骨密度とは骨の密度(単位体積当たりの骨量)を示した値で、骨密度が低下すると骨粗しょう症のリスクが高まるといわれています。
この記事では、骨密度検査の方法や受けられる場所、骨密度を改善させる方法についてご紹介します。
骨密度とは、定められた体積当たりの骨量を表した数値です。カルシウムやリンなど、骨を構成するミネラルがその単位当たりに含まれている量を計算し、数値として表すものです。
一方骨粗しょう症とは、骨密度が下がることで骨が脆くなる病気です。骨粗しょう症が進行すると、転倒やくしゃみなどのごくわずかな衝撃や、まったく力がかからなくても骨折することがあります。
DXA法は、2種類の異なるエネルギーのX線を使って骨密度を測定する方法です。通常は腰の骨(腰椎)や太もものつけ根(大腿骨近位部)、手首の骨(橈骨遠位部)の骨密度を計測します。また、骨密度測定の中でもっとも精度が高い測定法といわれています。
かかとや脛の骨に超音波をあてて骨密度を測定します。DXA法よりも容易に検査ができるため小規模なクリニックでも取り入れやすいですが、精度としてはDXA法に比べるとやや劣ります。
X線を用いて手の骨とアルミニウム板を同時に撮影し、画像の濃淡を比較して骨密度を測定します。
もっとも正確な検査方法はDXA法とされていますが、この検査ではごくわずかに放射線を浴びる必要があります。通常の範囲では体に影響がある量ではありませんが、妊娠の可能性がある方などは医師に相談するようにしましょう。
また、測定部位によっても精度に変化が生じることがあるため、日本での骨密度測定では、腰椎のDXA法を標準としています。
YAM(Young Adult Mean)とは、20~44歳の健康な女性の骨密度を100%としたとき、自分の骨密度が何%であるかを比較した数値です。70%未満の場合に骨粗しょう症と判断されます。
Tスコアとは、自分の測定値がYAM(骨密度若年成人平均値)と比べてどの程度骨密度が低いか、あるいは高いかを示した値です。たとえば-1.2の場合、若年成人平均値に比べて1.2低いということが分かり、Tスコアが-2.5以下で骨粗しょう症と診断されます。
骨密度の検査は健診の一環として行われることもありますが、一般的には骨粗しょう症の診断を目的として、整形外科で行われることが多い検査です。施設によって検査が行えない場合や、受けられる検査の種類に制限がある場合もありますので、骨密度の検査を希望したり、特定の方法での検査を希望したりする場合には、あらかじめ電話などで確認してから受診するとよいでしょう。
実際の費用負担は、医療保険の負担割合や使用機器、医療機関、検査での撮影部位によって異なります。DXA法や超音波法などであれば原則的には保険適用となり、3割負担の方は医療費総額の3割を負担することになります。
骨粗しょう症を予防するためにはカルシウムなどを摂取することが重要になります。カルシウムを多く含む食品として牛乳、乳製品、小魚、緑黄色野菜などが挙げられます。
骨粗しょう症を予防するためには、ビタミンDを体内で合成するための日光浴やウォーキング、筋力トレーニングなど、骨に刺激を与える運動がよいとされています。ただし、骨密度が下がってきたからといって、今まで運動をあまりしていなかった方が突然負荷のかかる筋力トレーニングをしたとしても、逆効果となる可能性があります。
簡単で誰でも行えることができ、なおかつ負荷がかかりすぎない筋力トレーニングとしてはスクワットが推奨されます。
スクワットはゆっくり、反動をつけずに行いましょう。
また、ひざを痛めている方や骨、神経、筋肉に何らかの持病がある方は、スクワットによって痛みが増すことがあるため、実施する前に医師へ相談しましょう。
骨粗しょう症と診断された場合は、治療として薬物療法が行われることがあります。骨粗しょう症の薬は、骨吸収抑制薬、骨形成促進薬、骨・カルシウム代謝調整薬の3種類があります。
骨も体の細胞と同様、定期的に生まれ変わっています。その際、古くなった骨が吸収されることを“骨吸収”とよびます。骨吸収抑制薬は、この骨吸収を抑制することで、骨量を保とうとするものです。
骨吸収抑制薬には、カルシトニン薬、ビスホスホネート薬、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、デノスマブ(ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤)などがあります。
新しく骨が作られることを“骨形成”とよびます。骨形成促進薬には、テリパラチド(ヒト副甲状腺ホルモン製剤)があります。
食事などで摂取したカルシウムは、実はすべてが体内に吸収されているわけではありません。この吸収量を増やす薬が骨・カルシウム代謝調整薬であり、カルシウム薬、活性型ビタミンD3薬などがあります。
骨密度を健康に保つためには、日ごろから食事や運動に注意を心がけ、骨密度を落とさないために生活習慣を整えることが重要です。まだ若いから大丈夫だと思っている方も、偏った食事や運動不足の状態が続くと、徐々に骨密度が低下していく可能性があります。日々の生活に意識を向けて、健康な骨を保っていきましょう。
横浜市立大学附属市民総合医療センター 准教授・整形外科部長
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骨粗鬆症について
75歳の母の事で相談です 1ヶ月前に急に尾てい骨から腰、膝から太ももに激痛が走り痺れもでたため総合病院でMRI、レントゲン、骨密度検査をした結果、脊柱間狭窄症と骨粗鬆症が見つかりました。 脊柱間狭窄症はそこまで重症では無いそうですが骨粗鬆症は85歳の骨だと言われたそうです。 1つの病院では月に一回飲むボノテオ錠を処方され 別の病院では週一回飲むボナロン傾向ゼリーを処方されたそうです。 同じ状態ですが出された薬が違いいっぱんてきにはどちらの薬の方が効くのでしょうか? (人によって違うのは分かっているのでそう言ったご回答ではなく、メリットデメリットや、効果の傾向、副作用などを教えて頂けると選択する上で参考になりありがたいです) また、こう言った薬物治療の目的は進行を止めるためですか?それとも治していくためですか?それとも進行を遅らせるためですか? 75歳で85歳の骨とは相当不味いのでしょうか? よろしくお願いします!
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生理不順。
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