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妊娠中の皮膚のかゆみの原因とは?~妊婦に起こりやすい皮膚の病気の種類と症状、その原因と治療法~

妊娠中の皮膚のかゆみの原因とは?~妊婦に起こりやすい皮膚の病気の種類と症状、その原因と治療法~
平井 陽至 先生

岡山大学病院 皮膚科 助教

平井 陽至 先生

目次
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妊娠は母体に大きな変化をきたします。そのため、さまざまな皮膚の病気を生じ、強いかゆみを伴うことが多いです。

この記事では、妊婦に起こりやすい代表的な皮膚の病気についてご紹介します。

妊娠痒疹(にんしんせいようしん)は、妊娠初期の経妊婦に現れやすい湿疹です。妊娠性痒疹は妊娠3~4か月頃に、お腹や手足にかゆみを伴う紅色丘疹(赤いぶつぶつ)が現れ、出産後2~3か月以内に軽快することが多いです。

多形妊婦疹(たけいにんぷしん)は、妊娠後期に現れやすい湿疹で、初産婦が多いとされています。とくに双胎の場合に見られやすいとされています。

おなかなどに強いかゆみを伴う蕁麻疹(じんましん)のような赤みやぶつぶつが出現し、水疱のようになることもあります。一般的に、出産後に数日以内で消退することが多いです。

妊娠性類天疱瘡(にんしんせいるいてんぽうそう)は妊娠4か月頃から分娩直後の時期に激しいかゆみを伴う蕁麻疹のような赤みとその周りに比較的小型の緊満性水疱(パンパンに張った破れにくい水ぶくれ)が出現し広がります。おなか(とくにへそ周り)から出現することが多いです。

妊娠痒疹の原因はまだ明らかになっていませんが、自分自身や家族の中にアトピー性皮膚炎の既往歴がある場合に発症する可能性が高いことが分かっています。

多形妊婦疹の発症機序も不明な点が多く、全体的な頻度は妊娠の0.5%前後に発症するとされています。また、体重過多の妊婦、多胎妊娠の割合が比較的多いとされています。

妊娠性類天疱瘡は、異常な抗体が自分の皮膚組織を攻撃してしまうために起きるとされています。正常な抗体は外からの病原菌を排除するためにはたらきますが、この病気は抗体が自分の皮膚組織を攻撃してしまう“自己抗体”を原因とした自己免疫反応で発症すると考えられています。

妊娠痒疹、多形妊婦疹ともにステロイド外用が第一選択となります。一般的な使用方法であれば胎児への影響はほとんどないと考えられます。また、かゆみが強くて眠れないようなときは、胎児への影響が少ない抗ヒスタミン薬を処方する場合もあります。

妊娠性類天疱瘡の治療はステロイド外用が中心ですが、重症例ではステロイドを内服することもあります。出産後、2~3か月で消退することが多いですが、次回妊娠時に再燃する例も多いです。

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