がんめんしんけいまひ

顔面神経麻痺

神経

目次

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概要

顔面神経麻痺は、顔面神経が何かしらの原因で傷つき、顔面がうまく動かせなくなる病気です。原因は多岐に渡りますが、原因不明な状況で突然発症する「ベル麻痺」と呼ばれるものが全体の約6割を占めています。顔面神経麻痺のひとつであるベル麻痺は、性別に関係なくどの年齢層でも発症しますが、40代の発症がもっとも多いといわれています。

原因

ベル麻痺が生じる原因はわかっていません。しかし、なかには単純ヘルペスウイルスによって引き起こされているという報告もあります。

単純ヘルペスウイルスとは、幼少期に感染することの多いウイルスであり、口内炎を引き起こすことで有名です。ひとたび単純ヘルペスウイルスに感染すると、体内にウイルスが潜み続けることになります。体内で隠れていた単純ヘルペスウイルスが何らかの原因で再活性化し、ベル麻痺を引き起こす可能性も指摘されています。

また、顔面神経麻痺の原因の15パーセントほどを占めるものとして、ハント症候群があります。ハント症候群は、水疱瘡(みずぼうそう)の原因ウイルスである帯状疱疹ウイルスの再活性化により発症します。

その他、顔面神経への損傷を明らかに同定できるものとしては

  • 聴神経腫瘍や顔面神経腫瘍などの神経腫瘍
  • 交通事故などによる外傷
  • 脳出血や脳梗塞などの脳血管障害
  • 中耳炎
  • シェーグレン症候群
  • ギランバレー症候群
  • サルコイドーシス
  • 白血病
  • 糖尿病
  • ライム病

などが挙げられます。

症状

顔面神経麻痺になると、顔の筋肉麻痺に関連した症状が現れます。末梢神経症状として発生しているときには、顔面の片方全体が麻痺を起こし、額にしわを寄せることなどができなくなります。眼をしっかりと閉じることもできなくなるため、眼が乾きます。さらに口を動かす筋肉にも影響が生じるため、よだれが出やすくなったり、食べ物や飲み物を摂取したときに口からこぼれることもあります。また、聴覚過敏が生じたり、顔面神経は筋肉の動き以外にも味覚の一部も担っているため、顔面神経麻痺になると味覚障害も現れます。

原因によってはウイルスの再活性化に関連した症状が現れることがあり、耳介や後頭部の痛みや、帯状疱疹が発生します。中枢性の顔面神経麻痺の場合は、顔面神経麻痺に加え脳神経症状が現れることもあります。

検査・診断

顔面神経麻痺の診断では、顔面神経の分布領域のうちでどこが障害されているのかを評価することが重要です。顔面神経は顔面の動きを司る以外に、味覚や聴覚、涙や唾液の量などを調整しています。そのため、味覚検査、耳小骨筋反射検査、涙液・唾液量測定等を行います。

また、顔面神経麻痺の重症度を評価することも重要ですが、電気診断によって、ほぼ重症度と麻痺の予後診断が可能です。電気診断は誘発筋電図という検査で、麻痺が起こって一週間ほど経過した顔面神経を電気刺激し、表情筋の筋電図を測定します。

さらに、顔面神経は脳腫瘍やサルコイドーシスなどなにかしらの基礎疾患があって発症することもあります。そのためこれら基礎疾患を評価するための検査も重要です。

治療

顔面神経麻痺の治療はステロイドと抗ウイルス薬、ビタミン剤による薬物治療が中心です。治療は早く開始するほど予後がよいといわれており、特に重症の場合は発症から3日までの間に治療介入することが大切です。

また、脳神経麻痺は顔面神経が物理的に圧迫されていることで、麻痺が生じていることもあります。この状況を神経絞扼(しんけいこうやく)と呼びます。この場合は、顔面神経減荷術と呼ばれる治療方法が選択されることもあります。

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