がんポータルサイトはこちら
編集部記事

子宮頸がん検診ってわたしも受けたほうがよいの? ~子宮頸がん検診の対象者や検診の流れ、注意点についてご紹介 ~

子宮頸がん検診ってわたしも受けたほうがよいの? ~子宮頸がん検診の対象者や検診の流れ、注意点についてご紹介 ~
稲葉 可奈子 先生

みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト 代表理事、Inaba Clinic 院長

稲葉 可奈子 先生【執筆・監修】

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

「自治体から『子宮頸(しきゅうけい)がん検診』の案内が送られてきたけれど見ていない」という方は、少なくないかもしれません。子宮頸がん検診は誰が受けたほうがいいのか、どのような検査なのか、よく分かっていない方もいます。今回は、子宮頸がん検診について分かりやすく解説します。特に、ここ数年検診を受けていないという女性は必見です。

20歳以上の女性は、2年に1回子宮頸がん検診を受けることが推奨されています。なぜなら、子宮頸がんは20歳代後半~40歳代 以降の患者さんが多いからです1。子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんになる手前の前がん病変(異形成)の段階や、がんになっていたとしても進行する前の段階で見つけることができます。

子宮頸がんの前がん病変や、がんの初期の段階では、自覚症状はほとんどありません。がん検診を受けておらず進行した状態でがんが見つかると、若くして子宮を失うことになってしまったり、命までも失ったりすることになりかねません。

子宮頸がん検診では、生理周期や生理痛の有無などを確認する問診から始まり、以下の流れで診察が行われます。

子宮頸がん検診の流れ
稲葉先生提供
  1. ショーツまで脱いだ状態で、内診台(足が開いた状態になる台)に乗ります。
  2. 内診台が動き、仰向けで膝を開いた体勢になります。
  3. 医師が腟に器具を入れ、子宮頸部(子宮の入り口、図参照)を観察します。
  4. 子宮頸部を擦り細胞を取ります。
  5. 腟側とお腹側から手で挟むような形で、子宮と卵巣の形や大きさを触診します。
  6. 内診台が戻り診察終了です。

特に異常がない場合、診察は全部で1~2分ほどで終わります。

痛みがなく検査を受けるコツは、とにかく身体の力を抜くことです。足の力を抜き、膝をしっかり開き、深呼吸すると、力を抜きやすくなります。内診台での診察がはじめての場合は、その旨を医師や看護師に伝えるようにしましょう。丁寧に内診台の乗り方を教えてもらえるほか、緊張もほぐれると思います。また、検査の影響で検査後に性器出血があることがあります。少量で数日以内に治まれば心配ありません。

子宮頸がん検診で正確な検査結果を得るためには、出血していないときの検査が推奨されます。自覚症状がなく、いわゆる『がん検診』として子宮頸がん検診を受けに行く場合は、生理中でないときに受診できる日程で予約を取りましょう。

生理周期が少しずれてしまった場合は、生理の終わりかけなど少し出血がある程度でしたら検査できることが多いので、事前に医師や看護師に相談してみましょう。なお、がん検診とは関係なく、不正出血の持続や生理の量が非常に多い、生理が止まらないなどの症状がある場合は、出血中であっても産婦人科を受診してください。

子宮頸がんのほとんどは、HPVの感染が原因です。HPVは主に性交渉で感染するウイルスであるため、性交渉の経験がない場合は子宮頸がんになる可能性はかなり低いといえます。ただし子宮や卵巣に関わる病気は子宮頸がん以外にもあるため、気になる症状があれば性交渉の経験にかかわらず、産婦人科受診をおすすめします。

性交渉の経験がない場合は、内診の痛みを感じやすいことがありますが、診察の器具や方法など工夫できるので、問診の際に性交渉の経験がないことを伝えるようにしましょう。妊娠中も子宮頸がん検診を受けることができますが、妊婦健診で初期に子宮頸部細胞診(子宮頸がん検診と同じ検査)を皆さん受けますので、妊婦健診担当の先生に別途子宮頸がん検診を受ける必要があるか相談しましょう。

HPVワクチン(4価)を16歳までに接種することで、子宮頸がんを88%予防できることが分かっています2。非常に有効なワクチンですが、100%予防できるわけではありませんので、HPVワクチンを接種した人も、子宮頸がん検診を受けましょう。

