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インタビュー

ISR(括約筋間直腸切除術)の技術を広めるために

ISR(括約筋間直腸切除術)の技術を広めるために
伊藤 雅昭 先生

国立がん研究センター東病院 大腸外科長、 国立がん研究センター/ 先端医療開発センター 手...

伊藤 雅昭 先生

この記事の最終更新は2016年04月13日です。

前の記事「直腸がんにおけるISRの有用性-肛門機能の温存が可能」で、肛門機能を温存するためにISR(括約筋間直腸切除術)が有用であることを説明しました。一方で、ISRは難易度の高い手術であり、患者さんが安全に手術を受けられるようにするには、ISRの技術を広めることが重要です。国立がん研究センター東病院 大腸外科長ならびに先端医療開発センター 手術機器開発分野長の伊藤雅昭先生に、ISRの安全の担保について、腹腔鏡手術の有用性についてお話しいただきました。

肛門は、お腹側からみると最も遠いところに位置しています。また人間の骨盤は狭く、特に男性の骨盤は女性の半分程度しか広さがありません。そのためISRは非常に難易度の高い手術です。ですから、学会などでISRの有用性を知ったすべての医師が容易にできる手術ではありません。今後は、患者さんがこの難易度の高いISRを安全に受けられるように、医師への技術の普及が非常に重要であると考えています。

ISRには腹腔鏡手術が有用であるといわれています。

近年、ISRの安全性を高める方法としてISRを腹腔鏡手術で行うことが増えています。腹腔鏡手術は、5mm〜1cmの小さな穴を下腹部に4〜6カ所あけて、その穴からカメラや鉗子(かんし・物をつかんだり引っ張ったりするために用いる手術器具)などの器具を挿入して手術を行います。狭いところでもカメラで拡大して見ることができるというメリットがあります。

1999年に国立がん研究センター東病院でISRを初めて行ったときは開腹手術で行われました。しかし、先述したとおり骨盤の奥底の肛門の手術を人の手を入れて行うのは非常に困難でした。その後2003年にはじめて私が腹腔鏡手術でISRを行いましたが、手術時間・出血量ともに改善が必要な結果でした。そのため当時は多くの医師から批評されることもありましたが、現在はISRこそ腹腔鏡手術によって、クオリティのよい手術ができると多くの医師のコンセンサスになりつつあります。

このコンセンサスを科学的に証明するために、現在ISRの腹腔鏡手術の臨床試験が行われています。全国約70施設から300例の日本の患者さんに協力いただき、ISRを腹腔鏡手術で行うことの有効性を示しています。2017年までには結果が出る予定です。

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  • 国立がん研究センター東病院 大腸外科長、 国立がん研究センター/ 先端医療開発センター 手術機器開発分野長 、株式会社A-Traction 取締役、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 ストーマ認定士

    伊藤 雅昭 先生

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