
子宮の入り口にできるがんが子宮頸がんです。若い女性に多くみられ、原因がはっきりとわかっています。簡単な検診でがんになる前の状態を発見することも可能です。しかし、日本における検診の受診率はまだ低いといいます。子宮頸がん検診の重要性などについて飯塚病院産婦人科部長の辻岡寛先生にお話しをお伺いしました。
子宮頸がんは、がんになる前の状態である「異形成」を発見できるがんであることがわかっています。この異形成をみつけるのに有効なのが子宮頸がん検診です。膣から挿入したブラシで子宮の入り口付近の細胞を軽くこすりとるだけの簡単な検査で診断できます。
異形成は、軽度異形成、中等度異形成、高度異形成と3つの段階を経て上皮内がんへと移行していきます。残念ながら、上皮内がんのレベルを超えて浸潤がんに進行した場合、子宮を摘出しなければならないケースが出てきます。その場合に行われるのが広汎子宮全摘術などです。
子宮全摘術に関しては、子宮筋腫などで摘出する場合と進行がんで摘出するのとでは、同じ子宮を取るという行為でも随分大きな違いがあります。
子宮の頚部周辺というのは骨盤のいちばん底の部分にあたり、膀胱や尿管、直腸や神経層などといった重要な臓器が密集しているところです。子宮頸がんの手術では、子宮周辺のリンパ節なども郭清(すべて取り除くこと)するため、いくら注意深く工夫しながら手術をしたとしても、子宮の周辺にあるこれらの臓器を傷つけてしまう可能性が全くないわけではありません。
そのため、術後の副作用としては膀胱や直腸障害のほか、リンパ浮腫などを起こすことがあります。そうなるとその後の生活の質(QOL)が低下してしまうのです。こうなる前の早い段階で検診を受け、異常をみつけて、このような手術をしなくて済むよう回避して頂きたいと願います。
子宮頸がんは原因がはっきりしており、またがんになる前に発見することも可能ながんです。予防法も確立しているため、将来的には撲滅が可能ながんでもあります。早期の段階で発見するためには子宮頸がん検診が重要な役割を果たしているのですが、日本における検診の受診率は数年前までは20%、啓発が進んだ最近になっても40%と、欧米における受診率80%と比べて非常に低いのが現状です。
また、海外ではヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頚部の細胞診とを組み合わせた検査を同時に行う取り組みがはじまっています。HPVが陰性で細胞診が正常な人に関しては、3年に1度の検診をしていただきます。また、どちらかに異常がある人は半年に1度、あるいは1年に1度といったように、こまめに検診を受けてもらえるようリスクに応じた検診への取り組みが進められています。日本でも限定的ではありますが、細胞診とウイルス検査を組み合わせた検診が一部の施設で行えるようになりました。
飯塚病院がある筑豊地区は、若年の妊婦さんが非常に多いというのが一つの特徴です。何人もお子さんを育てていらっしゃる方も多く、10代で複数のお子さんがおられる方も少なくありません。
そういった地域の特殊性という意味においては、子宮頸がんの発生リスクの高い地域であるといえるでしょう。予防および早期発見が可能な子宮頸がんにおいては、検診の重要性をさらに啓発していかなければなりません。
飯塚病院 産婦人科 管理部長
飯塚病院 産婦人科 管理部長
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(産科婦人科領域)日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
飯塚病院産婦人科部長。ハイリスク妊娠などの周産期医療をはじめ、婦人科腫瘍では子宮頸がん・体がん・卵巣がんなど幅広い分野に精通し、内視鏡手術もこなすオールラウンダー。日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医および同学会指導医、日本婦人科腫瘍学会認定 婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医および同機構がん治療暫定教育医。
辻岡 寛 先生の所属医療機関
周辺で子宮頸がんの実績がある医師
順天堂大学医学部附属練馬病院 産科・婦人科教授/診療科長
順天堂大学医学部附属練馬病院―“ワンチーム”で充実した医療を地域に届ける
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子宮頚がんでも出産可能でしょうか。
大変お世話になっております。 子宮頚がんのクラス3aです。 まだ月一回の検診に行っておりません。 もし、今妊娠していたら出産は可能なのでしょうか。 万が一を考えて不安になっております。 次回の検診日が先なので、 至急回答をお願い申し上げます。
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