せきちゅうかんきょうさくしょう

脊柱管狭窄症

最終更新日:
2021年01月20日
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2021/01/20
更新しました
2017/04/25
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概要

背骨には、脊柱管と呼ばれるトンネル状の構造があり、その中を脳から続く神経の束が通っています。この脊柱管がさまざまな原因によって狭くなることを脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)と呼び、脊柱管の中を通る脊髄(せきずい)や神経が圧迫されると手や脚の痛み、しびれ、歩行障害、排尿障害などの症状を引き起こします。

脊柱管狭窄症は脊柱が狭窄している部位によって、頚部脊柱管狭窄症(けいぶせきちゅうかんきょうさくしょう)、胸部脊柱管狭窄症、腰部脊柱管狭窄症、広範脊柱管狭窄症に分けられます。頚部の脊柱管狭窄が原因となって脊髄が圧迫される場合は“頚椎症頚椎症性脊髄症頚椎症性神経根症)”と呼ばれる場合もあります。もっとも多い狭窄部位は腰部で、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)の一般的な原因としても知られています。腰部脊柱管狭窄症では歩き続けると症状が強くなり、休むとまた歩けるようになる“間欠性跛行(かんけつせいはこう)”が特徴的な症状として現れます。

脊柱管狭窄症の主要な原因の1つとして加齢による骨や靱帯の変性があり、70歳以上では50%以上が腰部脊柱管狭窄症であるという報告もあります。悪化すると日常生活に支障が出てくるため、高齢者の生活の質に大きく影響する病気であると考えられています。

原因

脊柱管狭窄症のもっとも重要な原因は加齢です。加齢によって骨が変形したり、背骨の周りの靱帯が厚くなったりすると、脊柱管が狭くなり神経を圧迫することがあります。一方で、生まれつき脊柱管が狭かったり、成長の過程で脊柱管が狭くなるような変化が起こったりする場合もあります。

椎間板ついかんばんヘルニア、脊椎すべり症、脊椎側弯症などの背骨が変形する病気が原因となり、脊柱管が押しつぶされて症状が現れることもあります。また、事故や激しいスポーツなどによる衝撃が原因となって脊柱管狭窄症を発症することもあります。

症状

代表的な症状は手や足のしびれや痛み、つっぱり感、指の細かな動作のしにくさ、歩行の不自由さなどです。進行すると、運動障害が悪化するとともに排尿障害などを引き起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。

症状は左右両側に出ることもあれば、片側だけの場合もあります。また、首より下の高さで狭窄が起こっている場合は、通常手の症状はありませんが、頚部で狭窄が起こると手の症状と歩きにくさなど足の症状の両方が出ることがあります。

間歇性跛行

間歇性跛行は、腰部脊柱管狭窄症で特徴的な症状です。これは、歩き続けていると症状が悪化して歩けなくなり、前かがみになってしばらく休むと症状が和らいでまた歩けるようになる状態を指します。

腰部の脊柱管狭窄症では、背骨を伸ばすと脊柱管がより狭くなって神経の圧迫が強くなるために、このような症状が現れます。病気が進行すると、連続して歩ける距離や時間が次第に短くなっていきます。

検査・診断

脊柱管狭窄症は、病歴の問診や身体診察と合わせて画像による診断が用いられます。

画像検査には主にMRIという磁気を用いた撮像装置が用いられます。MRI検査によって、背骨の変形、骨折椎間板ヘルニアなど骨の異常の有無や、神経が圧迫されている様子、圧迫の重症度などを評価することができます。

心臓ペースメーカーを埋め込んでいるなどMRI検査に適さない場合や、さらに詳細な情報が必要な場合には、脊髄造影(ミエログラフィー)という検査を行います。これは、脊髄にヨード造影剤とよばれる薬剤を注射したうえでCTを撮るものです。造影によって骨の状態や神経の圧迫の程度をより詳しく調べることができ、治療方針の決定に役立ちます。

治療

脊柱管狭窄症の治療には、大きく分けて保存療法、手術療法の2つがあります。

日常生活に問題があまりない場合には、慎重に経過観察をしながら保存療法が行われます。日常生活への支障が大きい場合には手術が検討されます。また、頻尿や尿失禁、尿閉などの排尿障害がある場合には、手術が選択されます。

保存療法

運動療法やリハビリテーション、コルセットなどを用いる方法のほか、薬物療法や神経根ブロック療法などがあります。

薬物療法では外用薬として消炎鎮痛剤を用いるほか、内服薬として鎮痛薬や抗炎症薬、神経の血流をよくするための血管拡張剤などが用いられます。神経根ブロックとは、神経が脊髄から出てくる根本の部分に局所麻酔薬を注射することで痛みを軽減する方法ですが、効果は一時的なことが多く、手術前の確定診断として施行されることもあります。

手術療法

手術では全身麻酔のもと、狭窄の原因となっている骨や靱帯を一部取り除きます。手術によって神経の圧迫を軽減することができ、症状が改善します。

また、背骨が変形していたり関節が不安定になったりしている場合には、固定させるための手術を行うこともあります。手術の内容によっては内視鏡手術が選択される場合もあります。

予防

日常生活で姿勢を正しく保つことは脊柱管狭窄症の予防につながります。一方で、すでに脊柱管狭窄症を発症している場合には背筋を伸ばすことで症状が強くなる場合があるため、無理に姿勢を正そうとせず医師の助言を受けるのがよいでしょう。

また、発症後は転倒によって症状が急激に悪化することがあるため、転倒を予防することが重要となります。

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