胆嚢がんの早期発見には超音波検査(エコー)が有効であることが分かっています(関連記事「胆嚢がんを早期発見ー超音波検査(エコー)が鍵となる」参照)。では、超音波検査のほかにはどのような検査が行われるのでしょうか。検査結果に基づいて診断に至るまでの流れについて、外科医であり、超音波検査もご専門の山王病院 一般・消化器外科の渡邊五朗先生にうかがいました。
胆管がんで胆管が閉塞している(詰まっている)場合は、肝機能障害のため血液検査で異常な数値が出る場合があります。しかし一般的には血液検査から胆嚢がんの兆候をとらえることはできません。また、胆嚢がんに特異な腫瘍マーカーというのもありません。
胆嚢がんが疑われる場合に最初に行うべき検査は超音波検査(エコー)です。胆嚢の中にできている腫瘍はもちろん、小さなポリープまで見つけることができます。
皆さんが定期的に受けている人間ドックなどで、胆嚢ポリープという診断名を見たことのある方がいらっしゃるかもしれません。胆嚢ポリープは超音波検査を受けた方全体の10〜20%ほどにみられますので、それ自体は珍しいことではありません。
胆嚢ポリープとは、胆嚢の内側の壁から飛び出すように小さな腫瘤(しこり)ができるもので、そのほとんどはコレステロールポリープです。
コレステロールポリープは、胆石ができるのと同じように、胆嚢の内側にコレステロールが沈着し、それに反応して壁が盛り上がっている状態です。大きさは5mm以下のものが大半で、急激に大きくなったりする心配はありません。しかし、ごくまれに悪性のものができる場合があり、これが胆嚢がんと呼ばれます。
超音波検査などの画像診断だけでは良性のポリープなのか、それともがんなのかを正確に見極めることはなかなかできません。そこで、ポリープが見つかった場合には、以下のような指針に基づいて注意深く経過をみていく必要があります。
5mm以下1年ごとに超音波検査(再検査)。
5〜8mm半年後に超音波検査(再検査)、その後1年ごとに経過観察。
8mm以上CT(X線によるコンピューター断層撮影)やEUS(超音波内視鏡)などエコー以外の検査も行ってコレステロールポリープの可能性を精査。
コレステロールポリープであることが確定的ならば半年から1年ごとの経過観察を5年。
コレステロールポリープであると確定できない場合は半年ごとの経過観察か手術を検討。
コレステロールポリープは散発的に小さなものができることが多いので、とくに単発で大きいものに注意。
がんと言っても急激に大きくなるものばかりではなく、ゆっくりと進行するものもあるため、最低でも5〜6年は経過をみる必要があります。
国際医療福祉大学 教授、東京大学 医学部肝胆膵・移植外科 非常勤講師
国際医療福祉大学 教授、東京大学 医学部肝胆膵・移植外科 非常勤講師
日本外科学会 外科専門医・指導医日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医・消化器がん外科治療認定医日本超音波医学会 超音波専門医・超音波指導医日本肝臓学会 肝臓専門医日本消化器病学会 消化器病専門医日本胆道学会 認定指導医日本肝胆膵外科学会 肝胆膵外科高度技能専門医
東京大学医学部、虎の門病院副院長を経て国際医療福祉大学教授を務める。消化器外科、胆膵を専門とし、超音波検査を主とした画像診断も専門とする。高度な技術が必要とされる胆膵領域において、へその傷だけで手術をする方法を独自に開発。診療、手術術式ともに、患者さんにやさしいことをモットーとする。
渡邊 五朗 先生の所属医療機関
関連の医療相談が11件あります
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