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インタビュー

子宮頸がんの検診の重要性

子宮頸がんの検診の重要性
辻岡 寛 先生

飯塚病院 産婦人科 管理部長

辻岡 寛 先生

この記事の最終更新は2015年12月15日です。

子宮の入り口にできるがん子宮頸がんです。若い女性に多くみられ、原因がはっきりとわかっています。簡単な検診でがんになる前の状態を発見することも可能です。しかし、日本における検診の受診率はまだ低いといいます。子宮頸がん検診の重要性などについて飯塚病院産婦人科部長の辻岡寛先生にお話しをお伺いしました。

子宮頸がんは、がんになる前の状態である「異形成」を発見できるがんであることがわかっています。この異形成をみつけるのに有効なのが子宮頸がん検診です。膣から挿入したブラシで子宮の入り口付近の細胞を軽くこすりとるだけの簡単な検査で診断できます。

異形成は、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成と3つの段階を経て上皮内がんへと移行していきます。残念ながら、上皮内がんのレベルを超えて浸潤がんに進行した場合、子宮を摘出しなければならないケースが出てきます。その場合に行われるのが広汎子宮全摘術などです。

子宮全摘術に関しては、子宮筋腫などで摘出する場合と進行がんで摘出するのとでは、同じ子宮を取るという行為でも随分大きな違いがあります。

子宮の頚部周辺というのは骨盤のいちばん底の部分にあたり、膀胱や尿管、直腸や神経層などといった重要な臓器が密集しているところです。子宮頸がんの手術では、子宮周辺のリンパ節なども郭清(すべて取り除くこと)するため、いくら注意深く工夫しながら手術をしたとしても、子宮の周辺にあるこれらの臓器を傷つけてしまう可能性が全くないわけではありません。

そのため、術後の副作用としては膀胱や直腸障害のほか、リンパ浮腫などを起こすことがあります。そうなるとその後の生活の質(QOL)が低下してしまうのです。こうなる前の早い段階で検診を受け、異常をみつけて、このような手術をしなくて済むよう回避して頂きたいと願います。

子宮頸がんは原因がはっきりしており、またがんになる前に発見することも可能ながんです。予防法も確立しているため、将来的には撲滅が可能ながんでもあります。早期の段階で発見するためには子宮頸がん検診が重要な役割を果たしているのですが、日本における検診の受診率は数年前までは20%、啓発が進んだ最近になっても40%と、欧米における受診率80%と比べて非常に低いのが現状です。

また、海外ではヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頚部の細胞診とを組み合わせた検査を同時に行う取り組みがはじまっています。HPVが陰性で細胞診が正常な人に関しては、3年に1度の検診をしていただきます。また、どちらかに異常がある人は半年に1度、あるいは1年に1度といったように、こまめに検診を受けてもらえるようリスクに応じた検診への取り組みが進められています。日本でも限定的ではありますが、細胞診とウイルス検査を組み合わせた検診が一部の施設で行えるようになりました。

飯塚病院がある筑豊地区は、若年の妊婦さんが非常に多いというのが一つの特徴です。何人もお子さんを育てていらっしゃる方も多く、10代で複数のお子さんがおられる方も少なくありません。

そういった地域の特殊性という意味においては、子宮頸がんの発生リスクの高い地域であるといえるでしょう。予防および早期発見が可能な子宮頸がんにおいては、検診の重要性をさらに啓発していかなければなりません。

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