インタビュー

妊婦健診の目的 なぜ妊婦健診は必要なのか?

妊婦健診の目的 なぜ妊婦健診は必要なのか?
松岡 隆 先生

昭和大学 医学部産婦人科学講座 准教授

松岡 隆 先生

この記事の最終更新は2016年02月21日です。

妊婦健診とは、妊娠した方が受けることを推奨されている健康診断のことです。日本の妊婦健診は非常に綿密に行われており、その結果として出産の経過や出産後の赤ちゃんの成長、お母さんの体調が非常に良好な傾向にあるといわれています。今回は妊婦健診の目的や重要性について、昭和大学医学部産婦人科学講座准教授の松岡隆先生にお話頂きました。

妊婦健診は、妊婦さんが安心して妊娠生活を送り、健康な赤ちゃんを産むために欠かせない健康診査です。妊婦さん全員が受けることが望ましいとされています。

「健診」とはそもそも、健康な方が「健康」であることを確認するために行われる検査のことを指します。そのため、健診では基本的には何も起きません。つまり健診は、「正常」の推移を確認する検査なのです。もしもそこで異常があった場合は、紹介されて適切な病院へ行くことになります。

妊婦健診の目的は、定期的に健診を受けることでお母さんの健康状態と赤ちゃんの発育状態を常にチェックし、安心・安全に妊娠期間を過ごしていただくことです。また、もし健診でお母さんや赤ちゃんに異常が見つかった場合でも、早期に適切な対応を取ることができます。特に貧血妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病などの病気は赤ちゃんの発育にもお母さんの健康にも悪影響を及ぼすため、注意深くチェックする必要があります。

妊婦健診を受けなかった場合はこれらの異常に気付くことが遅れてしまうか、気づかないまま出産まで進んでしまうことがあるため、必ず受けることが推奨されています。

「健診」と呼ばれるとおり、健康な方を対象にしているのが妊婦健診です。つまり妊娠は基本的に正常な過程です。妊婦健診は、その妊娠経過が正常な過程から逸脱していないかを確認する目的で行われます。ただし、「正常」であることを証明するのは、異常を発見するのと比較して非常に難しいのが特徴です。また、妊婦健診では、正常の妊娠経過の確認とともに、胎児が元気に育っているかどうかも確認します。

正常であることを確認しに行く検査ならば、妊婦健診を受けても受けなくても同じではないかという疑問を持たれる方もいるでしょう。しかし、未受診妊婦、つまり妊婦健診を定期的に受けていない妊婦さんは、お産の結果が悪いというデータが出ています。このような事態を防ぐためにも、妊娠の途中で逸脱してしまった妊婦さんを見つけるためにも、妊婦健診は意味があると考えています。ですから、やはり妊婦健診は意味があるといえるでしょう。だからこそ、公的に費用が補助されているのです。こう考えてみると、妊婦健診を受けない手はないといえます。

都道府県や病院の規模によって異なります。市役所で届け出をすることで、母子手帳とともに支給される補助券が使える場合もあります。なお、基本的に妊婦健診は健康保険適応外であり、全額自己負担となりますが、地域によっては妊婦健診を公費補助で受けられる受診券や、保健師による相談や情報提供を受けることができるところも存在します。

妊婦健診は少なくとも妊娠11週末までに3回程度、12~23週末までは4週ごと、24~35週末までは2週ごと、それ以降の40週末までは1週ごとに行われることが望ましいとされています。妊婦健診を受けられる場所は、大学病院から産婦人科専門クリニック、助産所まで多岐にわたります。少数派ですが、ご自宅で出産をされる方もいらっしゃいます。

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