夏になると熱中症を発症する人が続出しますが、対策を行うことで発症を防ぐことができます。熱中症対策には日差しを避ける、体を冷やす、こまめに水分・塩分を補給するなど自己管理が非常に重要となります。近年では熱中症対策に活用することで熱中症予防につながる便利なグッズがあるので、これらをうまく活用して自分自身で積極的に熱中症の予防に努めるようにしましょう。
本記事では熱中症対策に効果的なグッズとその活用方法をご紹介します。
熱中症は高温多湿の環境に体が対応できず体温の調整機能がうまくはたらかず体に熱がこもってしまうことで起こります。したがって、熱中症の予防にはまず体にこもった熱を解放してあげることが大切です。
熱を解放するのに役立つグッズにはクールスカーフや冷却スプレー、保冷剤などがあります。これらを太い血管のある首の両側や腋の下などに当てて冷やすことで、体にこもった熱を素早く解放できます。なお、持参できる対策グッズがない場合には自動販売機で冷えたペットボトルや缶を購入し、タオルでくるんで首の両腋や腋の下などを冷やすとよいでしょう。
外出時には日傘や帽子を使用して日差しを避け、うちわや扇子、小さな扇風機などで体温を調節するとよいでしょう。また、室内では日差しに直接当たることを避けるように心がけましょう。すだれや遮光カーテン、ブラインドなどを用いて窓から差し込む日差しを遮ることで直接日差しに当たることを避けられるので、室内温度の上昇を抑えることができます。ただし、このようなグッズを利用しても室内温度が28℃を超える場合には我慢せずエアコンを利用しましょう。
大量に汗をかくと体の水分や塩分が体外に出てしまうため、体内の水分・塩分が不足し脱水に陥ったり熱中症を発症しやすくなる場合があります。そのため、水分だけでなく塩分もしっかりと補給しましょう。
普段は水やお茶でもよいですが、汗をかいたときには適度に塩分を含むスポーツドリンクや経口補水液などが最適です。また、食塩水(水1Lに1~2gの食塩)も有効です。適度に冷えた状態で飲めるよう、外出時には保冷性に優れたペットボトルホルダーや水筒などを利用するとよいでしょう。
水分補給では喉が渇く前からこまめに行うことが大切です。喉が渇いたと感じる頃にはすでにかなりの水分が失われています。また、胃に入った水分は小腸から吸収され血液中に取り込まれますが、一度に吸収できる量は限られているので吸収するための時間も掛かります。したがって、喉が渇く前から180~360ml程度の水分をこまめに取るようにしましょう。
熱中症の原因は高温多湿の環境だけでなく、体内の水分と塩分のバランスが崩れることでも起こります。上で述べたように大量に汗をかいたときには塩分も失われるので水分のみの補給では不十分です。
スポーツドリンクや経口補水液、食塩水などの飲料で水分と塩分を同時に補給できますが、塩飴や塩タブレット、梅干し、味噌汁、塩昆布などの食べ物で塩分を摂取する方法もあります。外出時には携帯に便利な食べ物を持参して適度に塩分を摂取すると熱中症の予防につなげることができます。
ただし、塩分の取りすぎには注意が必要です。血圧が高めの人や塩分制限を行っている人はかかりつけの医師または管理栄養士に相談したほうがよいでしょう。
水分だけ摂取した場合、血液中の塩分濃度(ナトリウム濃度)が下がり、濃度を一定にしようとして水分を取るなという指令が脳からでます。そうすると水分を欲しがらなくなり水分不足に陥ってしまう可能性もあることから、塩飴や梅干しなどの食べ物で塩分を補給する場合には適宜食べるか水分補給と同時がよいでしょう。
熱中症の予防には日差しを避けること、体を冷やすこと、こまめに水分・塩分を補給することが大切です。それぞれの対策において便利なグッズがたくさんあり、これらをうまく活用することで熱中症をより効果的に予防することができます。
熱中症は身近な病気ですが重症化すると命に関わることもあります。自分でできる対策を積極的に行い、熱中症予防に努めましょう。
医療法人社団ときわ 理事長、医療法人社団ときわ 赤羽在宅クリニック 院長
2008年、東京大学医学部卒業。卒業後の2年間の研修医生活のなかで多くの矛盾や課題を発見したことがきっかけで、初期臨床研修終了後は医療制度・政策を研究するためすぐに東京大学大学院に進学し、公衆衛生学を学ぶ。在宅医療には大学院生時代のアルバイトから携わる。医療の矛盾や課題は、在宅医療という形でも解決できると考え、以後、在宅医療を専門とする診療所で院長として診療に従事。約300名の主治医として、患者さんに寄り添った診療を提供。より質の高い在宅医療を多くの方に提供するため、2016年9月に在宅医療を専門とする「赤羽在宅クリニック」を開業し、日々診療に邁進している。
小畑 正孝 先生の所属医療機関
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