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食道がんにおけるステージの分類と治療の選択基準、および治療内容の実際

食道がんにおけるステージの分類と治療の選択基準、および治療内容の実際
山田 和彦 先生

国立国際医療研究センター病院  食道外科医長

山田 和彦 先生

目次
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初期の段階では症状が現れにくく、進行した状態で見つかることが多いといわれる食道がん。がんの広がり具合、リンパ節への転移の有無、遠隔転移の有無の三つの要素から定められているステージによって、おおよその治療方針が決まります。では、ステージごとに選択される治療の基準、および実際に行われている治療内容とはどのようなものなのでしょうか。

今回は、食道がんのステージと治療の選択基準、そして治療内容について、国立国際医療研究センター病院の山田(やまだ) 和彦(かずひこ)先生にお話を伺いました。

食道がんのステージは、がんの広がり具合(T因子)、リンパ節への転移の範囲(N因子)、遠隔転移の有無(M因子)の三つの要素から以下のように決められます。

食道がん

また、がんの広がり具合を示すT因子は、以下の基準で定められています。

  • T1a……がんが粘膜の中にとどまっている状態
  • T1b……がんが粘膜下層にとどまっている状態
  • T2……がんが固有筋層にとどまっている状態
  • T3……がんが食道外膜に広がっている状態
  • T4a……がんが食道周囲の組織まで広がっているが、切除できる状態
  • T4b……がんが食道周囲の組織まで広がっており、そのうえ切除ができない状態

ステージ

食道がんの治療は、内視鏡治療、外科治療、放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)の四つに大きく分けられ、ステージをもとに選択されます。また、患者さんの状態やステージによっては、それぞれの四つの治療法を組み合わせて治療を行う場合もあります。しかし、絶対的にステージのみで治療法が選択されるわけではありません。ステージのほか、患者さんの全身状態やそのほかに発症している病気(併存疾患)の有無なども踏まえたうえで治療方針を決めていきます。

0期の場合には、基本的に内視鏡治療が中心になります。しかし、がんの範囲が広いと思われる場合や内視鏡治療後の生活に支障があると考えられる場合には、別の治療法を適応することもあります。

Ⅰ期の場合には、基本的には手術治療が中心の治療になります。患者さんの状態によっては、手術治療と同等の効果があるとされる化学放射線療法*を選択する場合もあります。

*化学放射線療法:化学療法と放射線治療の併用療法のこと

Ⅱ、Ⅲ期の場合には、化学療法でがんを小さくしてから手術治療を行うのが標準的な治療とされています。しかし、患者さんの中には、手術治療を望まない方や体力的な面などから手術治療が適応とならない患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんの場合には、手術治療は行わずに、化学放射線療法もしくは放射線治療を選択することがあります。

Ⅳ期の治療においては、Ⅳa期とⅣb期のステージごとで推奨される治療法が異なります。Ⅳa期の場合には化学放射線療法、Ⅳb期の場合には化学療法が推奨されています。また、痛みなどが現れる場合には、その痛みに対する緩和的な治療が重要視されるようになります。

内視鏡治療は、スコープを体内に挿入して食道の内側からがんを取り除く治療法です。

主に、次の二つの方法が行われています。

・EMR(Endoscopic mucosal resection:内視鏡的粘膜切除術(ないしきょうてきねんまくせつじょじゅつ))……スネアと呼ばれるワイヤーを用いて高周波電流で切り取る治療法

・ESD(Endoscopic submucosal dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ))……病変部位にマーキングを行ったうえで剥ぎ取るように切り取る治療法

手術治療は、食道の頚部、胸部、腹部のどの部位にがんがあるかで、術式が異なります。また、手術治療後は食道の代わりとなる通り道を新しく作るために、再建の手術も行います。

手術

放射線治療には二つの目的があります。一つ目はがんの消失、二つ目はがんによる痛みなどの症状を抑えることです。

直接X線を放射することで、治療部位である声帯や食道、胃などの機能を妨げることなく、がんを小さくすることが期待できます。

化学療法にはがんを小さくする効果があります。全身に広がってしまっているがんに対しても、選択される治療です。

食道がんの場合には、化学療法を単独で行うこともありますし、ほかの治療法と組み合わせて行うこともあります。特に、手術治療と組み合わせて行われる場合には、治療前に取り入れられることが多いといえます。

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