだ歯磨き剤の継続的な使用に知覚過敏の改善効果があることが認められているので、これらを使用するのも自分で行える治療法の1つでしょう。

露出した象牙質を埋める・覆う

知覚過敏では、刺激が象牙質の露出部分内部の隙間を通じて神経に伝わることで痛みを感じます。そのため、歯と同じような成分の結晶などで象牙質の露出部分内部の隙間を埋めることで知覚過敏の症状を抑えることができます。また、知覚過敏のある象牙質表面を樹脂性被膜で覆うことによっても知覚過敏の症状を抑えることができます。

神経を取り除く

知覚過敏の痛みは多くは一時的ですが、持続期間が比較的長いような場合や痛みが非常に激しい場合には、歯の神経そのものに炎症などが起きている場合があります。歯の神経は可能な限り温存すべきですが、生活に支障が出るほどの痛みがあるようであれば歯の神経を取り除くこともあります。

知覚過敏と虫歯はどちらも痛みを伴うため、自分で見分けるのは非常に難しいとされています。したがって歯の痛みが気になった場合は、我慢せず歯科医に相談しましょう。また、症状がひどい場合や、なかなか治癒しない場合にも歯科を受診することが大切です。

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