原因
痔核の原因
長年にわたる排便習慣(排便時のいきみや便秘など)や生活習慣(排便を我慢する、長時間座り続けるなど)により、直腸や肛門の静脈にうっ血を生じ、痔核がこぶのように膨れて、表面の組織が薄くなり出血します(風船が膨れると薄くなり向こう側が透けて見えるように血液が沁み出しやすくなります)。さらに痔核を支えるクッション組織にも負担がかかり、伸びて弱くなるために痔核を支えきれなくなり、痔核が脱出するようになります。
痔瘻の原因
下痢をすると、歯状線にある肛門陰窩という小さなくぼみに便や細菌が入りやすくなります。肛門陰窩には、粘液を産生する肛門腺が開口しており、便中の汚染物質や細菌がこの肛門腺内を逆行すると感染を生じます。肛門腺内(内肛門括約筋内)、あるいは内肛門括約筋の外側で炎症が激しくなり原発巣を形成します。炎症はそこから抵抗の少ない組織の方向に拡がろうとしますが、集まってきた白血球が感染を抑えるために炎症の周囲に壁を形成して膿が限局した状態を“肛門周囲膿瘍”といいます。肛門周囲膿瘍は自然に破れたり(自壊)、切開排膿したりすることによって皮膚と交通します。肛門内から皮膚までのトンネルが閉じないと、穴から膿が持続的、あるいは間歇的に出るようになり、この病態を“痔瘻”と呼びます。
裂肛の原因
硬い便や下痢便により、肛門上皮が切れることが主な原因とされています。最近は内肛門括約筋の緊張が高いために肛門が狭くなり直腸肛門管内圧が高くなった結果、肛門上皮の血流が悪くなり裂肛を生じる人も増えています。急性の小さい、あるいは浅い傷であれば通常は1週間以内に自然治癒しますが、何度も傷の治りを妨げる硬い便や下痢便を繰り返すと傷が治らずに大きく、深くなります。慢性期になると傷の周囲が硬くなり、傷(裂肛)よりも潰瘍の状態になります(潰瘍は傷の深さが上皮内ではなく、もう一層深い上皮下に及んだもの)。肛門を締めるはたらきをする内肛門括約筋まで炎症が波及すると、括約筋が硬くなり、肛門が狭くなるだけでなく、排便後数時間も痛みが持続するようになります。この状態になると血流が悪化し、傷の治りはさらに悪くなります。
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