国立がん研究センター東病院 大腸外科長ならびに先端医療開発センター 手術機器開発分野長の伊藤雅昭先生が携わっているプロジェクトのなかに、株式会社A-Tractionでの腹腔鏡手術支援ロボットの開発があります。近年、医療機器開発では「医工連携」が進んでいますが、伊藤先生はベンチャー企業で医療機器開発を進めています。本記事では、医師のニーズに合った医療機器の開発について、ベンチャー企業で開発することのメリットについてお話しいただきました。
A医師がある医療機器を評価しても、B医師やC医師が評価しなければ医療機器は世の中に広まりません。一般的なニーズの見極めが非常に重要であると考えています。例を挙げるとすれば、「iPhone」です。当初は多くの方が新しい携帯電話の形に驚き、使わないとさえ考えていた方もいたのではないでしょうか。しかしいまや誰もが知っていて、多くの方に使われています。つまり、多くの方のニーズだったのです。このように医療機器も、多くの医師のニーズとなりうるものを開発していくことが重要なのです。私はA-Traction社と連携して腹腔鏡手術支援ロボットの開発を行っていますが、私の考える医療機器が多くの医師のニーズであるのかどうか、非常に楽しみなところではありますし、そのようなものを作らなければならないという責任も感じています。
日本の医療機器業界は黎明期です。医工連携(医学従事者と工学従事者の連携を深めること)が進み、よりよい医療機器の開発が進んでいます。医工連携によって優れた医療機器が開発されることもありますが、わたしはベンチャー企業で開発するという形をとりました。その理由は、医療機器の開発前の段階で、その医療機器が世の中に受け入れられるかどうかの判断ができるからです。
ベンチャー企業は、投資家から多額の支援をもらいます。投資家もベンチャー企業の掲げるプラン(医療機器)を評価しないと支援をしません。つまり、医療機器開発の計画段階で医師と投資家の目利きが働くのです。本当にこれから開発する医療機器が世の中に受け入れられるのかをとことん話し合うことができるのです。そういった意味で、ベンチャー企業で開発することには大きなメリットがあると考えています。
NEXTのなかの活動のひとつに、C-square(シースクエア)という活動があります。C-squareは国立がん研究センター、千葉大学、千葉県(行政)、千葉県産業振興センター(千葉県の中小企業)が連携し、地域発の製品化・事業化を促進するプロジェクトです。医師と企業が共同して製品を開発するもので、千葉県が全国に先駆けて取り組んでいます。このような取り組みが全国に広まることで、日本発のすぐれた医療機器の開発が活発化されるのではないかと期待できます。
国立がん研究センター東病院には、2017年に新しい病棟ができる予定です。新しい病棟ではNEXT(次世代外科・内視鏡治療開発センター)の開発フロアができる予定で、ますます東病院における医療機器開発が加速していきます。また手術室も増えますので、最先端の医療を多くの患者さんに提供できると期待しています。
国立がん研究センター東病院 大腸外科長、 国立がん研究センター/ 先端医療開発センター 手術機器開発分野長 、株式会社A-Traction 取締役、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 ストーマ認定士
国立がん研究センター東病院 大腸外科長、 国立がん研究センター/ 先端医療開発センター 手術機器開発分野長 、株式会社A-Traction 取締役、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 ストーマ認定士
日本外科学会 外科専門医・指導医日本内視鏡外科学会 技術認定取得者(消化器・一般外科領域)日本大腸肛門病学会 大腸肛門病専門医・大腸肛門病指導医日本癌学会 会員日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器がん外科治療認定医・消化器外科指導医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医日本臨床外科学会 会員
外科医としての経歴の多くを国立がん研究センター東病院で過ごす。大腸癌の中でも特に肛門に近い直腸癌 に対する外科治療のパイオニアとして 1000 例以上の症例経験を持ち、国内外での手術招聘も多数ある。ISR などの究極的肛門温存手術や先進的内視鏡手術の治療開発に従事し、近年では日本発の革新的手術機器開発 の中心メンバーとして活躍する。
伊藤 雅昭 先生の所属医療機関
関連の医療相談が14件あります
抗がん剤治療で癌が消える(画像で見えない)場合はありますか?
現在、直腸癌を切除して次に肝臓に転移した癌(今のところ1か所)の切除の前に抗がん剤治療を実施しております。抗がん剤治療の繰り返しで効果があり腫瘍マーカーの値が小さくなっております。今度MRI、CT検査で転移巣の状況を確認する予定です。そこで (1)腫瘍マーカーの数値だけを見ると標準値です。転移巣の癌が消えている可能性はありますか? (2)もし消えていた場合、切除しないと思いますが、どのような治療になりますか? 以上、宜しくお願い致します。
腹腔鏡手術後の傷口の化膿について
7/22に直腸の腹腔鏡手術を受けました。 7/29に退院、お腹の傷口はテープも取れて順調に治っていますが、六ヶ所の傷口のうち一ヶ所が傷口が開き化膿してるようです。その一ヶ所は元々火傷?のような傷口で他の傷口とは違う様相でした。最初は透明な液体がガーゼに染み出ていましたが、退院後一週間経ったあたりから黄色がかった液体が出てくるようになり、いまは傷口が開いたような感じになっています。 黄色がかった液体は異臭がするため、膿みと思います。 8/11に手術後の初外来のため主治医に見せようと思っています。 それまで今から中1日あるのですが、その間、傷口をどのようにしておけば良いかご教示くまさい。 例えばガーゼをして保護しておいた方がよいのか、それとも出来るだけ乾燥させた方が良いのかなど。なお、ガーゼをすると蒸れるのか、さらにジュクジュクしてしまいます。 傷口に痛みは無く、傷口の周りが炎症を起こしているようなこともありません。 いまは日中は乾燥させ、就寝時は衣服で擦れるためガーゼをしています。
直腸がんステージ1(内視鏡手術済)の多部位への転移はある?
会社の健康診断の便潜血検査で陽性が出た為大腸ファイバースコープ検査をし、その際ポリープがあったとの事でその場で切除してもらいました。その後切除した部位の病理検査をしていただき僅かに粘膜下まで浸透したステージ1の直腸がんであると告げられました。その際医師から早期に発見出来ラッキーだった、切除したので完治してると思うけど念の為 がんセンターを紹介するので再診してほしいとの事で昨日行って来ました。なんだかぶっきらぼうな医師で6月9日に胸部から骨盤部のCTを撮り多部位への転移がないか確認するとの事になりました。私もその場でちゃんと聞けば良かったのですが、①CT検査がそもそも1か月半も先で大丈夫なのか、②もし転移していたらどうなるのか③ステージ1の直腸がんは治るのかお教え下さい。毎年会社の健康診断は受けており今まで特に悪い所もなく普段も至って普通に元気に生活しておりそれだけにショックです。
結腸癌について
母親なのですが 2週間近く排便がなく 検査したら 12月始めに 結腸癌3型と診断されました それから1週間に 1回から2回のペースで 通院しながら検査していて 26日に開腹手術となりました 開腹して癌が 進行していたら すぐ閉じると言われた みたいなんですが 癌が発覚してから 手術までの日数が かかりすぎてると思い 開腹して手遅れで閉じた ってなったら もっと早く開腹手術を していればって 絶対思うと思います 癌の発覚から手術までの 日数は これぐらいでしょうか 母親が 必ず癌に負けず 完治するのを願っています
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