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インタビュー

公開日 : 2016 年 04 月 18 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

大腸がん手術における機能温存と腫瘍学的な治療の両立

東京大学 腫瘍外科・血管外科 教授  東京大学医学部附属病院 大腸・肛門外科および血管外科 科長  東京大学医学部附属病院 副院長
渡邉 聡明先生

  1. 大腸がんの中でも発生頻度の高い直腸がんの手術では、狭い骨盤内に重要な血管や神経が張り巡らされているため、排便・排尿機能や性機能が障害される場合があります。東京大学腫瘍外科・血管外科教授の渡邉聡明先生は、大腸がんにおける腹腔鏡手術のエキスパートとして、患者さんの負担が少ない低侵襲な手術を追求するとともに、機能を温存しながらがんをより確実に治す治療に取り組んでおられます。機能温存の面でも期待される手術支援ロボット「da Vinci®」の可能性について、渡邉聡明先生にお話をうかがいました。

手術支援ロボットda Vinci®が直腸がん手術に適する理由

ロボット手術の利点は、直腸のような入り組んだところでより発揮されると考えます

骨盤に囲まれた狭い空間で、非常に自由度の高い鉗子(かんし・ロボットアームの先に装着された手術器具)を使えるので、手術が行いやすくなります。特に腹腔鏡では到達しにくいような奥のほうであっても、ロボットアームには関節機能があるので到達しやすいという利点があります。

側方郭清術における神経温存

このようなロボット支援下手術の利点から我々が期待しているのは、側方郭清(そくほうかくせい)に有効なのではないかというところです。側方郭清というのは狭い骨盤内の入り組んだところや細かい血管のあるところで、腫瘍の転移を防ぐためにリンパ節を郭清(全てを取ること)することをいいます。そういった処置を行うときには、やはり関節の自由度が高い道具を使うことが、腹腔鏡に比べると行いやすいのではないかという期待があります。

また、ロボットで側方郭清を行うと神経の走行(動き)をより詳しく見ることができます。神経を傷つけることなく完全に残して機能障害を回避できれば、たとえば術前の放射線照射をせずにロボット手術に置き換えることが可能なのではないかという意見もありますが、たしかにその可能性もゼロではないでしょう。

しかし、ロボットで非常に繊細な手術が可能になったとはいえ、何らかの処置を行う以上、神経への影響がまったくないとは言い切れません。術前放射線照射では骨盤内の神経に一切触ることがないので、それが原因で神経の機能を損なうことはありません。ロボット手術で側方郭清を行なえば、神経を温存できるため影響は少なくなるといわれていますが、神経にまったく触らないというところまで精密にできるかどうかはわかりません。

ロボット手術は導入されてからまだ歴史が浅いため、その点についてはまだ細かいデータが揃っていません。しかし、方向性として機能障害をより少なくするために、ロボット手術が有用な選択肢になる可能性はあります。もちろん、腹腔鏡で手術がやりにくい部分については、ロボット手術が期待されるところです。

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