新型コロナウイルス感染症特設サイトはこちら
編集部記事

精密検査後に子宮頸がんと診断される確率とは?~精密検査=がんということではない~

精密検査後に子宮頸がんと診断される確率とは?~精密検査=がんということではない~
井箟 一彦 先生

和歌山県立医科大学 産科婦人科 教授

井箟 一彦 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

子宮頸がんとは、子宮の入り口である“子宮頸部(しきゅうけいぶ)”に生じるがんのことをいい、日本では20歳以上の女性に対し、2年に1度の子宮頸がん検診を受けるよう推奨しています。子宮頸がん検診では子宮の入り口付近の細胞を採取して異常な細胞がないかどうかを調べる細胞診が行われています。この結果、子宮頸がんの疑いがある場合は要精密検査との判定を受けることがあります。

しかし、精密検査の必要があっても、進行したがんであることは比較的まれで、多くは自然に治る可能性のある軽い細胞の異常や、まだがんになる前の状態(前がん病変)であることが多いため、落ち着いて精密検査に臨むようにしましょう。

本記事では、子宮頸がんの検診の結果の見方や、検診結果後に要精密検査の必要がある場合にどのような検査が行われるのかについて詳しく解説します。

※本記事は一般医療ライターが執筆し、当該領域専門医の監修のもと掲載している情報です。

子宮頸がんの検診を受けると、その結果は『今回は異常所見を認めませんでした(異常なし)』と『精密検査が必要です(要精密検査)』という2つの判定のうちのいずれかとなります。また、判定結果は“NILM”“LSIL”“HSIL”など、アルファベットで記載されることもあり、これは子宮頸がん検診で行われる細胞診検査の結果を示す“ベセスダシステム”と呼ばれる分類によるものです。

子宮頸がんには扁平上皮がん、腺がんという大きく2つの組織型があり、ベセスダシステムでは、細胞の異常を扁平上皮細胞と腺細胞の2種類に分け、その中でさらに詳しく分類されています。

細胞診検査の“ベセスダシステム”に基づく分類

画像-620_子宮頸がん 要精密検査

以上から子宮頸がんの検診では“NILM”以外の結果が出た場合は、精密検査が必要です。

厚生労働省*によれば、検診を受けた人の中で精密検査が必要となる人の確率は1.2%程度という報告があります。また、精密検査をした人の中で、実際に子宮頸がんと診断されるのは0.05%程度です。この数値からほどんどの人は検診後に精密検査となったとしても、子宮頸がん(浸潤がん)の診断はつかないということなります。

*がん検診事業の評価に関する委員会,「今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について」,2020-03より

これは、子宮頸がん検診で要精密検査判定となる多くの人は、正常と子宮頸がんの間に該当する“異形成”の状態だからです。

異形成の中でも若い女性に多く見つかる軽度異形成(LSIL)という状態は、その大部分が自分の免疫の力などで数年以内に自然に正常に戻るといわれています。一方、一部の人はもう少し進んだ中等度異形成や前がん状態である高度異形成(HSIL)の状態で見つかり、その中のさらに一部の人が最終的に子宮頸がんに進行します。そのため、精密検査が必要といわれたからといって直ちに“がんにかかった”というわけではありません。

しかし、もしものためになるべく早く産婦人科を受診して精密検査を必ず受け、自分の今の状態を正確に診断してもらうことが重要です。検診や人間ドックなどで行われる細胞診は、病気の“疑い”があるかどうかをふるいにかけるものであり、病名を確定するものではないことを理解しましょう。

なお、まれに子宮頸がん検診の判定が“不適正”とされ、細胞診の再検査が必要になることがあります。これは採取された細胞の量が不十分であったり、検査のための適切な標本が作成できず正確な判定ができなかったりするためであり、がんの疑いではありません。

子宮頸がんの精密検査では、上で述べた“ベセスダシステム”に基づく分類によって、検査内容が変わります。以下では、それぞれの検査内容についてお伝えします。

  • ASC-US……ハイリスクHPV検査が行われます(以下の項で解説)。HPV検査が陽性の場合はコルポスコープ診と組織診検査が行われます。HPV検査ができない場合は6か月以内に細胞診の再検査が行われる場合もあります。
  • ASC-H、LSIL、HSIL、SCC……コルポスコープ診と組織診検査(生検)が行われます。
  • AGC、AIS、Adenocarcinoma……コルポスコープ診、組織診検査(生検)、子宮の奥の頸管や内膜の細胞診や組織診検査が行われます。
  • other malig……子宮頸がん以外の病変を探します。

子宮頸がんの検診では、細胞診検査が行われます。子宮頸部の細胞を採取し、顕微鏡で見る検査です。検診で要精密検査となった場合は以下の精密検査が行われますが、まれに判定が不適正(判定不能)とされた場合には、検診と同じ細胞診をもう一度行います。

またASC-USと判定されHPV検査ができない場合には細胞診検査の再検査が実施されることもあります。

細胞診は、あくまで病変の疑いがあるかどうかをスクリーニングする検査であり、病名を確定するのは以下の組織診(病理診断)で行います。

ハイリスクHPV検査とは、子宮頸がんの発生に関連したヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しているかどうかを調べる検査です。子宮頸部の細胞を採取し、検査します。

HPVは100種類以上あるウイルスですが、そのうちの約13種類が子宮頸がんの発生と関連があるといわれています。そのため、細胞診で軽度の異常が発見されたASC-USの人にこの検査を行うことによって、子宮頸がんの発生に関連のあるHPVに感染しているかどうかを調べます。

コルポスコープ診とは、コルポスコープと呼ばれる拡大鏡を用いて子宮頸部を拡大して見る検査です。拡大することによって、肉眼では確認できない病変を見ることができます。

組織診検査とは、子宮頸部の組織を採取し、顕微鏡で見る検査です。コルポスコープ診で異常所見を示した部位から数か所組織を採取し、病理組織診断を行います。これにより病変の正確な診断が決定され、軽い異形成なのか、前がん病変なのか、すでに子宮頸がんになっている場合はがんの深さはどのくらいなのか、などが分かります。

また、生検による組織診だけでは診断が難しい場合には、“子宮頸部円錐切除”が正確な診断・検査目的で行われることがあります。子宮頸部円錐切除は、レーザーや特殊な電気メスなどで子宮頸部全体を切除する処置です。検査目的で行われる場合、切除した部分をもとに病理診断やがんの進行度合いを判断します。

上で述べた検査のほかにも、がんがあることが明らかである場合には、エコー(超音波)検査やCT・MRI検査などの画像診断を行うことがあります。また、血液中のがんから産出される物質を測定する“腫瘍(しゅよう)マーカー検査”が行われることもあります。

なお、検診の結果が“other”の場合には、子宮頸がん以外の可能性を視野に入れ、検査を行うことになります。

検診で要精密検査という判定になっても、すぐに”がん”だと決めつけず、冷静に対応をすることが重要です。まずは放置せず、必ず精密検査を受けるようにしましょう。

精密検査の結果、軽い異形成であれば自然に正常に戻ることも多いため、経過観察となり、すぐに手術や治療が必要とならない場合もあります。一方で、高度異形成などの前がん病変は時間の経過とともにがん化することもあるため、がんになる前に治療を要する場合もあります。したがって、医師だけではなく自分自身も今の正確な病状をしっかりと理解し、医師の指示に従って定期的な検査を受けるなど、がんを見落とさないよう注意しましょう。

受診について相談する
  • 和歌山県立医科大学 産科婦人科 教授

    井箟 一彦 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が28件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「子宮頸がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。