くっしんぐしょうこうぐん

クッシング症候群

最終更新日
2021年12月24日
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2021/12/24
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

クッシング症候群とは、副腎(ふくじん)からのコルチゾールの分泌が過剰になることにより、さまざまな症状をきたす病気の総称です。

主な症状として、赤ら顔になる、顔が丸くなる満月様顔貌(まんげつようがんぼう)や、体幹に脂肪の付きやすくなる中心性肥満など、見た目から分かる症状のほか、階段の上り下りが難しくなる筋力低下や高血圧糖尿病骨粗しょう症、月経の異常、気分の落ち込み(うつ症状)などが挙げられます。

中年女性に多くみられる病気で、男女比は1:4といわれています。近年は人間ドックでのCT検査などの画像検査をきっかけに副腎腫瘍(ふくじんしゅよう)が発見されることが多くなったため、特に軽い症状のサブクリニカルクッシング症候群を含めて診断される頻度は増加していると考えられています。

基本的な治療方法としては、クッシング症候群の主な原因となる副腎皮質腺腫(ふくじんひしつせんしゅ)と呼ばれる腫瘍を手術で取り除くことが検討されます。

原因

コルチゾールの分泌調整

副腎からのコルチゾールの分泌は厳密な調整がなされています。

脳の視床下部と呼ばれる部分から放出される“CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)”は、脳の下垂体と呼ばれる部位から放出される“ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)”の放出を促進し、ACTHが副腎からのコルチゾールの分泌を促進します。一方でコルチゾールの分泌が過剰になると、CRHの分泌が抑制され、結果的にコルチゾールの分泌が抑制されます(ネガティブフィードバック)。

こうした一連のホルモン分泌調節機構により、コルチゾールの分泌は一定量に保たれつつも、ストレスなど必要なときには適切に調節されています。しかし、何らかの原因によりコルチゾールの分泌が過剰になるとクッシング症候群をきたします。

クッシング症候群の原因

クッシング症候群の中でもっとも多い原因は、副腎皮質腺腫と呼ばれる、腎臓の上にある副腎という臓器の良性腫瘍です。

この副腎腺腫がコルチゾールを過剰に分泌し続けることによって血中のコルチゾール濃度が上昇し、クッシング症候群をきたします。このときには副腎が自律的にコルチゾールを分泌しているため、ネガティブフィードバックによる分泌抑制が起こりません。

このほかに、副腎がんも原因になることがあります。副腎以外の原因としてはACTH産生下垂体腺腫や異所性ACTH産生腫瘍があります。ACTH産生下垂体腺腫ではACTHが過剰に分泌され、それによりコルチゾールが過剰分泌されてしまいます。これをクッシング病といい、クッシング症候群の原因の1つです。

さらに、一部の肺がん(肺小細胞がん)や膵臓(すいぞう)がんなどが異所性にACTHを産生・分泌してしまうことがあり、この場合も同様にクッシング症候群を引き起こします。

症状

クッシング症候群の症状は多岐にわたり、全身に現れます。見た目から分かる特徴としては、中心性肥満が挙げられます。

中心性肥満とは筋肉が減って手足がやせる一方、体幹部に脂肪が多く付き肥満となる状態です。同様に、顔にも多く脂肪が付くことによる満月様顔貌や、肩の後ろに脂肪がつくことで水牛のような盛り上がった肩を呈する水牛様肩(バッファローハンプ)などがあります。

そのほかの身体的特徴としては、赤ら顔、にきび、多毛、お腹を中心とする赤いすじ、近位筋(体の中心に近い筋)の筋力低下などが挙げられます。

また、高血圧、高血糖、高脂血症といった生活習慣病の症状も認められ、これらの原因としてクッシング症候群が見つかる場合もあります。そのほかにもうつ症状や骨粗しょう症、感染症にかかりやすくなるなど、全身にさまざまな症状を引き起こすことが特徴です。

さらにひどい場合には感染症などで命にかかわることもあります。

検査・診断

血液検査で血中のACTHやコルチゾールなどのホルモンの濃度を測定したり、1日の尿を貯めてコルチゾールを測定したりします。

さらに“デキサメタゾン抑制試験”と呼ばれる検査も重要です。具体的には、低用量のデキサメタゾン(コルチゾールと同じ作用を持つホルモン)を与えても、コルチゾールの分泌量が抑制されない場合に自律性分泌が証明されてクッシング症候群と診断されます。

また、クッシング症候群にはさまざまな病型があるので、鑑別のための検査も必要です。クッシング症候群には、ACTHの異常分泌によるもの(ACTH依存性のクッシング症候群)とそうでないもの(ACTH非依存性のクッシング症候群)があるため、鑑別のために血中のACTH値を測定します。ACTH依存性のクッシング症候群と判断された場合、高用量デキサメタゾン抑制試験や頭部MRIなどを併用してクッシング病と異所性ACTH産生腫瘍の鑑別を行います。なお、クッシング病以外の病型のクッシング症候群を疑った際は、全身検索のために特に胸腹部のCTやFDG-PETなどの検査を施行します。

治療

クッシング症候群の治療は、基本的に腫瘍の摘出です。コルチゾール産生副腎腺腫や副腎がんの場合には副腎腫瘍摘出術が行われます。

クッシング病下垂体腺腫に対しては“経蝶形骨洞的下垂体腺腫摘出術”と呼ばれる術式で、鼻の穴から内視鏡や顕微鏡を使い、蝶形骨洞と呼ばれる副鼻腔(ふくびくう)を経て腫瘍を摘出します。いずれの場合にも、周術期そして術後にもステロイドの補充が必要になります。

異所性ACTH産生腫瘍に対しては、その原因となる腫瘍に対する治療が行われます。原因の腫瘍が摘出しきれない場合には薬物療法が行われます。薬物療法には、副腎におけるコルチゾールを合成する酵素を抑える薬や、副腎そのものを傷害する薬、クッシング病の場合には下垂体腫瘍の機能を直接抑える薬などが使われます。いずれにしてもコルチゾールレベルを正常にすることが、症状や予後を改善することにつながります。

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