こうしんえん

口唇炎

最終更新日
2021年03月24日
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2021/03/24
更新しました
2018/12/28
掲載しました。

概要

口唇炎とは、口唇の皮膚に炎症が生じて、腫れや発赤、亀裂、びらん(ただれること)、出血などの病変を生じる病気のことです。

口唇炎の原因には、乾燥による口唇の荒れや食物・化粧品などに対するアレルギー反応、アトピー性皮膚炎などさまざまなものが挙げられます。多くは、口唇の保湿やアレルゲンの排除、抗炎症薬によって症状の改善が期待できます。しかし、小児に多く見られる舌なめずりなどの習慣による口唇炎の場合、口唇の皮膚が修復している段階で口唇炎の原因となる刺激が繰り返し加わるため、治るまでに時間がかかることも少なくありません。

口唇炎は小児から高齢者まで全ての年代で発症する可能性がありますが、その原因は年齢によって異なることが多く、治療を行うにはその原因を正確に判断する必要があります。

原因

口唇炎の発症原因には次のようなものが挙げられ、それぞれ症状に異なる特徴があります。

剥脱性口唇炎

いわゆる“舌なめずり”を繰り返すことで生じやすくなる口唇炎です。子どもに多く見られ、特に冬季などの空気が乾燥した時期に起こりやすくなります。

舌なめずりのような刺激が口唇に繰り返し加わることで、口唇の表層が剥がれやすくなります。その結果、皮膚のターンオーバーが早まり、上皮が正常に形成されないため皮膚のバリア機能が失われた状態となります。表皮は乾燥しやすくなり、それによってさらに舌なめずりを繰り返すことで症状が悪化するという悪循環が生じるのです。

接触口唇炎(接触皮膚炎)

アレルゲンとなる食物や化粧品、金属などが口唇に接触することでアレルギー反応が生じ、口唇に炎症を引き起こすものです。また、アレルゲンでなくても皮膚に刺激性のある日焼け止めや化粧品、洗剤などに含まれる成分が口唇にダメージを与える場合もあります。これらの物質は通常では人体に悪影響を与えることはほとんどありませんが、皮膚の弱い人は、その物質でダメージを受けることがあります。

アトピー性口唇炎

アトピーが口唇にできたものを指します。ほかの部位にも湿疹(しっしん)や炎症を起こしていることが多く、あくまでもアトピー性皮膚炎の一症状として現れます。

光線性口唇炎

長期の紫外線の刺激やビタミン類を始めとした栄養不足、ストレス、睡眠不足などの生活習慣が原因と考えられている口唇炎です。紫外線を浴びやすい下口唇に生じやすく、紫外線を繰り返し浴びることで症状がさらに悪化することがあります。

肉芽腫性口唇炎

明確な発症メカニズムは解明されていませんが、クローン病サルコイドーシスなどの病気や虫歯、食品などが関与しているとの説があります。

形質細胞性口唇炎

開口部形質細胞症と呼ばれる良性の慢性炎症性疾患が口唇にできたものをいいます。珍しい病気であり、繰り返される外的な刺激、加齢、高血圧糖尿病などが原因として挙げられていますが、明確な発症メカニズムは解明されていません。

感染症

ヘルペスやカンジダなどが口唇に感染すると、口唇に水疱(すいほう)亀裂(きれつ)などの口唇炎様の症状が見られることがあります。

症状

一般的な剥脱性口唇炎(はくだつせいこうしんえん)や接触口唇炎、アトピー性口唇炎、光線性口唇炎では口唇の高度な乾燥と発赤、腫れ、それに伴う口唇の亀裂やびらん、出血などの症状がみられます。口唇の表層がダメージを受けるためバリア機能が正常に作用せず、唾液や飲み物などの刺激によって強い痛みを感じることも少なくありません。また、口唇周囲の皮膚にまで炎症が波及することもあります。

一方、肉芽腫性口唇炎や形質細胞性口唇炎は口唇に慢性的な炎症を引き起こす病気ですが、症状の現れ方はほかの口唇炎と異なる特徴を持ちます。まず、肉芽腫性口唇炎は痛みを伴わない口唇の腫れが徐々に生じ、やがて少しずつ硬く触れるようになっていきます。形質細胞性口唇炎は口唇が腫れ、表面がただれてくるため出血しやすくなります。このため、口唇は出血部位とかさぶたができる部位が混在するのが特徴です。

感染症による口唇炎は水疱やびらん、亀裂などさまざまな症状を引き起こします。また、ほかの原因の口唇炎が悪化すると、黄色ブドウ球菌やカンジダなど皮膚に常在している病原体への感染が生じやすくなり、強い痛みや腫れ、発熱などが現れることもあります。

検査・診断

接触口唇炎などアレルゲンの関与が疑われる場合には、アレルゲンを確定するためにパッチテストなどのアレルギー検査が行われます。剥脱性口唇炎やアトピー性口唇炎などでは口唇の外観や全身症状などからある程度診断を下すことができますが、必要に応じて採血によるアレルギー検査を行うこともあります。

また、肉芽腫性口唇炎や形質細胞性口唇炎などの慢性炎症性疾患では、口唇の一部を採取して病理組織検査を行うことで確定診断が可能になります。感染症が疑われる場合には、口唇の表面や拭い液を培養します。遺伝子検査、検鏡検査などから病原体を特定する検査が行われることがあります。

治療

一般的な口唇炎の場合、基本の治療は口唇をしっかりと保湿し清潔に保つことです。アレルギー反応が原因の場合には、アレルゲンを完全に排除することで症状が改善することもあります。また、ビタミンB群をはじめとした栄養素を十分に取って、規則正しい生活を行うことも重要な対策となります。

また、肉芽腫性口唇炎の場合には、虫歯などの口腔内の病変がある場合にはそれらの治療を行い、症状がひどい場合にはステロイドの局所注射や内服が行われます。形質細胞性口唇炎は、治療法が確立していません。その場合、一般的にステロイドの外用や局所注射が行われますが、インターフェロンの局所注射、放射線療法、電気焼灼などを行うこともあります。

さらに、口唇に感染症が生じている場合には抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬など、それぞれの病原体に適した塗り薬や内服薬が使用されます。

予防

口唇炎を予防するためには、食生活・睡眠習慣など正しい生活習慣を継続することが大切です。食生活では、唇に効果的な成分といわれるビタミンB2やB6を積極的に摂取しましょう。ビタミンB2はヨーグルトや牛乳、卵、ほうれん草などに、ビタミンB6は魚類や牛肉・豚肉、豆類などに多く含まれます。また十分な睡眠を取り、ストレスや疲労をためすぎないことを意識しましょう。

なお、唇のコンディションを良好に保つことも口唇炎の予防につながります。口の周りを清潔に保ち、乾燥させすぎないよう、必要に応じてリップクリームを塗るなどの保湿を行いましょう。

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