サルコイドーシスとは、何らかの原因によって全身のさまざまな臓器に炎症が生じ、肉芽腫という病的な組織がつくられ、正常な機能が損なわれる病気です。
「サルコイド」とはラテン語で「肉のようなもの」という意味であり、肉のようなできものが全身にできる病気、という意味の名前になっています。地域や人種、年齢によって発症に違いがあるといわれており、日本では、男女ともに20歳代と50歳代以降のふたつの年齢層に多く、男性は若年層、女性は高齢層に多いとされています。
サルコイドーシスは、なんらかの物質が免疫系の指令塔のひとつであるリンパ球の働きを異常に活発にすることによって発症します。この細胞がつくりだす物質によって、免疫の細胞であるマクロファージという免疫の細胞が異常に刺激されると、肉芽腫という異常な病変ができ、皮膚、目、心臓、神経、肺などの正常な機能が障害されます。
これまで、サルコイドーシスの原因については、これまで、結核菌や溶連菌という説、またはウイルスが原因ではないかという説など、たくさんの説がありました。2017年現在では、プロピオニバクテリアと呼ばれるをいうニキビの原因となる菌によるという説が有力とされています。
サルコイドーシスでは、さまざまな臓器に病変ができることが特徴的でありすが、発熱、息切れ、だるさといった全身にかかわる症状(非特異的症状)が現れる出てくることがあります。一方で、サルコイドーシスによりできる肉芽腫が、どの臓器に生じるかによって症状が異なってきます。
目に生じた場合、眼球の裏側の壁を形づくっているぶどう膜炎という状態になり、目のかすみ、まぶしさ、視力の低下などがみられます出てきます。
顔や体幹部に痛みや痒みを伴わない赤い斑点ができます。これらは、皮膚の下の皮下にもできることがあります。
刺激伝導系という心臓の拍出のリズムをつくる電気の経路が障害され、房室ブロックなどの不整脈が発生した出たり、血液を全身に送り出す心筋のポンプの力が低下して心不全になったりします。
脳から脊髄、そして末梢の神経のどこにでも病変ができうるので、全身のまひやしびれ、痛みなどが生じます。たとえば、顔面神経まひ、立ちくらみや排尿障害などの自律神経障害などが生じます。
多くの症例では無症状のまま経過することもありますが、無症状のまま放置されていくと重症な例では肺線維症という治りづらい病気になり、呼吸機能が大きく障害される可能性がもあります。
サルコイドーシスは、全身の症状や検査所見、病理所見を総合的にみて診断します。以下は、サルコイドーシスを疑う、主な診断結果になります。
からだに肉芽腫ができる原因は感染症や環境要因などさまざまなものがありますので、肉芽腫ができたからといってサルコイドーシスであると診断することはできません。
サルコイドーシスは自然によくなることが多い疾患ですので、軽症のうちは自然治癒を期待して経過をみることが一般的です。
強い症状のある場合や病状が進行してきた場合には、積極的な治療が必要で、特に心臓に病変があるときには必ず治療が必要です。肺に病変があってもあまり症状が現れない出ないという特徴がありますが、経過や検査の変化から医師が治療すべきだと判断したときには、症状がなくとも治療を開始することがあります。
主に副腎皮質ステロイドホルモン剤を使用し、難治性の場合には免疫抑制剤(メソトレキセートなど)を用います。