がんポータルサイトはこちら
インタビュー

膵臓がん増加の背景にあるのは高齢化?

膵臓がん増加の背景にあるのは高齢化?
舩越 顕博 先生

医療法人 愛風会 さく病院 内科

舩越 顕博 先生

この記事の最終更新は2016年01月21日です。

日本国内で膵臓がんに罹る人の数は年間に約3万人と推定され、そのうち膵臓がんで亡くなる人は同じく約3万人です。罹患者数と死亡者数がほぼ同じというのが膵臓がんの特徴で、医学が進歩した現代においても難治がんのひとつとして知られています。そんな膵臓がんの現状について、福岡山王病院の内科部長(当時)である舩越顕博先生にお話を伺いました。

肺がん胃がん大腸がん、肝臓がんに続いて、がん死の5番目に位置しているのが膵臓がんです。毎年、約3万人の人が膵臓がんに罹患していると推定されていますが、それとほぼ同じ数の人が膵臓がんで死亡しています。

膵臓がんで治療が望めるのは早期の段階で発見された場合のみで、 完治(完全に病気を治すこと)を目指すには手術以外に方法はありません。しかし、切除可能な膵臓がんは全体の20~30%にすぎないのが現状です。

早期膵臓がんの定義というのは、はっきりと定められているわけではありませんが、一般的には、いわゆる腫瘍の大きさ(腫瘍径)が1㎝以下で、遠隔転移がないものとされています。早期の段階で発見されて手術ができたとしても、膵臓がんは再発を繰り返すことが多く、術後の5年生存率は約10~20%程度です。このあたりが膵臓がんは難治がんと呼ばれるゆえんでもあるのです。

膵臓は、おなかの奥にある臓器で、まわりを胃や十二指腸、小腸や大腸、肝臓などに囲まれています。そのため、早期発見に有効とされる超音波検査をしても、なかなかみつからないことがあるのです。通常の人間ドックなどでは、消化器をまんべんなく検査しなければならないため、膵臓だけをしっかりとみることはできません。また、超音波は施術する人の技術に大きく左右されることに加え、特に膵臓は位置的にも難しいところにあるため、異常を発見するのが非常に難しいのです。そのため、他の検査を受けて偶然に早期の膵臓がんが発見されたという人も決して少なくないのです。

これまで長いこと膵臓がんに取り組んできましたが、最近感じることは、膵臓がんに罹る人の平均年齢が高齢化していることです。21世紀前には罹患年齢の平均は65~66歳だったのが、21世紀以降では約71歳へと上昇しています。

日本は超高齢社会を迎えていますので、高齢化が膵臓がん増加のひとつの要因といえますが、その他にも診断技術の進歩も背景としてあるのだと考えます。しかし、いくら診断技術が進歩したとはいっても、未だ早期膵臓がんの発見は難しいのが現状です。ただ、画像診断の進歩で、膵臓がんと診断された後のステージング、つまり今がんがどの段階にあるのか、ということの診断がより正確にできるようになりました。

早期膵臓がんが発見されるきっかけは、たまたま偶然ということが多いとお話しましたが、まれに、急に糖尿病になったという時にみつかることがあります。特に50歳以上で突然糖尿病になったというような場合は要注意です。糖尿病は、血糖値の調節に必要なインシュリンの量や作用が低下して起こります。このインシュリンというホルモンを産生しているのが膵臓なのです。

膵臓がん患者さんは、糖尿病を併発していることが高い頻度でみられ、膵臓がんと糖尿病は「チキン&エッグ」とよく例えられます。膵臓が悪いと糖尿病になるわけですが、卵が先かにわとりが先かと同じで、糖尿病になったから膵臓がんになるのか、膵臓がんになったから糖尿病になるのか、ということは判断が難しいですね。実際のところ、統計的に判断するのは難しいですが、糖尿病の人はそうでない人よりも膵臓がんになるリスクは高まります。危険率は、糖尿病にかかっている人は、かかっていない人の1.8~2.1倍くらいです。

受診について相談する
「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。
この記事は参考になりましたか?
記事内容の修正すべき点を報告
この記事は参考になりましたか?
この記事や、メディカルノートのサイトについてご意見があればお書きください。今後の記事作りの参考にさせていただきます。

なお、こちらで頂いたご意見への返信はおこなっておりません。医療相談をご要望の方はこちらからどうぞ。

    実績のある医師

    周辺で膵臓がんの実績がある医師

    東京医科大学病院 消化器内科 主任教授

    いとい たかお
    糸井先生の医療記事

    2

    内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、心療内科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、消化器内科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、矯正歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、循環器内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科

    東京都新宿区西新宿6丁目7-1

    東京メトロ丸ノ内線「西新宿」2番出口またはE5出口 徒歩1分、JR山手線「新宿」西口 その他JR複数線、小田急線小田原線、京王電鉄京王線、都営新宿線なども利用可能 徒歩10分

    医療法人社団 藤﨑病院 理事長 院長

    ふじさき しげる
    藤﨑先生の医療記事

    1

    内科、血液内科、外科、脳神経外科、消化器外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、リハビリテーション科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、肝胆膵外科、肛門外科、放射線診断科

    東京都江東区南砂1丁目25-11

    都営新宿線「西大島」都営バス 門前仲町行き(都07)、葛西橋または葛西車庫行き(草28) 境川下車 徒歩3分 バス、JR中央・総武線「亀戸」都営バス 葛西駅行き(亀29)、門前仲町行き(都07)など 境川下車 徒歩3分 バス

    東京医科大学八王子医療センター 消化器外科・移植外科

    しまづ もとひで
    島津先生の医療記事

    1

    内科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、脳神経内科、老年内科、頭頸部外科、総合診療科、病理診断科

    東京都八王子市館町1163

    JR中央本線(東京~塩尻)「高尾」南口 京王バス 医療センター経由館ケ丘団地行き 医療センター下車  京王電鉄高尾線も利用可能 バス7分、JR横浜線「八王子みなみ野」無料シャトルバス運行 バス

    独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 一般・消化器外科 医長

    うらかみ ひでじろう

    国立病院機構 東京医療センターー低侵襲な医療を患者さんに提供することで地域医療に貢献する

    区西南部医療圏の医療を支える東京医療センターによる、前立腺がん・子宮体がん・胃がん.大腸がん・慢性中耳炎.真珠腫性中耳炎の治療をテーマにした特集です。

    内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、脳神経内科、放射線診断科、放射線治療科

    東京都目黒区東が丘2丁目5-1

    東急田園都市線「駒沢大学」 徒歩15分

    JR東京総合病院 院長

    こすげ ともお

    内科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、膠原病内科、脳神経内科、血管外科、総合診療科

    東京都渋谷区代々木2丁目1-3

    都営大江戸線「新宿」A1出口 京王新線・都営新宿線も利用可 徒歩1分、JR山手線「新宿」南改札・甲州街道改札・新南改札 徒歩5分、JR山手線「代々木」北口 徒歩5分、小田急線「新宿」南口改札 徒歩5分

    関連記事

  • もっと見る

    関連の医療相談が23件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「膵臓がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。

    メディカルノートをアプリで使おう

    iPhone版

    App Storeからダウンロード"
    Qr iphone

    Android版

    Google PLayで手に入れよう
    Qr android
    Img app