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大腸がんの検査・治療(内視鏡治療・外科手術)における複十字病院の取り組み

大腸がんの検査・治療(内視鏡治療・外科手術)における複十字病院の取り組み
生形 之男 先生

公益財団法人結核予防会複十字病院 副院長

生形 之男 先生

目次
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大腸がんにおける治療は、一般的に手術による切除が多いです。多くの場合、腹腔鏡下手術または開腹手術が行われますが、がんの深達度が浅く、広がりが少ないケースでは、内視鏡治療によってがんを切除できることもあります。内科・外科が連携して診療を行っている複十字病院消化器センターでは、内視鏡検査と早期大腸がんに対する大腸内視鏡治療を積極的に行っています。複十字病院で行っている大腸内視鏡検査の流れや大腸がんの治療について、複十字病院副院長の生形之男先生にお話しいただきました。

大腸がんを正確に診断するための大腸内視鏡検査

記事1『大腸がんの早期発見・診断のために―原因からみる予防・検診の重要性』でお話しした便潜血検査の結果から大腸がんが疑われる場合には、大腸がんの診断のための大腸内視鏡検査を行います。大腸内視鏡検査とは、肛門から直接内視鏡を挿入して、大腸の中を観察する検査です。

当院の大腸内視鏡検査は、日帰りで受けていただくことが可能です。ご高齢の患者さんやADL(日常生活動作)に低下がみられる方に対しては、体への負担を減らすために2泊3日の入院期間を設けています。

大腸がんの進行度と症状

がんの進行度はがんの「根の深さ」ではかる

大腸がんは、大腸壁のもっとも内側にある粘膜部位から発生します。がんの進行度をはかるには、見た目の腫瘍の大きさ(横面積)ではなく、大腸壁に対するがんの深さ(根)および多臓器転移の有無をみることが重要です。この腫瘍の根の深さを、深達度といいます。深達度が深ければ深くなるほど、がんが粘膜下層や固有筋層、漿膜下層、漿膜を突き破ってリンパ管や血管などに近づくので、転移を起こしやすくなります。見た目の大きさは進行度にはほとんど関係せず、深達度と多臓器転移によってがんの進行度が決まります。

大腸がんの症状はどの段階で現れる?

記事1『大腸がんの早期発見・診断のために―原因からみる予防・検診の重要性』でご説明したような大腸がんの症状(血便、下血など)は、下図におけるT4a期以降に自覚されることが多いです。ただし、患者さんによっては進行がんの早期段階(T2、T3)で出血することもあります。

また、痛みの症状を伴う場合は、がんが転移している可能性が高いと考えられます。

深達度のイメージと分類
深達度のイメージと分類

大腸がんにおける治療―外科手術と内視鏡治療

大腸がんの治療方法は、がんの深達度・転移の有無にもとづく病期や患者さんの容体などを考慮して選択します。比較的早期の大腸がんで、手術による切除が可能な状態の場合は、原則的に内視鏡治療または手術(外科治療)が行われます。

大腸がんにおける治療選択の考え方
大腸がんにおける治療選択の考え方

大腸がんにおける内視鏡治療の適応範囲・メリット

内視鏡治療は、早期大腸がんのうち、がんの深達度がTisまたはT1で粘膜下層へのがんの広がりが1mm未満の場合に適応されます*。

内視鏡治療のメリットは、日常生活への復帰の早さにあります。お腹を切らずに行う治療であるため、入院期間が外科手術に比べて短く済みます。仕事をされている方の場合は、早期職場復帰を目指すことができます。

当院では、大腸がん検診と内視鏡治療の両方を実施しており、早期発見から早期治療の流れが院内で確立されています。このため、検診で患者さんに早期大腸がんがみつかった場合、そのまま当院にて内視鏡検査・内視鏡治療を受けていただくことができます。

内視鏡治療を行った場合でも、がんの病理組織検査の結果によっては、後日外科手術が必要になることがあります。 

外科手術の方法―開腹手術と腹腔鏡手術

大腸がんにおける外科治療では、開腹手術と腹腔鏡手術の2種類の方法があります。当院では開腹手術・腹腔鏡手術のいずれも実施しており、患者さんの容体や、内科と外科の医師が集まって行う症例検討会の結果などから、適切な治療法を選択します。

大腸がんの手術の流れ

直腸がんに対する手術の方法としては、直腸局所切除術、前方切除術、直腸切断術、括約筋間直腸切除術などがあります。また、結腸がんにおける手術の方法には、回盲部切除術、結腸右半切除術、横行結腸切除術、結腸左半切除術、S状結腸切除術などが挙げられます。基本的には、がんが発生した場所に応じた手術を行います。

薬物治療、放射線治療の併用

内視鏡治療や外科手術でがんを完全に切除できない場合や臨床病期がⅢ期以上の場合、術後に薬物治療や放射線治療を実施します。また、外科治療で全て切除が完了していても、術後病理組織検査の結果でリンパ管浸潤や脈管浸潤などがみられ、再発の可能性が高い患者さんには、術後の補助化学療法(再発予防のための抗がん剤治療)を、6か月間行うことが標準的です。補助化学療法を行うにあたり、当院では、原則として手術を執刀した外科医が継続して患者さんを診ます。

また、がんが末期まで進行して手術が不可能な場合は、一人ひとりの患者さんの状態と希望に応じて、化学療法や放射線治療、対症療法を行っていきます。

大腸がんの内視鏡治療における複十字病院消化器センターの取り組み

内科医と外科医の連携による複合的診療

当院の消化器センターでは、内科・外科・内視鏡科の3科が連携して、消化器疾患における診療を行っています。消化器センターとして一般の消化器疾患を中心にあらゆる病気を診るため、外科医も内科的治療を行っていることが特徴です。症例検討会や術前検討会などは内科医と外科医合同で開き、お互いの意見を共有しあうことを意識しています。

内視鏡検査・内視鏡治療にも積極的に取り組んでおり、2017年は、年間約6,800件の消化器内視鏡検査を実施しました。内視鏡室にはX線透視室が併設されているなど、十分な医療設備が整っています。

市民公開講座による啓発活動

当院では、地域の皆さんに病気についてもっと身近に感じていただくために、各診療科が交代制で、さまざまな市民公開講座を開催しています。2017年10月には、私をはじめとする消化器センターが主催して、「消化器の話題」について一般の方向けに講演を行いました。また、2019年3月には、清瀬市・清瀬市医師会・多摩北部医療センター共同企画の市民公開講座にも参画し、大腸がんの地域医療に関する講演会を実施しました。このような取り組みを継続して続けることで、大腸がんに対する正しい知識と、検診を定期的に受けることの大切さを、地域の皆さんに伝えていきたいと考えています。

患者さんへのメッセージ―地域でがん治療を受けてほしい

生形先生

医療の進歩に伴い、現在では地域にかかわらず、大腸がんの標準治療が受けられるようになってきました。しかしながら、当院の所在地である北多摩北部医療圏の患者さんは、東京都23区内などの別の地域の病院で治療を受けている方が多いという現状があります。大腸がんの手術後の経過によっては、外来通院が何回か必要になるため、遠方の地域で手術を受けた場合、患者さんに負担がかかってしまいます。

当院は、大腸がん・肺がん・乳がんにおける東京都がん診療連携協力病院に指定されています。お住まいの地域で標準治療が受けられるにもかかわらず、遠方への流出が多いことは大きな課題だと考えます。このような課題を解決するためにも、患者さんには、当院のような地域の病院でも標準的な治療が受けられることを知っていただきたいと思います。治療を受ける病院でお悩みの患者さんは、いつでも相談に来てください。

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