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インタビュー

公開日 : 2016 年 11 月 06 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

なぜ在宅医療は必要なのか。患者さんに合わせた診療を提供するためにできることとは。

在宅医療は、医師と患者さんとで訪問する予定を決めたうえで、定期的に訪問し診療を行うことをいいます。今回取材させていただいた小畑正孝医師は、住み慣れたご自宅で最期まで安心して暮らしたいという患者さんの想いに寄り添った在宅医療を提供したいと、2016年9月に赤羽の地で開業されました。在宅医療のメリットや始め方、また今後の展望について赤羽在宅クリニック院長の小畑正孝先生にお話しいただきました。

在宅医療の道を選んだきっかけとは

分かれ道

私は子どもの頃、喘息を患っていたため、病院にはよく通っていました。発作はつらいのですが、病院に通って治療をしてもらうとすぐに楽になりました。ですから、私にとって病院は「安心できる場所」でした。その経験が、医師の道へ進むきっかけになったと思います。

また、研修医時代に医療制度の矛盾を感じた経験から、大学院に進み公衆衛生学を学びました。矛盾を感じた点というのは、急性期医療のあり方です。

急性期医療では、高齢者にも若い人にも同じ医療を行う傾向にあります。例えば、高齢者では老衰によって肺炎を起こしやすくなります。老衰が原因ですから、治療を行っても肺炎を繰り返してしまう方が多くいます。しかし、病院はそれでも搬送されてきた患者さんの治療を懸命に行います。これは一見素晴らしいことのように思えますが、先に述べたことが繰り返されれば医療費は膨らみ続けます。もしかすると、治療や入院を望まず、ご自宅で最期までゆっくり過ごしたいと思われている方もいるかもしれません。とすれば、誰も望まない治療が行われていることになります。このような医療制度の矛盾は、医療制度や政策に問題があると考え、先に述べた通り、これらの研究を行うため大学院に進みました。

在宅医療に携わったのは、大学院生時代のことです。在宅医療に携わってみると、急性期医療と環境や考え方が異なることに驚くとともに、在宅医療の必要性を強く感じました。さらに、医療制度を変えるという方法ではなくても、患者さんと密にコミュニケーションが取れる在宅医療でできることがたくさんあると感じ、在宅医療の道へ進むことを決意しました。

在宅医療(訪問診療)と往診の違いは何か

訪問診療

在宅医療(訪問診療)は、ご自宅や施設など生活を送っている場に、医師を含む医療従事者が定期的に伺い、診療を行うことをいいます。

よく在宅医療(訪問診療)と往診を混同してしまう方も多くいらっしゃいます。どちらもご自宅や施設などに医師が訪問して診療を行う点では同じですが、「定期的な訪問かどうか」という点が異なります。在宅医療(訪問診療)は、「毎週○曜日○時」というように、医師と患者さんとで訪問する予定を決めたうえで、医師が1週間もしくは2週間に1回のペースで定期的に訪問し診療を行います。一方往診は、急変時など、患者さんやご家族の要望があった場合に、その都度訪問し診療を行うことをいいます。

在宅医療は、定期的・継続的に患者さんを診療することができるため、患者さんの状態の変化にすぐに気づくことができたり、患者さんの生活に合わせた診療を行うことができます。