原因
顔面神経麻痺は、障害される部位に応じて大きく中枢性と末梢性に分けられます。脳の一部である脳幹を基準として、それよりも上位の障害によるものが中枢性、下位の障害によるものが末梢性で、それぞれで原因が異なります。
中枢性
中枢性の顔面神経麻痺は、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害、生まれつきの病気であるメビウス症候群などによって起こります。ただし、頻度としては1%以下で、ほとんどが末梢性によるものとされています。
末梢性
末梢性の顔面神経麻痺の原因は多岐にわたり、以下のようなものが挙げられます。
- ウイルスによるもの(ベル麻痺、ラムゼイ・ハント症候群)
- 外傷性(交通事故などによる頭部・顔面の損傷、手術による損傷)
- 腫瘍性(小脳橋角部腫瘍、耳下腺腫瘍など)
- 耳炎性(中耳炎など)
- 全身疾患(糖尿病、白血病など)
- 自己免疫疾患(ギラン・バレー症候群など)
これらの中で特に多いのがベル麻痺とラムゼイ・ハント症候群です。ベル麻痺は末梢性顔面神経麻痺の約6割を占め、性別に関係なく40歳代に多いといわれています。多くは単純ヘルペスウイルスが原因と考えられています。一方、ラムゼイ・ハント症候群では水ぼうそうを引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、体の免疫が低下しているときに再度増殖し(再活性化)、顔面神経に炎症を起こすことが原因と考えられています。
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