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インタビュー

公開日 : 2017 年 01 月 01 日
更新日 : 2017 年 11 月 30 日

一人でも多くの肝臓がん患者を救うために。「世界の幕内」が語る外科医としての信念

血流に富む肝臓は、臓器内や多臓器の転移性がんが広がりやすいという、難しい性質を持っています。「世界の幕内」、「レジェンド」と呼ばれる日本赤十字社医療センター長、幕内雅敏先生は、100個近くの転移性がんの摘出術や5kgを超える肝臓がんの切除術、さらには50時間を超える生体肝移植など、まさに限界を極める肝臓手術の数々を成功させてきました。

難しい肝疾患を抱える患者さんの命を繋ぎ続けてきた幕内先生の「信念」とは何か、これまでのご経験を交えながらお話しいただきました。

時代とともに変わる肝臓の病気-肝疾患の歴史

減少するB型肝炎・C型肝炎が原因の肝臓がん

私が肝臓外科医としてスタートを切った1970年代の主たる肝疾患は、B型肝炎でした。その後、国を挙げて母子感染予防対策がとられ、1981年にはB型肝炎のワクチンが開発されたことで、母子感染によるB型肝炎は急速に減少しました。

1988年には、アメリカでC型肝炎のウイルスが同定され、1990年代に入ると、C型肝炎の治療薬としてインターフェロンとリバビリンが登場し、併用療法が行われるようになりました。

近年では新薬も認可され、C型肝炎の治癒率は9割を超えるまでになっています。

過去には肝臓がんの主要な原因は、B型肝炎とC型肝炎でしたが、今から3年ほど前に、私達の手術例のB型肝炎及びC型肝炎が原因で生じる肝臓がんが、その他の原因による肝臓がんを下回ったのです。これは、肝疾患の歴史において、非常に大きな変化といえます。

肥満とアルコール由来の肝臓がんに注意!1日に飲んでよいお酒の目安量

日本酒

現在肝臓がんの原因として増えているのは、アルコール性、もしくはメタボリック症候群などが引き起こす非アルコール性の脂肪肝です。

内臓脂肪が溜まると、アディポサイトカインが産生され、それが門脈から肝臓に入り込んで炎症を起こします。現時点では、このようなメカニズムによって肝臓がんが引き起こされると推測されています。太り過ぎないことは肝癌の予防にも大変重要です。

「お酒を飲みすぎないこと」も肝疾患の予防のために大切です。

日本肝臓学会が掲げる1日に飲んでよいアルコールの目安量は、純粋なアルコールで20CCです。これを基準として考えると、日本酒ならば1日1合程度、ワインであれば1日200ml(グラス2~3杯)程度、ビールは1日400ml程度にとどめたほうがよいといえます。私自身も時々ビールのレギュラー缶(350ml)を飲むことがありますが、アルコール度数が5%のものの場合、1缶だけであれば健康に大きく影響を与えることはないでしょう。

お酒を飲む方は、この数字をみてあっという間に飲んでしまう量だと驚かれたかもしれませんが、飲み過ぎには注意して「適度」に嗜んでいただきたいとお伝えしたいです。

1993年、世界初の成人間の生体肝移植に成功

長野の山々

1990年、私は肝移植に挑むため、国立がんセンターから信州大学へと移りました。当時は「都落ち」などと揶揄されたものですが、実際には日本に古くから根付く「山にこもって修行をする」という概念を実践することができ、医師として非常に充実した日々を送ることができました。

自然に囲まれた信州では、他事に惑わされることなく患者さんと向き合うことができます。だからこそ、信州大学において、世界で初めての成人間生体肝移植にも成功したのだと考えます。

難しい手術に臨む前には、何か月もかけ練習と論文を読んで勉強を徹底します。信州大学での生体肝移植手術の前にも動物を用いて練習をしました。私が生体肝移植を行ったブタは、当時近隣の動物園に展示され、信州の皆さんに元気な姿をみせていたようです。

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