子宮頸がん検診はあくまで早期発見が目的であり、前がん病変を含めて病気になることそのものを予防することができるのはHPVワクチンだけです。HPVワクチンも子宮頸がん検診も両方大事なのです。

子宮頸がんの初期や前がん病変は自覚症状がほとんどありません。また、過去に受けた子宮頸がん検診が問題なければ大丈夫というわけではありません。病気を早期に発見することができれば子宮を残して治療できる可能性が高く、定期的に検診を受けることが大切です。なるべく16歳までのHPVワクチンの接種に加えて、20歳すぎたら子宮頸がん検診を定期的に行うことで、子宮頸がんは予防できます。

参考文献

  1. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん登録):https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
  2. N Engl J Med 2020; 383:1340-1348.
受診について相談する
  • みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト 代表理事、Inaba Clinic 院長

    稲葉 可奈子 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。
この記事は参考になりましたか?
記事内容の修正すべき点を報告
この記事は参考になりましたか?
この記事や、メディカルノートのサイトについてご意見があればお書きください。今後の記事作りの参考にさせていただきます。

なお、こちらで頂いたご意見への返信はおこなっておりません。医療相談をご要望の方はこちらからどうぞ。

実績のある医師

周辺で子宮頸がんの実績がある医師

順天堂大学医学部附属練馬病院 産科・婦人科教授/診療科長

おぎしま だいき

順天堂大学医学部附属練馬病院―“ワンチーム”で充実した医療を地域に届ける

練馬区の医療を支える順天堂大学医学部附属練馬病院によるを不整脈・子宮頸がん・大腸がん・前立腺がんテーマにした特集です。

内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、脳神経内科、総合診療科、病理診断科

東京都練馬区高野台3丁目1-10

西武池袋線「練馬高野台」 徒歩3分

独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 産婦人科 科長

やました ひろし

国立病院機構 東京医療センターー低侵襲な医療を患者さんに提供することで地域医療に貢献する

区西南部医療圏の医療を支える東京医療センターによる、前立腺がん・子宮体がん・胃がん.大腸がん・慢性中耳炎.真珠腫性中耳炎の治療をテーマにした特集です。

内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、脳神経内科、放射線診断科、放射線治療科

東京都目黒区東が丘2丁目5-1

東急田園都市線「駒沢大学」 徒歩15分

国際医療福祉大学三田病院 婦人科部長、国際医療福祉大学 産婦人科学教授

うえだ かず
上田先生の医療記事

6

内科、血液内科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、脳神経内科、血管外科、脊椎脊髄外科、放射線診断科、放射線治療科、頭頸部外科、病理診断科

東京都港区三田1丁目4-3

都営大江戸線「赤羽橋」赤羽橋口出口または中之橋出口 徒歩5分、東京メトロ南北線「麻布十番」3番出口 徒歩8分、都営三田線「芝公園」A2番出口 徒歩10分、JR山手線「田町」三田口出口  車5分 徒歩20分

がん研究会有明病院 放射線治療部 部長

よしおか やすお

内科、血液内科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、歯科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、肝胆膵内科、肝胆膵外科、放射線診断科、放射線治療科、頭頸部外科

東京都江東区有明3丁目8-31

ゆりかもめ「有明」 徒歩2分、りんかい線「国際展示場」 徒歩4分

国立がん研究センター中央病院 婦人腫瘍科 医師

かとう ともやす
加藤先生の医療記事

7

内科、血液内科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、小児科、小児外科、脳脊髄腫瘍科、骨軟部腫瘍科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、歯科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、緩和ケア内科、消化器内科、肝胆膵内科、肝胆膵外科、放射線診断科、放射線治療科、頭頸部外科、病理診断科

東京都中央区築地5丁目1-1

都営大江戸線「築地市場」A1番出口 徒歩3分、東京メトロ日比谷線「築地」2番出口 徒歩5分、東京メトロ日比谷線「東銀座」6番出口 徒歩6分

関連記事

  • もっと見る

    「子宮頸がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。

    メディカルノートをアプリで使おう

    iPhone版

    App Storeからダウンロード"
    Qr iphone

    Android版

    Google PLayで手に入れよう
    Qr android
    Img app