『妊婦健診の内容 基本的な検査では何を行うのか』では、妊婦健診で必ず行われる基礎的な検査項目をご紹介しました。本記事では、妊娠初期~11週にかけて行われる検査内容をご紹介します。昭和大学医学部産婦人科学講座准教授の松岡隆先生にお話頂きました。
血圧、尿、体重、子宮底長、腹囲は、時期に関わらず健診ごとに計測します。
妊娠初期にあたる11週までは子宮がん検診、正常妊娠、流産の有無、多胎、その他の絨毛性疾患、悪阻の程度をチェックします。正常妊娠していない場合(異所性妊娠)は手術の検討をします。
妊娠初期は流産しやすい時期です。しかし、妊娠初期の流産は受精卵そのものに原因があることがほとんどで、お母さんがあれをしていなかったからうまくいかなかった、逆にこうしておけば上手くいった、ということはありません。自然妊娠の10~15%は初期に流産してしまいます。これは避けることの出来ないことですので、心配しすぎたり、結果が悪かったからと責任を探すのはあまりよいことではありません。それよりは、赤ちゃんの力を信じて待ち、結果を受け止めてあげることが重要です。そうして、11週を超えたら本当の妊婦健診がスタートするということを覚えておくといいでしょう。
ヘラあるいはブラシなどの検査器具で子宮頸部の細胞をこそげ取り、顕微鏡で観察する検査です。がん細胞もしくは前がん状態の細胞があるかどうかを調べます。できれば妊娠8~10週までに行うことが望ましいとされています。
母児の管理のため、感染症に感染していないかを調べます。
特に、クラミジアなどの性感染症は女性にとって負担が大きい感染症でもあり、赤ちゃんに感染すると重篤になる恐れがあるため、公費で検査を行ってくれるところもあります。
食事はこまめに、食べられるものだけを摂っていただければ大丈夫です。妊娠前期では栄養バランスは気にしなくて構いません。できるだけおなかが空いている時間を少なくし、所謂だらだら食いをする感覚でいてください。ただし、お水も飲めないようになったら、入院を検討するようにしましょう。
妊婦さんはばい菌に弱いため、感染のチャンスを減らすという目的でも生ものの摂取を避けるようにしましょう。その他、パテや生ハムなど非加熱の食材もそういった菌が存在していることがあるため、注意すべき食材といえます。
食事の際には手洗いをしっかりと行い、旦那さんもしっかり手洗いをしてもらうよう励行します。
流産予防の方法は、残念ながらありません。しかし、安静にしていることは実はあまり意味がないことがわかっています。むやみに動けとはもちろんいいませんが、安静にしていても流産しないという確証はないのです。
昭和大学 医学部産婦人科学講座 准教授
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