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HPVワクチン

同義語
ヒトパピローマウイルスワクチン,子宮頸がんワクチン
最終更新日:
2024年03月08日
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2024/03/08
更新しました
2021/12/01
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医師の方へ

概要

HPVワクチン(子宮頸(しきゅうけい)ワクチン)とは、子宮頸がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐ予防接種に用いられる薬のことです。定められた期間を空け、同じワクチンを計3回接種します*

子宮頸がんは子宮の入り口である子宮頸部に生じるがんで、原因のほとんどが性交渉によるヒトパピローマウイルス感染です。ウイルスに感染しても約90%は細胞に異常をきたすことはありませんが、ごく一部の人ではがんになる前の段階(異形成)を経て数年から数十年かけて子宮頸がんになることがあります。

HPVワクチンは市区町村が主体となって実施する定期予防接種や、次で説明するキャッチアップ接種にて無料で受けられるほか、定期予防接種の対象年齢以上の人が任意(全額自己負担)で受けることもできます。

HPVワクチンについては以前、接種後に生じる可能性があるリスクが十分周知できていないとされ、2013~2021年の間に接種を勧奨する取り組みが控えられていました。現在はワクチンのリスクよりも有効性のほうが明確に上回ると判断され、接種を推奨する取り組みが再開されています。該当期間に定期予防接種の対象年齢で無料接種の機会を逃した方には、特例の“キャッチアップ接種”でワクチンの費用補助がなされています。キャッチアップ接種は2025年3月末までで、1997年4月2日~2008年4月1日**生まれの女性が対象となります。

*接種回数は年齢やワクチンの種類によって異なる。9価ワクチンの場合、15歳までに初回の接種を終えた場合は計2回接種、15歳になってから初回接種する場合は計3回接種する。

**2007年4月2日~2008年4月1日生まれの方も、通常の接種対象年齢(小学校6年生~高校1年生相当)を超えても2025年3月末まで費用補助の対象として接種可能。

目的・効果

HPVワクチンの目的は、ヒトパピローマウイルスに対する免疫を作ることです。

ヒトパピローマウイルスには200種類以上もの型が存在し、そのうち少なくとも15種類ががんの発生に関わっています。これらをハイリスク型と呼び、子宮頸がん全体の50~70%は16型と18型が原因といわれています。

HPVワクチンの接種によって予防できるHPV型に対する抗体を作ることができ、これらの型の感染を予防できます。

また、ヒトパピローマウイルスは、腟がん外陰がん肛門がん陰茎がんなどのがんの発生にも関わっているため、HPVワクチンを接種することでこれらのがんの予防にもつながると考えられています。

種類

現在、日本で認可されているHPVワクチンには、2価ワクチン、4価ワクチン、9価ワクチンの3種類があります。

2価ワクチンは16型と18型に対するワクチンで、4価ワクチンは16型と18型に加えて性感染症(良性疾患)の尖圭コンジローマの原因となる6型と11型の計4つの型に対するワクチンです。

9価ワクチンは6・11・ 16・18型に加えて、ハイリスク型の31・33・45・52・58型の感染を予防することができます。9価は日本では2020年に承認された一番新しいワクチンで、2023年4月から公費で定期予防接種が可能となりました。これにより、該当する年齢の方は2価、4価、9価いずれかのワクチンを無料で受けることができます。なお、9価はキャッチアップ接種においても無料で接種可能です。

リスク

安全性

HPVワクチンの接種後に起こりうる症状として、接種した部位の痛みや腫れなどの局所反応がありますが、多くは数日以内に改善します。

また、アナフィラキシーは約96万回に1回とまれですが、接種後30分は医療機関で様子を見ましょう。

接種の痛みや不安で一時的に気分が悪くなったり、血管迷走神経反射(失神など)を起こしたりすることもあります。以前に注射や採血で血管迷走神経反射を起こしたことがある方は、事前に医師に伝えましょう。

接種による副反応として疑われた歩行障害やけいれん、痛みや自律神経障害などの症状については、国内外で数多くの研究が行われ、HPVワクチンとの因果関係は示されませんでした。

適応

予防接種法に基づき、市区町村が主体となって定期予防接種が行われています。対象者は小学校6年生~高校1年生相当の女子で、無料で接種を受けることができます。

対象年齢を過ぎた女性でも、任意で(自費で)接種を受けることが可能です。予防効果の観点から26歳までは接種が推奨されています。それ以上の年齢の場合、有効性はライフスタイルにより異なりますので、産婦人科で相談しましょう。

また、9歳以上の男性も任意で接種を受けることができます。ただし、現在のところ日本で男性に適応のあるHPVワクチンは4価ワクチンのみとなっています。

接種前後の注意

HPVワクチンに限らずほかの予防接種についても同様ですが、体調がよいときに接種しましょう。また、これまでに注射や採血で気分が悪くなったり失神したりしたことがある(血管迷走神経反射を起こしたことがある)方は、問診の際に伝えましょう。こうした方については、横になった状態で接種するなどの対応を取ることができます。

接種後はすぐに帰宅せず、30分は医療機関で様子を見ましょう。帰宅後は普段どおりの生活で構いません。何か気になる症状があれば接種した病院に相談しましょう。

費用の目安

小学校6年生~高校1年生相当の女子を対象とした市区町村の定期予防接種では、費用の全額が公費によって負担されるため、2価、4価、9価ワクチンのいずれかを無料で接種することが可能です。

対象年齢を過ぎた女性や男性においては全額自己負担で接種を受けることになります。医療機関によって費用は異なりますが、2価ワクチンと4価ワクチンは3回接種で約4~5万円、9価ワクチンは3回接種で約8~10万円です。

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