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子宮頸がん検診の検査結果の見方 ~精密検査が必要な検査結果とは?~

子宮頸がん検診の検査結果の見方 ~精密検査が必要な検査結果とは?~
宮城 悦子 先生

横浜市立大学医学部産婦人科学教室 主任教授

宮城 悦子 先生

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子宮(けい)がんとは、子宮の入り口である“子宮頸部”に生じるがんです。日本では、1年におよそ11,000人が子宮頸がん(浸潤がん)と診断され、年間で約3,000人が亡くなっています。しかし、子宮頸がんは検診によって早期に発見し適切な治療を行うことで、その死亡率を減少させることができます。

本記事では、子宮頸がんの発見に有効な検診方法や検査にひっかかる確率、検査結果の見方などについてお伝えします。

子宮頸がんを早期発見するため、厚生労働省では20歳代以上の女性を対象に、2年に1回の子宮頸がん検診をすすめています。

子宮頸がんの検査にはいくつかの種類がありますが、その中で子宮頸がんによる死亡率を減らす効果が複数の論文で科学的に認められているのが“細胞診”です。細胞診とは、子宮頸部の細胞を専用の器具で採取し、その細胞を顕微鏡で見ることによって、細胞の異常を調べる検査です。細胞診の結果、異常があった場合には精密検査を受診する必要があります。

子宮頸がんの検診で“異常あり”と判断され、精密検査が必要になる確率は2.29%でした(厚生労働省『平成27年度地域保健・健康事業報告』)。また、精密検査が必要になった人の中で、実際に子宮頸がんが発見された確率は1.86%でした。

しかし、子宮頸がんはがんと疑われるような状態があっても、そのうちの80%はがんに発展しないといわれています。そのため、検診で“異常あり”といった結果が出て精密検査が必要になったからといって、子宮頸がんと決まったわけではありません。

子宮頸がんの検査結果は“NILM”“LSIL”“HSIL”など、アルファベットで記載されていることがあります。結論から述べると、“NILM”以外は精密検査を受ける必要があります。

以下では、子宮頸がんの検査結果の見方について解説します。

NILM

正常であることを指し、精密検査は不要です。

LSIL(CIN1)

軽度異形成の可能性がある状態で、精密検査を要します。ただし、時間の経過とともに正常化していく可能性が高いため、検査後は経過観察になることが多いです。また、正常と軽度異形成との判断に迷う場合はASC-US(後述)と表記されます。

HSIL(CIN2・CIN3)

HSILには、中等度異形成(CIN2)と高度異形成・上皮内がん(CIN3)の可能性がある2種類があり、いずれの場合も精密検査が必要です。中等度異形成の場合、軽度異形成と同じく自然と正常に戻る可能性もありますが、長期存続する場合は悪化する可能性があるため治療が必要なケースもあります。一方、高度異形成・上皮内がんの場合は治療が必要になることが一般的です。

また、細胞診の結果が判断しにくい場合には、以下のような表記が使用されることもあります。

ASC-US

NILMかLSIL(CIN1)といずれかの可能性がある場合を指し、場合によっては精密検査が必要になることもあります。HPV検査(後述)を行い、陽性(ハイリスクHPVが検出)の場合は、ただちに精密検査を行います。

ASC-H

HSIL(CIN2・CIN3)か浸潤がんの可能性がある場合を指し、精密検査が必要です。

細胞診の結果が“NILM”以外であった場合、精密検査を受けましょう。子宮頸がんの精密検査には以下のような種類が挙げられ、医師の判断に応じて組み合わせて行われます。

コルポスコープによる組織診(コルポ診)

コルポスコープと呼ばれる拡大鏡を使って子宮頸部の状態を確認し、異常があれば組織を採取して調べます。

HPV検査

子宮頸がんの発生には、発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が関与していることが分かっています。そこで、子宮頸部の細胞を採取し、HPVに感染しているかどうかの検査を行います。ASC-USでは保険診療として行われます。

また、精密検査の際にあらためて細胞診を行うこともあります。精密検査後は医師の指示の下、経過観察のための通院や必要に応じた治療を行うことになります。

子宮頸がんの検査(細胞診)では、子宮頸部をブラシやヘラなどでこすることによって細胞を採取します。個人差はありますが通常は痛みはなく、採取にかかる時間も数分程度ですが、少量の出血を伴うこともあります。また、生理中の場合は血液の混入で正確な診断ができないため、生理中の検診は控えるようにしましょう。検査日が生理と重なりそうな場合は、予定を変更するとよいでしょう。

一方、妊娠中は子宮頸がん検診を受けることができます。ただし、妊娠していることを医師に必ず伝えたうえで行うようにしましょう。現在、妊婦健診では公費によって行われることが一般的です。

ここまでで解説してきたように、子宮頸がん検診では細胞診だけが子宮頸がんによる死亡率を減少させる効果があるとされてきました。実際に、子宮頸がんは検診(細胞診)を定期的に受けることによって、子宮頸がんによる死亡率を最大で80%減少させることができるといわれています。

しかし2020年7月29日、国立がん研究センターは“有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン”を更新し、子宮頸がん検診として新たに“H P V検査単独法”を細胞診と同レベルで推奨することを発表しました。これは、細胞診などの検査と組み合わせずにまずはH P V検査だけを行うもので、子宮頸がん(浸潤がん)罹患率を減少させる可能性が海外の研究で証明されています。HPV陽性の場合に細胞診を行い、さらに異常があれば精密検査を行うことが想定されています。

ただし、実際の検診への導入するためには、国内で統一した診療のルール(診療アルゴリズム)が構築されてからとなるため、現時点(7月30日現在)ではどの自治体も正式な導入まで至っておらず、時間がかかることが予測されます。このことからも、今後はさらにHPV感染のリスクの理解と子宮頸がん検診の選択肢が広がり、受診率が改善すれば子宮頸がんによる死亡率を減少させることが期待できるでしょう。

なお、現時点で子宮頸がん検診の対象となる20歳代以上の女性の方は、特に気になる症状がない場合でも地域や会社の健康診断を利用して子宮頸がん検診の受診を検討しましょう。子宮頸がん検診の受診にあたり、不安や疑問がある場合は検診を受ける医療機関、またはかかりつけ医に相談するとよいでしょう。

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