Img searchbox
食道

食道がん

目次

食道がんとは

食道の内面を覆っている粘膜の表面の上皮から発生したがんのことを食道がんと呼びます。
食道は、喉と胃をつなぐ長さ約25㎝の管状臓器であり、肺や心臓よりもさらに背中側に位置しています。食道の内面を覆う粘膜から発生したがんは、大きくなるとその下にある粘膜下層、筋層にも入り込み、さらに食道の壁を貫いて食道の周りの組織(気管や肺、大動脈など)に広がってしまいます(このように直接がんが広がることを「浸潤」といいます」)。また、食道のまわりにはリンパ管や血管が豊富にあり、がん細胞はこれらの流れにのって離れた臓器に流れ着きそこで増殖を行います(「遠隔転移」といいます)。
2014年度に日本において食道がんで命を落とした方は1,1548名であり、これはすべての悪性腫瘍のなかで第9位でした。食道がんにかかる方の数は、近年男性で緩やかに増加傾向であり、女性では横ばいとされています。また日本では食道がんは男性に多くみられ、男女比はおよそ6:1とされています。40歳代後半から増加し60歳代に発生しやすいことも特徴です。食道がんには「扁平上皮がん」と「腺がん」という2種類の組織型(がん細胞の種類の違い)があります。日本では食道がんの90%以上は扁平上皮がんであり、残りの数%が腺がんです。一方で、欧米では腺がんが増加しており、現在は半数以上が腺がんとなっています。

こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/150821-000009-LMTQBL

原因

日本人に多い組織型である扁平上皮の食道がんの場合、「喫煙」と「飲酒」が大きなリスクとなります。さらに喫煙と飲酒習慣の両方がある場合、そのリスクは相乗的に増加することがわかっています。また遺伝子的にビール1杯程度で顔がすぐに赤くなったり、頭痛がしたりするいわゆるフラッシング反応を呈する人でこれを克服し大酒家となった場合には、食道扁平上皮がんのリスクが高いことが知られています。
一方、欧米に多い腺がんの場合には、胃食道逆流症(胃酸が食道側に逆流して食道に炎症を起こすこと)によって食道の組織が胃の組織に置き換わること(Barret食道)がリスクとなります。また肥満もリスクであるとされます。近年では喫煙者が減ることで扁平上皮がんが減ると予想される一方で、生活習慣の変化やヘリコバクター・ピロリ菌の除菌の普及によって(ピロリ菌を除菌することで胃酸がよく出るようになりBarret食道が起こりやすくなるとされます)腺がんが増加することが予想されています。
こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/150821-000009-LMTQBL

症状

食道がんは小さいうちは無症状であることがほとんどであり多くは上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)で偶然発見されます。そのため早期に発見することが難しいがんのひとつです。がんが比較的小さい場合には食べ物を飲み込んだときのしみる感じ、チクチクする感じを自覚することがあります。がんが大きくなってくると、食べ物のつかえる感じや嗄声(させい:声の枯れる感じ)、咳、体重減少などが見られるようになります。
こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/150821-000009-LMTQBL

検査

食道がんの検査には、診断を確定するために行う検査、がんの広がりをみるための検査、また全身の状態を評価するための検査の3つがあります。
①診断のための検査
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)を行います。口や鼻から内視鏡(胃カメラ)を挿入し食道の様子を直接観察します。がんの位置や大きさなどを調べると同時に、生検検査(がんの一部を採取して顕微鏡で調べがん細胞の種類を検査するものです)で診断を確定します。
②がんの広がりをみるための検査
CTスキャンやMRI、腹部超音波検査(エコー検査)、PET-CT検査などを行い、がんがどこまで広がっているかを評価します。まわりの組織にどの程度浸潤しているか、また遠くの臓器に転移があるか(遠隔転移)について見極め、がんの進行の程度を病期(ステージ)に分けます。
③全身状態の検査
治療にあたって全身の機能を調べます。心機能の検査、呼吸機能の検査、血液の検査、腎機能検査などが行われます。
こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/150916-000001-EYHDJP

