治療
アトピー性皮膚炎を根本的に治す方法は残念ながらありません。そのため、アトピー性皮膚炎の治療は、皮膚のバリア機能を改善・維持するためのスキンケア、かゆみや湿疹症状を改善するための薬物療法、そして症状を悪化させる要因を排除することが治療の主体となります。
スキンケアは皮膚を清潔にキープして乾燥を防ぐため、保湿剤などを用いて行います。一方、症状を改善させるためには皮膚の炎症やアレルギーを抑えるステロイド薬や免疫抑制剤の塗り薬を使用したり、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬などの塗り薬や飲み薬を使用したります。そして、症状を悪化させる要因を排除するには吸水性の高い肌着を身につける、身の回りを整えてダニやホコリなどを極力減らすといった対処が必要です。
また、アトピー性皮膚炎は上述した対症療法で症状が改善したとしても再発を繰り返すのが特徴です。そのため、症状が改善した後もその状態をキープするためにステロイド薬の塗り薬の使用を続け、徐々に薬の量を減らしていくのが一般的です。
2018年、ステロイド外用剤などの従来の治療法で十分な効果を得られないアトピー性皮膚炎に対し、注射薬である生物学的製剤が登場しました。また、経口JAK阻害剤も使用可能となっています。ステロイド外用剤の副作用の1つに、長期外用に伴う皮膚の菲薄化がありました。そのため、新規外用剤の開発が待たれていました。2020年、ステロイド外用剤とは作用機序がまったく違う外用JAK阻害薬が登場しました。今後も多くの新規薬剤が登場予定です。
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