人工授精とは、カテーテルを用いて子宮内に精子を注入するという治療法です。タイミング法の次のステップとなります。人工授精の方法や成功率について、田園都市レディースクリニック理事長の河村寿宏先生にお話しいただきました。
人工授精は、精子を子宮内に人工的に注入することで受精することを期待する治療法です。精子の数が少なかったり、精子の運動率が低かったり、あるいはフーナーテスト*(性交後検査)の結果が良好でない場合や、性交障害がある場合などに実施します。
*フーナーテスト:性交後、注射器で頸管粘液を採取し、頸管内に精子が進入しているかどうかを調べる検査。
人工授精では、受精の場である卵管にできるだけ多くの活発な精子を送り届けるために、精液を洗浄・濃縮して良好運動精子(活発に運動している精子)を集め、柔らかいカテーテルで子宮内に注入していきます。
人工的に行うのは、精子を子宮内に注入するところまでで、その後は自然の力に任せます。精子が自力で卵管内に泳いでいきますので、卵子と受精する過程は自然妊娠と同じになります。
良好な運動精子を多く収集するために、専用の精子調整液を使用し、遠心分離機にかけ洗浄・濃縮を行います。その後、精子を子宮の中に入れます。その際の痛みはほとんどありません。
少量の出血がある場合もありますが、ほとんどのケースで一時的なものであり、妊娠を妨げないため、心配する必要はありません。
先にご紹介したとおり人工授精は、
などといった場合に実施します。つまり、通常の性交では、卵子の元へ精子がたどり着くことが困難と判断した場合です。
年齢(そのカップルとも、特に女性側)や精液所見(精子の運動能力や濃度、量、総運動精子数など)、排卵誘発剤使用の有無等によって異なりますが、一般的には1回の治療あたりの妊娠率が数~十数%であり、あまり高いとはいえないのが現状です。なお排卵誘発剤を使用して発育卵胞数が3個以上となった場合は、多胎妊娠(2人以上の胎児を妊娠すること)防止のため、人工授精の中止を検討します。
人工授精により妊娠に至った方の約90%は、人工授精の治療開始後5、6回までに妊娠されています。
女性の年齢が高い場合は、回数にこだわらず早めに高度生殖医療(生殖補助医療)へのステップアップを検討する必要があります。
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経腟超音波検査や女性の尿中のホルモン、頸管粘液の性状などから、排卵日をできるだけ正確に把握します。また、人工授精実施日に、パートナーの男性にはマスターベーションにより精液を採取していただきます。採取した精液は医療機関で洗浄・濃縮し、良好な運動精子を集めます。集められた精子は、柔らかいカテーテルを用いて排卵のタイミングで子宮内に注入されます。
人工授精後は、感染を予防するため抗生剤を内服していただきます。また、必要に応じて黄体ホルモン製剤の投与を行うこともあります。日常生活は普段どおりで問題ありません。
2017年時点では、柔らかいカテーテルを使用するのが一般的であり、多くの場合痛みはありません。しかしながら、子宮頸管が大きく曲がっている場合は子宮にカテーテルが入りにくくなるため、カテーテル挿入の際に痛みを伴うことがあります。
保険適用外のため、治療を行う施設によって差がありますが、一般的には1回あたり2~3万円程度です。
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田園都市レディースクリニック 理事長、田園都市レディースクリニック あざみ野本院 院長
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