【インタビュー】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 ba8c3794 ae3e 4afa 8b3b 078854725df5
肝臓がんの手術とは? 手術の種類と術後の再発率や生存率
肝臓がん根治の方法として、肝切除や肝移植などの手術(外科治療)があります。しかしその一方で肝切除などを行っても、再発率が高いことも知られています。肝臓がんの手術の種類や再発率、生存率について、久...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

肝臓がんの手術とは? 手術の種類と術後の再発率や生存率

公開日 2017 年 01 月 20 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

肝臓がんの手術とは? 手術の種類と術後の再発率や生存率
奥田 康司 先生

久留米大学病院 肝胆膵外科部門 教授

奥田 康司 先生

肝臓がん根治の方法として、肝切除や肝移植などの手術(外科治療)があります。しかしその一方で肝切除などを行っても、再発率が高いことも知られています。肝臓がんの手術の種類や再発率、生存率について、久留米大学病院肝胆膵外科教授の奥田康司先生に解説していただきました。

肝臓がんの手術(外科治療)の種類

ラジオ波焼灼術(しょうしゃくじゅつ)

ラジオ波焼灼術

ラジオ波焼灼術とは、腫瘍を電極針で穿刺し、ラジオの周波数に近い高周波の電流を腫瘍のなかに流すことで発生する熱によってがんを死滅させる方法です。腫瘍径が2cm以下の早期の肝臓がんでは標準的治療となっています。また、治療ガイドラインでは3cm以下、3個以内のものであれば適応があるとされています。電極針の穿刺は一般に超音波装置でガイドしながら開腹せずに行われますが(経皮的焼灼術)、部位的に経皮的穿刺ができない場合、あるいは難しい場合は開腹下に行われます。

肝切除

肝臓がんの手術として最も多いのが、がんの発生した部位の肝臓を切除する肝切除です。肝切除はある程度大きな病変や、多発していても一定の個数以下であれば切除できます。

肝移植

肝硬変により肝機能が低下している肝臓がんに対しては、肝移植が行われます。脳死臓器提供の少ない日本においては、ほとんどが身内の健康な方から肝臓の一部を提供していただく生体肝移植となりますが、ドナーの適用条件の問題などから、実際に肝移植を受けられるのは肝移植希望者の25%程度です。

肝移植は肝切除と違い術後に免疫抑制剤を服用するため、がん免疫も低下させます。ですから再発のリスクが高いために比較的進行度の小さいがんの場合に行われます。腫瘍径(腫瘍の大きさ)が単発の場合5cm以内、多発の場合は3cm以内かつ腫瘍の個数が3個以内(ミラノ基準)で、かつ肝硬変を合併し肝機能が低下していることが肝移植の標準的適応となります。

ミラノ基準内であれば他の肝臓がん治療と比べて圧倒的に治療成績がよく、ミラノ基準外の病変であってもダウンステージングなどで小さくできれば非常に治療効果の高い治療法です。

肝臓がんの手術以外の治療は化学療法ー肝動脈塞栓術と肝動注化学療法

手術以外での肝臓がんの治療は、化学療法が主になります。肝動脈を塞いでがん細胞を死滅させる肝動脈塞栓術や、肝動脈に抗がん剤を少量ずつ注入してがんの増殖や転移を抑える肝動注化学療法が、肝臓がんの化学療法でよく用いられる治療法です。

他に、ネクサバール®という肝臓がんに効果のある分子標的薬(抗がん剤の一種)を使用しての治療も挙げられます。これらの化学療法を用いてがんを手術可能な大きさまで縮小させるダウンステージングという方法もあります。

高度進行肝臓がんのダウンステージングや肝動脈塞栓術、肝動注化学療法、ネクサバール®については記事1『肝臓がんが進行したら?肝臓がんのダウンステージング』をご覧ください。

肝臓がんの再発率とステージごとの生存率

肝臓がんは再発しやすいが治りやすく比較的生存率の高いがん

肝臓がんには2種類あります。肝細胞そのものに発生した原発性肝臓がんと、大腸など肝臓以外の臓器で発生したがん細胞が肝臓に転移する転移性肝臓がんです。

原発性肝臓がんは再発率が高いことでも知られています。肝切除後の再発率は1年後で23%、5年後で74%と他のがんに比べても高いです。特にいったんがんを完治させても同じ肝臓に新たに発生するがんを多中心性発がんといい、肝臓がんが再発した患者さんの少なくとも半数はこれにあたると考えられています。

多中心性発がんは転移と異なり、再度別個にがんが発生したという状況のため、早期に発見・治療できれば問題ありません。そのため肝臓がんは再発しても再発後の生存率が高いのです。ですから、再発したからといって悲観的にならずに早期に適切な治療を受けることが大切です。

肝臓がんのステージごとの生存率

 

肝がん切除例のステージ別の術後生存率を表したグラフ
肝臓がんのステージごとの生存率 奥田先生提供

久留米大学病院で手術を受けた肝臓がん患者さんのステージごとの生存率を示します。()内は日本肝癌研究会の同時期の成績です。

ステージⅠの5年後生存率は88%、ステージⅡは69%、ステージⅢは61%、ステージⅣAは35%と、いずれも日本肝癌研究会の成績を上回っています。特に最近ステージIII、IVの成績が良くなってきており、外科治療、化学療法、局所療法、そしてダウンステージングなどさまざまな治療法を集学的に行った結果が徐々に出てきているといえるでしょう。

肝臓がんは集学的治療が有効である

先に述べたように、肝臓がんは再発率が高いがんです。しかし早期に発見・治療していけば再発後の長期生存も期待できます。また、ステージⅢ、ステージⅣの高度進行がんではひとつの治療法にこだわらずに、他科とも連携しさまざまな治療法を進めていく集学的治療が非常に重要です。早期の肝臓がんであればラジオ波焼灼術や肝切除、肝移植など、肝切除ができない高度進行がんでは肝動注化学療法や肝動脈塞栓術などを行いながら、患者さんの肝臓がんの経過をみて適切な集学的治療を行っていくことが医療者には求められています。

患者さんも肝臓がんの治療を考えたときは、集学的治療ができるか、他科との連携がじゅうぶんにできているか、さまざまな治療法を提案してもらえるかなどをポイントに、肝臓がんの治療を受ける病院を探すと満足いく治療ができる可能性が高まるでしょう。

 

肝臓がん(奥田 康司先生)の連載記事

久留米大学肝胆膵部門 教授。全国平均を大きく上回る肝臓がんの治療成績を残し、日本の肝臓がん治療を支えている。「世界に冠たる日本の肝臓がん治療に携わっていることを光栄に感じています。25年以上進行肝臓がんに対する治療を行ってきましたが、最近の治療成績の向上には目を見張るものがあります。進行癌であっても諦めないことが大事。」

関連記事