インタビュー

骨粗しょう症を防ぐ食事と運動―日常生活の改善

骨粗しょう症を防ぐ食事と運動―日常生活の改善
太田 博明 先生

藤田医科大学病院 国際医療センター 客員病院教授、川崎医科大学 産婦人科学2 特任教授/川崎医...

太田 博明 先生

この記事の最終更新は2015年11月26日です。

毎年10月20日が「世界骨粗しょう症デー(World Osteoporosis Day)」と定められていることをご存知でしょうか。2015年のテーマはNutrition(栄養)、そして ”Serve up bone strength”(丈夫な骨を作るための食材を食卓に)というスローガンが掲げられました。骨を強くするための食生活のポイント、そして運動の重要性について山王メディカルセンター・女性医療センター長の太田博明先生にお話をうかがいました。

丈夫な骨を作るための鍵となる栄養素はカルシウム・ビタミンD・タンパク質です。そしてこれをサポートするものにビタミンK・マグネシウム・亜鉛・カロテノイドなどがあります。これらを多く含む食物を意識しながら、バランスの良い食事を心がけましょう。とくにカルシウムはビタミンDと一緒に摂ることで吸収されやすくなります。

  • カルシウムを多く含む食品(1日の摂取量の目標:700~800mg):牛乳・乳製品・小魚・緑黄色野菜・大豆および大豆製品
  • ビタミンDを多く含む食品(1日の摂取量の目標:10~20μg):魚類・きのこ類
  • ビタミンKを多く含む食品(1日の摂取量の目標:250~300μg):納豆・緑色野菜
  • 果物と野菜
  • タンパク質(肉・魚・卵・豆・牛乳・乳製品)
  • リンを多く含む食品(加工食品・一部の清涼飲料水)
  • 食塩
  • カフェインを多く含む食品(コーヒー・紅茶など)
  • アルコール

運動療法の目的は、第一に骨に負荷をかけて丈夫な骨を作ることにありますが、それに加えて転倒による骨折を防止することも大切です。筋力をつけ、バランス感覚を高めることも運動療法の目的のひとつです。有酸素運動やウォーキング、筋力トレーニングは腰椎および大腿骨近位部の骨密度を高める効果があることが報告されています。また、太極拳やヨガも有用であるとされます。転倒・骨折予防の観点からは片足立ちなどのバランス訓練、そして筋力トレーニングも有用であると報告されています。特に背筋強化は椎体骨折の防止効果が期待できます。

運動の有効性を示すさまざまな報告がありますが、骨粗しょう症の患者さんに対する運動指導では、年齢や活動性の個人差、転倒リスクと骨粗しょう症の重症度などを考慮して行なうことが大切です。

ロコモティブ・シンドロームとは、日本整形外科学会が2007年に提唱した概念で、運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態をいいます。

運動器の障害:転倒・骨折や関節の病気など、加齢にともなう運動機能の低下と運動器疾患

移動機能:立ち座り・歩行・階段の昇り降りなど、身体の移動にかかわる機能

これら3疾患のうち、少なくともひとつにかかっている人は4,700万人、複数にかかっている人は2,470万人と推計されています。

ロコモティブ・シンドロームの予防・改善には、運動習慣・適切な栄養摂取・運動器疾患に対する治療が大切です。運動習慣は変形性膝関節症や腰痛、骨粗しょう症の改善にも役立ちます。日本整形外科学会では下半身の筋力アップとバランス能力向上に有用なスクワットと開眼片足立ちを推奨しています。また、ふくらはぎの筋力をつけるヒールレイズ(かかと上げ)、太ももを鍛えるフロントランジという運動も効果的です。

ロコモティブ・シンドロームと骨粗しょう症は、超高齢社会を背景とした健康寿命の阻害要因として、多くの関連があります。

  1. ロコモティブ・シンドロームの評価法が転倒リスクと深い関連がある
  2. ロコモティブ・シンドロームの予防・改善が転倒予防につながる
  3. 骨粗しょう症による骨折がロコモティブ・シンドロームを悪化させる

このような理由から、ロコモティブ・シンドロームと骨粗しょう症を同時に予防することが効果的であると考えられます。

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    ほしの まさひろ

    苑田第三病院-より体への負担が少ない脊椎脊髄手術で地域の健康寿命延伸へ貢献

    足立区の医療を支える苑田第三病院による椎体骨折、腰部脊柱管狭窄症、腰部脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、成人脊柱変形(腰曲がり)をテーマにした特集です。

    内科、外科、脳神経外科、心臓血管外科、小児科、整形外科、泌尿器科、リハビリテーション科、放射線科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科

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    生活スタイルや希望を考慮し、痛みに悩む一人ひとりに合わせた治療を提供

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    東京科学大学 大学院医歯学総合研究科女性健康医学講座(寄附講座)教授

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