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大腸がん検診とは、大腸がんの疑いやその有無を調べるための定期検査のことです。
大腸がんは、大腸(盲腸などを含む結腸・直腸)に発生するがんで、日本のがんによる死亡原因のなかでも上位に位置します。大腸がんに罹患しても初期は症状がないことがほとんどのため、定期的に検診を受けることで早期発見にもつながります。
また、大腸がん検診を毎年受けた場合には33%、2年に1度受けた場合には13~21%、大腸がんによる死亡率が減少することが分かっています。
各地方自治体(市町村)の実施する大腸がん検診では、男女共に40歳以上の健康な人を対象に毎年検診を受けることが推奨されています。ただし、血便や腹痛、下痢、お腹の張り、便が細い、便が残る感じがするなどの症状が続く場合には、すぐに病院を受診して検査を受ける必要があります。
下記に当てはまる方は大腸がんのリスクがあるため、大腸がん検診を受けましょう。
大腸がん検診では、医師による問診のほかに便潜血検査という便に潜む、目には見えない血液の有無を調べる検査が行われます。
大腸にがんやポリープが発生すると、便が病変と接触して出血し、便に血液が混ざることがあります。進行がんなど病変が大きいときには血便が出ることがありますが、早期がんや良性ポリープの段階では、便に血液が混ざっていても基本的に目には見えません。便潜血検査では目には見えない、便に混ざったわずかな血液をも検知することができ、これによって大腸がんの可能性を調べることができます。
便潜血検査では検査前々日から当日までの3日間のうちの2日分(2回)の便を自宅で採取し、それぞれ別の検体容器に入れて当日提出します。採取には、採便用の棒を使って便の表面をまんべんなく擦る必要があります。
あらかじめ便を採取しておくだけのため、検査時間はかからず痛みもありません。また、検診費用はお住まいの市区町村や各医療機関によって異なります。
便潜血検査は便に血液が含まれているかを調べる検査のため、生理中などで明らかな出血がある場合には検査を受けられないことがあります。
検査に際して、便を採取する日や当日も特に食事制限はありません。また、当日は普段着で問題ありません。
大腸がん検診の結果は文書で通知されるのが一般的です。
便に血液が混ざっていない場合には“陰性”“-”“異常なし”、血液が混ざっている場合には“陽性”“+”“異常あり”などと表記されます。
検査で陽性となった場合には、大腸などで出血が起きていることを示します。陽性=大腸がんとは限りませんが、出血の原因を詳しく調べるには精密検査が必要になるため、陽性であった場合には速やかに精密検査を受けるようにしましょう。
精密検査としてもっとも多く行われているのが大腸内視鏡検査です。この検査では下剤を用いて大腸内を空にした後、内視鏡(いわゆる大腸カメラ)を肛門から挿入し、盲腸から直腸まで直接観察し、がんやポリープなどの病変の有無を確認します。病変が見つかった場合には、その病変の組織を採取して悪性かどうかを調べます。
大腸の狭窄や癒着などで内視鏡が奥まで入らず、大腸全体を観察するのが難しい場合には、大腸CT検査が行われることもあります。大腸CT検査では肛門からガスを入れ大腸を膨らませた状態でX線撮影を行い、CT画像や3次元画像をもとに病変の有無を調べます。
大腸がんがあっても常に出血しているわけではないため、1度の便潜血検査で異常が見つかるとは限りません。一方で、便潜血検査で“異常あり”となっても、精密検査で大腸ポリープや大腸がんがない方も少なくありません。
大腸がんは早期に発見できると90%以上の確率で完治し、大腸がんによる死亡リスクを大幅に減少させることができます。過度に怖がらずに、早期発見、早期治療のために年に1度のペースで検診を受けるようにしましょう。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。