子宮体がんの治療は主に手術や抗がん剤治療が選択され、必要に応じて放射線治療やホルモン治療が行われるケースもあります。このような治療の内容によっては治療を受けるにあたり入院が必要になる場合があるほか、がんの進行度合い(ステージ)や状態をチェックするためにも入院することがあります。
本記事では、子宮体がんにおける治療の内容や入院期間の目安、退院後の過ごし方について詳しく解説します。
子宮体がんの治療法ごとの入院期間、治療期間の目安は以下のとおりです。なお、患者によって複数の治療を組み合わせることもあり、治療内容によって入院期間も異なります。
子宮体がんの治療の基本は手術です。子宮体がんに対する手術は、がん細胞を切除するほか、がんの進行度合い(ステージ)や状態をチェックするためにも行われます。術式には、単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、両側付属器(卵巣と卵管)切除術、広汎子宮全摘術やリンパ節郭清術などがあり、比較的早期のがん場合には単純子宮全摘術、準広汎子宮全摘術と併せて両側付属器(卵巣と卵管)切除術が行われることが一般的です。
一方、がんが進行し広がっている場合やリンパ節転移を伴う場合には、広汎子宮全摘術やリンパ節郭清術を行い子宮やその周辺を広範囲に切除することもあります。
これらの術式には腹部を切り開いて行う“開腹手術”と腹部に小さな穴を開けて専用の医療器具を用いて行う“腹腔鏡手術”の方法があり、ステージや用いる術式によって選択されます。以下では、開腹手術を行った場合、腹腔鏡手術を行った場合に分けて一般的な治療内容や入院期間、治療期間を解説します。
開腹手術の場合、早期子宮体がんに対する手術であれば入院期間は10~14日程度となることが一般的です。早期子宮体がんに対する手術とは、具体的に単純子宮全摘術・広汎子宮全摘術・両側付属器切除術などを指します。これらは通常、下腹部20cm程度の切開で行われ、排尿障害などの合併症も比較的少ない術式です。ただし、リンパ節郭清術が追加された場合はリンパ浮腫などの合併症が起こることがあります。
また、進行した子宮体がんに対する手術の場合には、手術時間や入院期間が延長することがあるほか、排尿障害やリンパ浮腫の割合が増加し、腸閉塞などのトラブルが多くなります。
腹腔鏡手術は、お腹に小さな穴をいくつか開けてそこから腹腔鏡(カメラ)と器具を入れて手術を行う方法です。これはステージ1A期など、ごく初期の子宮体がんに対して行われる手術方法です。開腹手術と比較すると傷や出血が少なく、体に負担がかかりにくい手術といわれています。そのため、術後の回復も早く、入院期間は6~10日程度が一般的です。
上記手術を行ったうえで再発リスクが高いと分かった場合や、手術ができないほど進行した場合などは化学療法を行います
子宮体がんの化学療法(抗がん剤治療)は、3週間ごとに抗がん剤の点滴を3~6回繰り返すことが一般的です。しかし、場合によってはそれ以上の期間がかかることもあります。
治療期間は半年程度にわたることが一般的ですが、入院せずに外来で治療が可能な場合もあり、副作用や体の負担が少ないと考えられる場合は通院で仕事などを続けながら抗がん剤治療を行うことも可能です。
放射線療法とは、放射線を照射することでがん細胞を死滅させる治療法です。体の外から照射する“外照射”と腟から照射する“腔内照射”があります。
高齢の方や合併症のため手術や化学療法が行えない場合、手術や化学療法を行っても再発した場合に行われることがあります。放射線療法を行う場合の治療期間は5~8週間にわたることがあります。
子宮体がんの主な治療法は手術です。そのため、以下では手術に際して入院する場合の入院から退院、その後の流れの一例を解説します。
手術前日までには入院することが一般的です。手術の時間帯にもよりますが、前日から当日に下剤の服用、浣腸、絶食、水分制限がなされます。
子宮体がんの治療の基本は手術で、子宮と両側の卵巣、卵管を全摘出することです。また、ステージやがんの状態によって、骨盤内や傍大動脈のリンパ節などを切除することもあります。
先述したように、手術の内容や治療の種類によって入院期間は異なります。
手術当日(手術後)は、点滴、酸素マスクの着用などをします。術後は痛みを感じることがありますが、さまざまな鎮痛の方法を用いるため、通常は眠れないほど痛みが強いことはありません。なお、翌日までは絶食で水分を取ることはできないことに加え、排尿は尿に管を入れ、トイレに行かなくてもいいようにします。
手術翌日から徐々に水分、食事、シャワー、院内歩行などが許可されます。
手術の際に再発リスクを判定し、再発リスクが中程度以上の場合は追加で化学療法が行われることがあります。しかし、この場合は入院せずに通院治療が可能な場合もあります。
通常、退院後1か月程度は激しい運動などは避けるように指導されますが、家事などの簡単な作業は通常どおり可能です。2か月目からは徐々に軽作業を行い、体を慣らしていきます。縫合部の経過を見て入浴や性生活も可能となるので、いずれも医師の指示を仰ぐとよいでしょう。
治療後も体調や再発の有無の確認をするために、定期的に通院して経過観察を行います。手術後3年目までは1~4か月に1回程度、4~5年目は半年に1回程度、それ以降は1年に1回程度通院します。
子宮体がんの治療は、がんのステージ・状態などさまざまなことが考慮されて選択されるため、患者によって治療内容や入院期間に差が生じることもあります。また、退院後も化学療法や放射線治療などで通院が必要となるケースもあるほか、治療が終わってからも経過観察のために病院の受診が必要になります。そのため、これまで解説した治療内容や入院期間はあくまで目安であり、患者によっては治療・入院期間が長期にわたる可能性もあります。納得した治療を受けるためにも治療について不安や疑問がある場合は、医師とよく相談して治療の見通しを立てておくとよいでしょう。
がん研有明病院 婦人科 部長
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