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インタビュー

公開日 : 2016 年 08 月 10 日
更新日 : 2017 年 10 月 17 日

大腸がんとは? 治療方法と腹腔鏡手術というニューノーマル

目次

大腸がんの治療方法は、がん腫瘍の大きさやステージ(がんの進行度)、患者さんの状態などを総合的に考慮して決定します。大腸がんに対する治療は外科治療・化学療法の単独、またはその組み合わせが基本となり、肛門管がんに対しては放射線療法も用いられます。早期がんの一部に対しては大腸内視鏡を用いた内視鏡的治療が行われることもありますが、大腸がんと診断された多くのケースでは「外科治療=お腹を切って病変を摘出する」手術になります。その中でも文字通りお腹を切って、病変を摘出する開腹手術と、最近行われることの増えた腹腔鏡手術があります。

テレビなどで取り上げられることも多くなった腹腔鏡手術ですが、一体どのような手術なのでしょう。引き続き横須賀共済病院 外科副部長の渡邉純先生に教えていただきました。

大腸がんの腹腔鏡手術とは?

腹腔鏡の手術風景

腹腔鏡

腹腔鏡手術を簡単に説明すると、お腹におおきな切開をおき内臓を直接みながら手術する代わりに、お腹に複数の穴を開け、そこに細い管を通します。その管に小さなカメラや電気メスを挿入し、モニター映像を見ながら手術する、というものです。開腹手術にくらべ患者を傷つける部分が少なく、その分、患者への負担を少なくすることが最大の目的です。

腹腔鏡手術の具体的な手順ですが、まずお臍のあたりの体壁(内臓を守るように囲んでいる皮膚・筋肉)を1cm程度切開し外套管(がいとうかん)と呼ばれる器具を挿入、そこから体内の様子をモニタリングするため腹腔鏡を挿入します。次に炭酸ガスを注入し腹部を膨らませることで、手術可能なスペースを確保します。この炭酸ガスは電気メスを用いても引火せず、また術後は体内に吸収されるので、身体に悪影響はありません。

その後、さらに数か所切開し外套管を設置したのち、鉗子や電気メスなど専用の器具を入れて病変の切除を行います。術者はモニターで患者の腹腔内の様子を見ながら手術を行います。

テクノロジーにより生まれた腹腔鏡手術は開腹手術に比べ歴史が浅く、そのためにメリット・デメリットが慎重に検証されてきました。従来がんの外科療法では開腹手術が一般的でしたが、腹腔鏡のメリットが顕在化してきた近年では大腸がんに対し腹腔鏡手術が適応されるケースも増えています。

しかし、腹腔鏡手術は術者の技量、チームとしての技量、習熟度に大きく左右される治療法であり、どのような症例に腹腔鏡手術を「適応」するかは施設によってまちまちです。

横須賀共済病院では大腸がんに対する腹腔鏡手術を得意としており、2015年においては大腸がん手術年間275件中、250件を腹腔鏡手術で行いました。

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大腸がん腹腔鏡手術の歴史

日本における腹腔鏡手術の歴史はまだ20年ほどと浅く、現在日本でパイオニアとの呼ばれる医師たちが、腹腔鏡手術が適応されつつあったアメリカで学んだ技術を国内に広めたことが始まりです。日本における大腸がんに対する腹腔鏡手術は、胃や肝臓など他の臓器に先んじて比較的広く普及しています。

日本における大腸がん腹腔鏡の手術の歴史は、適応を少しずつ広げながらも安全性を担保しつつげた歴史であるともいえます。新しい治療法ということで、当初は手術の適応を早期がんやステージの低いがんに制限しつつ、有効性の確認と安全性の確立を両立させながら徐々に適応の範囲を広げていきました。大腸がんにおける腹腔鏡手術の適応拡大の動きは現在でも続いています。

また消化器領域における腹腔鏡手術はがん治療だけにとどまらず、虫垂炎(盲腸)や腸閉塞、胃穿孔など緊急性の高い疾患に対しても適応が期待されています。

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