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インタビュー

患者さんに優しい膵臓がん治療を目指して

患者さんに優しい膵臓がん治療を目指して
舩越 顕博 先生

医療法人 愛風会 さく病院 内科

舩越 顕博 先生

膵臓がんは全ての悪性腫瘍の約2~3%を占めています。早期の診断が困難で、発見された時にはすでに進行していることが多く、難治がんのひとつです。昔は、診断されると3か月から半年程度で死亡することが多かった膵臓がんですが、抗がん剤などの登場で予後は確実に改善されているといいます。とはいっても、がん治療では苦痛を感じることも少なくありません。治療を受ける上での注意点などについて山王病院内科部長の舩越顕博先生にお話を伺いました。

消化器がんの中でもっとも予後(病気や治療などの見通し)不良ながんが膵臓がんです。医学が進歩した現代においても膵臓がんは早期発見が難しく、見つかった時にはすでに進行していることがほとんどです。

膵臓がん治療は、過去には手術による切除が唯一の標準治療とされ、切除不能な膵臓がんに対しては、臨床試験としてのみ薬物治療が実施されるという時代がありました。

しかし、2001年に日本において塩酸ゲムシタビン( GEM :商品名・ジェムザール)という抗がん剤が保険承認されて以降、膵臓がんに対するさまざまな臨床試験が行われるようになりました。GEMに続いてはS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシル :商品名・TS-1)の適応が承認され、さらには単剤療法と併用療法などを比較する臨床試験も行われ、患者さんにより優しく、しかも治療効果が期待できる抗がん剤が登場しました。

昔であれば、膵臓がんと診断されると3か月から半年で亡くなっていた患者さんが、今では長い方だと2年ほど生存期間を延長することが可能となりました。このように、膵臓がんの予後は確実に改善されましたが、とはいっても薬物療法はあくまでも延命治療の一貫でしかありません。

抗がん剤治療では苦痛を伴うことも少なくないため、より苦痛の少ない治療選択も必要です。例えば、切除不能で局所進行がある膵臓がんの1次化学療法(最初に投与する抗がん剤)としては、「GEM単剤療法」「S-1単剤療法」「FOLFIRINOX(オキサリプラチン、ロイコボリン、イリノテカン〈CPT-11〉、5-FUの4剤併用レジメン)療法」「GEM+nab-PTX(ナブパクリタキセル :アブラキサン)併用療法」の4つが推奨されています。

FOLFIRINOX療法とGEM+nab-PTX療法を比べてみると、GEM+nab-PTX療法は2時間程度の点滴で終わるのに対して、FOLFIRINOX療法は点滴で48時間かかりますので結構大変です。これらFOLFIRINOX療法とGEM+nab-PTX療法の治療効果については、正確に比較した臨床試験はありません。論文などでの生存率に関してはFOLFIRINOX療法の方が、多少成績がいいのですが、本邦での治験ではあまり治療成績に差はありません。となると、患者さんへの負担など総合的にみると、からだに優しく、治療効果も期待できる、GEM+nab-PTX療法となるため、このレジメンをお勧めしています。

また、治療に伴って発生するさまざまな副作用への対策も重要です。抗がん剤治療といって思い浮かぶもののひとつに吐気と嘔吐があります。吐気・嘔吐は、抗がん剤などによって脳の神経が刺激されることで起こり、抗がん剤治療を受けた患者さんの3人にひとりの割合でみられます。抗がん剤を投与して数時間で現れたり、数日間続いたりすることもあります。嘔気・嘔吐がある時には、安静を心がけ、食事についてはにおいの強いものを避けるなど日常生活を送る上での注意も必要です。

がん治療中でも食事をおいしく食べられることはとても重要です。治療がどうしてもつらい場合には、吐き気をコントロールする薬剤もありますので、医師や看護師に相談されるといいでしょう。

膵臓がんはがんの中でも痛みの強いがんとして知られています。そのため、痛みの緩和にも重視しなければなりません。他のがんも同じですが、痛みがあれば早めに痛み止めの薬を使うことも必要です。通常は、NSAIDs(エヌセイド)という非ステロイド性消炎鎮痛剤を使いますが、痛みが強い場合には、モルヒネなどの麻薬を使って痛みを和らげます。麻薬と抗がん剤を併用して投与することも多くみられます。

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