治療

食道がんの治療は、進行の程度である病期(ステージ)に基づいて、患者さんごとの全身状態を考慮して決定していきます。
日本における食道がんのステージングについて、以下にお示しします。
【0期】 
がんが粘膜にとどまっており、リンパ節、ほかの臓器、胸膜、腹膜(体腔の内面をおおう膜)にがんが認められないもの
【Ⅰ期】
がんが粘膜にとどまっているが近くのリンパ節に転移があるものか、粘膜下層まで浸潤しているがリンパ節やほかの臓器さらに胸膜・腹膜にがんが認められないもの
【Ⅱ期】
がんが筋層を越えて食道の壁の外にわずかにがんが出ていると判断されたとき、あるいは食道のがん病巣のごく近傍に位置するリンパ節のみにがんがあると判断されたとき、そして臓器や胸膜・腹膜にがんが認められないもの
【Ⅲ期】
がんが食道の外に明らかに出ていると判断されたとき、食道壁にそっているリンパ節か、あるいは食道のがんから少し離れたリンパ節にがんがあると判断され、ほかの臓器や胸膜・腹膜にがんが認められないもの
【Ⅳ期】
がんが食道周囲の臓器に及んでいるか、食道のがんから遠く離れたリンパ節にがんがあると判断されたとき、あるいはほかの臓器や胸膜・腹膜にがんが認められたもの。
がんの深さが浅くてリンパ節に転移していない場合では内視鏡治療が一般的に選択されます。より深くにがんが達する場合には外科的治療の適応となります。このとき手術前にがんを小さくすることを目的として術前に化学療法や放射線治療を行うこともあります(このようにいくつかの治療を組み合わせて行うことを「集学的治療」と呼びます)。
外科的治療でがんが取りきれないと考えられる場合では、化学療法や放射線治療のみを行うこともあります。
・内視鏡治療
食道がんの治療のうち約15%で行われています。内視鏡(胃カメラ)を使ってがんを食道の内側から薄く削り取ります。内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があり、原則的にステージ0の食道がんに対して行われます。
・外科的治療
代表的な治療であり、食道がんの治療のうち約55%で外科的治療が行われます。心臓・肺・気管・大動脈など食道周りには重要な臓器がたくさんあり、また胸の奥側に位置しているため食道がんの手術は極めて大きな手術となります。食道がんの部分を切除したのち、再建(切除した食道部分を胃や小腸で使って補い新しい食べ物の通り道をつくること)も必要となるため、胸部だけでなく腹部の手術も必要となります。
・放射線治療
がんに放射線をあてることでがん細胞を死滅させます。がんを治すことを目的とした治療(根治治療)と、がんによる痛みや出血なを抑えたり、食べ物の通り道を確保しようとする治療(緩和治療)があります。主な副作用として吐き気、全身のだるさ、皮膚の変調などがあります。
・化学療法
いわゆる抗がん剤による治療です。異なる特徴を持った2つの抗がん剤を使用する2剤併用療法を中心としていますが、単剤(1剤)での治療や、最近では3剤での治療も広く行われるようになってきました。
近年では、腹腔鏡での手術(お腹にいくつかの小さな穴を開けそこからカメラや手術器具を挿入して行う手術)も行われるようになってきました。これはより患者さんへの手術の負担を減らすことが可能な術式ですが、2012年の全国集計においては術後の合併症が多くなっているということが明らかにされており、慎重に検討する必要があります。
そのほか、保険診療外(自費診療)とはなりますが、ロボット手術など新しい技術を用いた治療が一部の施設で行われており、今後の治療の向上が期待されています。
また予防についてが、食道がんはがんが小さいうちは症状が出にくいものですので、特に食道がんのリスクのある方(男性、高齢者、お酒に弱かったが飲めるようになった方、胃酸逆流による胸やけのある方)は検診などで内視鏡(胃カメラ)の検査を定期的に行うことは大切です。
こちらの記事も参照ください。
https://medicalnote.jp/contents/150821-000010-EQRFMH
https://medicalnote.jp/contents/150821-000011-CQVBXP

食道がんに関する記事一覧

もっと見る

この病気の記事に協力していただいている先生

病気検索に戻る