症状
痔核の症状
内痔核は排便時に出血しますが、痛みはないことがほとんどです。ただし、肛門から脱出した内痔核が元に戻らなくなり、血栓や潰瘍、壊死、リンパ浮腫などをきたした状態は嵌頓痔核と呼ばれ、激しい痛みを伴います。
外痔核は排便時に肛門部で膨らみますが、痛みはあっても鈍痛です。しかし、静脈に血栓(血液が固まったもの)ができると(血栓性外痔核)、激しい痛みが起こります。血栓性外痔核には通常、保存的治療を行いますが、血栓が大きく痛みが強い場合や出血が続く場合には外科的な切除も考慮します。
痔瘻の症状
肛門周囲膿瘍では、比較的急に肛門部の腫れ、痛み、発熱を生じます。膿瘍を切開して膿を出す(排膿)と、症状は速やかに改善します。皮膚に近い肛門周囲膿瘍は腫れや痛みがあり分かりやすいですが、深い膿瘍(直腸周囲膿瘍や深部膿瘍)では症状が発熱や違和感だけで診断の難しい場合があります。痔瘻になると、間歇的に肛門周囲が腫れるときに強い痛みを感じますが、持続的に膿や血液が出ていると強い痛みはほとんどありません。穴の周囲がかぶれることがあります。
裂肛の症状
排便時に強い痛みと出血があります。通常、出血は紙に付く程度であり、多くはありません。硬い便や下痢便では、排便時の痛みが強くなります。裂肛が慢性化して深くなると、排便後も数時間痛みが続くようになります。
痔瘻がん
痔核・痔瘻・裂肛は何れも良性の病気ですが、慢性の炎症が10年以上続くと、深部痔瘻では肛門管のがんである痔瘻がんの合併が報告されています。痔瘻がんは痔瘻の炎症が10年以上続いている人に肛門管のがんを認めた際にだけそのように呼ぶと決められています。しかし、わずか1年間、3年間の炎症でも痔瘻がんと同様のがんを認めた深部痔瘻の例があるので、長く放置しなければ大丈夫と考えないでください。痔瘻がんになると人工肛門や命に関わることもありますので、深い痔瘻は早く診断・治療する方が好ましいと考えます。
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