るいてんぽうそう

類天疱瘡

別名
水疱症
最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

虫さされや感染症などの明らかな原因がないにもかかわらず、皮膚に水ぶくれが生じる病気である水疱症のひとつです。類天疱瘡は自己抗体が関連して発症し、体幹や上下肢に水疱が多数形成されます。

水疱が破れてびらん(表皮細胞がはがれてただれる状態)を形成することや、口腔粘膜や性器などの粘膜に病変が現れることもあります。

類天疱瘡は、高齢者に多い病気です。発症に自己免疫が関与しているため、治療には主にステロイドが用いられます。

原因

皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下脂肪組織の3層構造をしていますが、表皮と真皮の間には基底膜という、タンパク質でできた互いを接着する構造があります。同時に表皮の細胞同士もしっかりくっつき合っており、全体として強いつながりを持っています。

類天疱瘡では、この基底膜に存在するタンパク質に対する自己抗体が産生され、皮膚が脆弱(ぜいじゃく)(弱くもろくなる)になります。そのため、日常での些細な外力が原因となり、水ぶくれなどを起こすようになります。

症状

類天疱瘡では、体幹や上下肢を含む全身に水疱が多数形成されます。水疱は緊満感が強く、中に液体成分が充満しています。

水疱が破れてびらんを形成したり、かゆみや紅斑が現れたりすることもあります。水疱やびらんは、非常に軽微な外力で簡単に生じます。

最終的に潰瘍(かいよう)を形成することもあります。また、皮膚以外にも口腔粘膜や性器などの粘膜に病変が現れることがあります。

検査・診断

類天疱瘡では、血液検査や病理検査が行われます。血液検査では血中の自己抗体を検出します。病理検査とは、皮膚を採取して(皮膚生検)、顕微鏡によって病変部位を詳細に確認する検査で、水疱がどのようにできているかを確認します。

さらに、蛍光抗体直接法と呼ばれる方法を用いて、問題となっている自己抗体が基底膜に沈着していることを確認します。

治療

類天疱瘡の治療には、主にステロイドが用いられます。ステロイドの使用方法は重症度によって異なり、状況に応じて外用薬や内服薬が選択されます。ステロイドの内服前に、テトラサイクリンとニコチン酸アミドを併用内服することもあります。

ステロイドを中心とした治療で改善しない場合には、より大量にステロイドを使用するステロイドパルス療法や免疫抑制剤による治療、透析血漿交換療法(けっしょうこうかんりょうほう))、免疫グロブリン大量療法などが行われることがあります。

類天疱瘡の皮膚症状は、皮膚に外力が加わることで悪化するため、ベルトなどで締めつけすぎない、皮膚をかかないなど、日常生活で注意をはらうことも大切です。

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