風邪は季節に関係なくかかる病気ですが、1年の中でも特に冬にかかりやすくなります。
その原因のひとつに“乾燥”が挙げられ、冬は空気が乾燥することで風邪をひきやすくなりますが、乾燥と風邪にはどのような関係があるのでしょうか。
また、冬に風邪をひかないためにはどういった対策が効果的なのでしょうか。
冬は空気が乾燥する季節ですが、乾燥した冬に風邪がはやるのは、ウイルスが乾燥した環境を好むこと(環境面)と、乾燥や低温によって体の防衛機能が低下すること(体調面)の2つが主な原因と考えられています。
風邪を引き起こすウイルスは200種類以上あるといわれており、その多くは低温かつ乾燥した環境を好みます。そのため、冬はウイルスが生き続けやすく感染する可能性が上がります。
また、本来喉はウイルスなどの外敵の侵入を防ぐはたらきを持ち、外敵が入ってくると喉や鼻の粘膜に付着して外に追い出そうとしますが、空気が乾燥していると喉や鼻の粘膜も乾燥するため防衛機能が低下します。その結果、ウイルスに感染しやすくなるのです。
風邪以外にも、冬に起こる空気の乾燥によって発症しやすい病気があります。
代表的なものがインフルエンザとノロウイルスで、どちらも風邪と同じようにウイルス感染症に分類されます。
インフルエンザは毎年約1千万人がかかる身近な病気で、12月ごろに流行し始め、1~3月ごろが流行のピークです。
感染すると1~3日程度の潜伏期間を経て、発熱(多くは38℃以上)や頭痛、体のだるさ、関節痛、筋肉痛などの症状が現れます。
ほとんどの場合は1週間程度で自然に治りますが、まれに脳症や肺炎をはじめとする合併症が生じることもあります。
ノロウイルスは、冬の食中毒を引き起こす原因となるウイルスです。
汚染された食品や生の二枚貝などを食べた場合に感染することがあるほか、感染者の嘔吐物や糞便が飛び散って、その飛沫(ノロウイルスを含んだ小さな水滴)が口に入った場合などにも感染します。
感染すると急性胃腸炎を発症し、通常1~2日間の潜伏期間を経て、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、発熱などの症状が現れます。
環境面での風邪の予防対策としては、室内の湿度を保つことが効果的です。
冬は外気が乾燥しているほかにも、暖房を使用することで室内の乾燥がさらに進んでしまいます。乾燥が進むと喉や鼻も乾燥しやすくなってしまうので、加湿器などを使用して湿度を50~60%程度に保っておくようにしましょう。加湿器がない場合は、濡れたタオルをつるすのもよいでしょう。
ただし、加湿器を使用する場合、加湿器の手入れ方法がよくないと内部でカビや細菌などが発生し、レジオネラ症といった感染症にかかる恐れがあります。そのため、加湿器の貯水タンクの内面を丁寧に洗って清潔にしたうえで使用し、水を毎日交換するようにしましょう。
体調面における風邪の予防対策としては、マスクをつけることと水分をこまめに摂ることが効果的です。
乾燥によって喉の粘膜が傷つくことでウイルスが侵入しやすくなりますが、マスクを着用することによって喉が保温、保湿され、ウイルスなど外敵からの防衛機能が高まります。また、水分をこまめに摂ることで喉を乾燥から守ります。
空気が乾燥するとウイルスが生存しやすく、また喉が乾燥してウイルスが侵入しやすくなることから、乾燥する冬に風邪がはやります。
乾燥対策としては、室内の湿度を保つこと、マスクをつけること、水分をこまめに摂ることの3つが大切ですので、風邪をひかないように乾燥対策をしっかりと行うようにしましょう。
しかし、風邪を引き起こす原因は乾燥だけではありません。免疫力が低下しているときには風邪をひきやすくなります。そのため、乾燥対策に加えて、日頃から体調管理をしっかりと行っておくことも大切です。