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しょくどうがん

食道がん

最終更新日:
2021年09月14日
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2021/09/14
更新しました
2017/04/25
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概要

食道がんとは、食道の内部を覆う粘膜の細胞から発生するがんのことです。食道は約25cm(成人の場合)の管状の臓器であり、口から摂取した飲食物を胃へ送り届けるはたらきを担います。食道がんは食道のどの部位にも発生する可能性がありますが、多くは中央付近に発生するとされています。

発症すると早期段階では自覚症状がないケースも多々ありますが、徐々に進行してがんが大きくなると食道が狭くなるため、喉のつかえ感や痛みなどの症状が現れるようになります。また、食道の壁は比較的薄い構造であるため、食道がんは周囲の肺や心臓、大動脈、気管などの重要な臓器を巻き込みながら成長していきます。そのため、食道がんは早期段階で発見できれば内視鏡治療や手術などによって治る見込みは高いとされていますが、進行した状態で発見された場合は極めて予後が悪いがんの1つでもあります。

また、食道がんは女性よりも男性のほうが5倍ほども発症しやすく、60~70歳で発症しやすいのも特徴の1つです。

原因

食道がんの主な原因は過度な飲酒と喫煙習慣だと考えられています。特に飲酒と喫煙の両方の習慣があるケースでは、食道がんにかかるリスクがより高くなることが報告されています。たばこの煙には多くの発がん性物質が含まれ、また飲酒によって体内で生じるアセトアルデヒドにも発がん性があるため、それらの物質にさらされやすい食道にがんが生じやすくなるのです。また、食道がんは温度の高い飲食物や逆流性食道炎などによる慢性的な食道粘膜への刺激によっても発症リスクが高まると考えられています。

症状

食道がんは早期段階ではほとんど症状がないとされています。

しかし、徐々にがんが進行して大きくなると、食道の内部が細くなるため飲食物が通りにくくなり、飲食時に胸や喉のつかえ感、違和感などを覚えるようになります。そのため、食事量の減少による体重減少が目立つようになるケースもあります。

また、食道は壁が薄いため、進行してがんがどんどん広がっていくと、肺・心臓・大動脈・気管・神経などの重要な器官に及ぶことで背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が現れることも少なくありません。さらに、食道がんは肺・肝臓・骨などに転移しやすく、肝機能低下による黄疸(おうだん)やむくみ、腹水貯留、呼吸困難感、骨の痛み、些細な刺激による骨折などの症状がみられることもあります。

検査・診断

食道がんが疑われた際には次のような検査が行われます。

食道内視鏡検査

食道内に内視鏡を挿入して内部を詳しく観察するための検査です。食道がんの診断に必須の検査であり、食道がんが疑われた場合は第一に行われる検査でもあります。

また、近年では内視鏡の先端に超音波装置が内蔵された機器も普及しており、微細な粘膜の変化やがんの広がり、周辺のリンパ節転移の有無などを詳しく調べるために用いられることがあります。

血液検査

貧血や炎症の有無など全身の状態を評価するために血液検査が行われます。また、食道がんを発症すると、SCCやCEAなどの腫瘍(しゅよう)マーカー(がんを発症すると体内で多く産生されるようになる物質)が高値となるため、診断の手がかりの1つとしてこれらの腫瘍マーカー値の測定が行われることがあります。

病理検査

食道がんの確定診断に必須の検査です。内視鏡検査などの際に採取したがんの組織の一部を顕微鏡で詳しく観察し、がんの細胞の有無やがんの細胞の種類などを確定することができます。

画像検査

がんの広がりや転移の有無を調べるため、CTやMRIなどを用いた画像検査が行われます。また、近年では微小な転移の有無を調べるために、PET検査が行われることも少なくありません。

さらに、食道の狭窄(きょうさく)の程度や飲食物の通過性の評価を行うため、造影剤(レントゲンに描出されやすくなる薬剤)を飲んで撮影する上部消化管造影検査を行うケースもあります。

治療

食道がんの治療方法は、がんの進行度や全身の状態によって大きく異なります。

がんが食道の粘膜層のみにとどまっている場合は内視鏡を用いた切除を行うことができます。しかし、このような早期の段階でもがんが食道の全周に広がっているような場合やがんが筋肉の層にまで及んでいるような場合は全身の状態を考慮し、手術による切除、放射線治療、抗がん剤治療などが行われます。

また、さらにがんが進行している場合は、手術前に抗がん剤治療を行ってがんを縮小させたうえで手術を行うことが多く、全身の状態が悪く手術が困難な場合には放射線療法や抗がん剤治療が行われます。

そのほか、食道がんは進行すると食道を狭窄するため飲食物を摂取することが困難になることも少なくありません。そのため、全身の状態が悪く手術などの積極的な治療ができない場合でも、食道内に金属製のステントを挿入して食道の狭窄を広げる治療が行われることもあります。

予防

上でも述べたように、食道がんの主な原因は喫煙や飲酒習慣です。喫煙習慣はほかのがんの発症率も大きく上昇させるため、現在喫煙されている人は禁煙外来などを利用して禁煙を目指すことがすすめられます。また、近年の研究では、飲酒によって体内で発生するアセトアルデヒドを分解する酵素が少ない人ほど食道がんの発症率が上昇することが分かっています。飲酒すると顔が赤くなりやすい人やお酒が弱い人は過度な飲酒を控えるようにしましょう。

さらに、食道がんは逆流性食道炎によって発症率が上がることも分かっています。逆流性食道炎は内臓肥満やコルセット、円背などによる腹圧の亢進(こうしん)、食道胃接合部にある筋肉の弛緩、食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニア、などが複合的に作用して胃内容物が逆流することで発症すると考えられています。そのため、肥満を予防するような食生活や運動習慣を心がけることも食道がんの予防につながります。

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