治療
蕁麻疹の治療では、薬物治療と原因除去を行います。
薬物療法
副作用が少なく効果が持続する第2世代の抗ヒスタミン薬が主体です。症状が出ているときはもちろん、すでに蕁麻疹が消失している場合でも、再発や悪化を予防するため1週間程度は内服します。
抗ヒスタミン薬で症状が抑えられない場合には、副腎皮質ステロイド薬の内服などを使用することもあります。これらの治療でもコントロールができない場合は、ロイコトリエン受容体拮抗薬*やH2受容体拮抗薬*などを併用することもあります。これらによっても効果が期待できない場合は、免疫抑制剤シクロスポリン*や抗IgE抗体治療薬オマリズマブを検討します。臨床的に、シクロスポリンには皮膚の炎症やかゆみなどに関係するサイトカインという物質の発生を低下させるはたらきが、オマリズマブはヒスタミンの分泌を抑える作用が期待されます。また、最近ではサイトカインのはたらきを直接抑制するデュピルマブ**などの新薬の開発も進められ、2024年2月には慢性特発性蕁麻疹に対して保険適応となりました。
慢性蕁麻疹では、こうした薬剤を長期にわたり使用するため、副作用が現れないよう慎重に経過を評価して減薬や断薬時期を判断します。
*ロイコトリエン受容体拮抗薬・H2受容体拮抗薬・シクロスポリンは蕁麻疹に対して保険適用外。
原因除去
蕁麻疹の再発を防止するためには、原因となる刺激を避けることが重要です。ある特定の食物や薬剤などが原因と判明した場合、これらを摂取(もしくは接触)しないようにします。
蕁麻疹では、アナフィラキシーショックを発症することもあるため、発症した場合は迅速に医療機関を受診しましょう。アナフィラキシーショックを繰り返す場合は、症状を一時的に緩和するアドレナリン注射薬を携帯することもあります。本人はもちろん、周囲の方がアナフィラキシーの症状がどのようなものか、どのようなときに注射薬を使用するべきかなどの知識を身につけることも大切です。
医師の方へ
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【第51回日本皮膚免疫アレルギー学会レポート】アドレナリン性蕁麻疹の診断と治療――鑑別に難渋した症例を含めて(4500字)
コリン性蕁麻疹と類似した疾患にアドレナリン性蕁麻疹がある。しかし蕁麻疹診療ガイドライン2018や、2021年に改定されたEAACI(欧州アレルギー臨床免疫学会)のガイドラインにおいても、アドレナリン性蕁麻疹は取り上げられていない。本疾患の診断や治療はどのように行っていけばよいのだろうか。第51回日本
【第120回皮膚科学会レポート】蕁麻疹に対するオマリズマブ治療(2800字)
蕁麻疹は、掻痒を伴う浮腫性紅斑や皮疹の発生・消退を繰り返す、罹患率の高い皮膚疾患である。ヒトIgEに対するモノクローナル抗体製剤であるオマリズマブは、蕁麻疹の病型の1つである特発性の慢性蕁麻疹への治療薬として、2017年3月から保険適用となっている。広島大学大学院医系科学研究科 皮膚科学准教授 田中
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