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肝臓がんに対するRFA(経皮的ラジオ波焼灼術)とは?

肝臓がんに対するRFA(経皮的ラジオ波焼灼術)とは?
寺谷 卓馬 先生

NTT東日本関東病院 肝胆膵内科部長

寺谷 卓馬 先生

目次
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肝臓がんに対する治療法のひとつに、RFA(経皮的ラジオ波焼灼術)という治療法があります。RFAはラジオ波によってがんを壊死に導く治療で、お腹を大きく切る必要がなく、患者さんの身体的負担が少ない治療法です。

今回は年間350例以上の症例数を誇る*、NTT東日本関東病院の肝胆膵内科/ラジオ波治療センター 部長である寺谷卓馬先生にRFAについてご解説いただきます。

*355例(2018年1月~2018年12月の施行数)

RFAとは?

RFA(radiofrequency ablation:経皮的ラジオ波焼灼術)とは、肝臓がんの中に直径1.5mmほどの電極針を刺し、電極周囲をラジオ波により誘電加熱することで、がんを壊死させる治療法です。原発性肝がんのほか、当センターでは転移性肝がん(肝臓以外に発生したがんが肝臓へ転移したもの)に対してもRFAを実施しています。

RFAのメリット

肝臓を切除する必要がなく、身体的負担が少ない

肝臓がんの患者さんは肝機能の低下を伴っていることが多く、がんに対する治療だけでなく、肝機能をいかに温存できるかによっても予後が大きく左右されます。さらに、再発時の治療に備えるという点でも、肝機能は可能な限り温存することが重要です。

RFAは外科手術と違い、肝臓を切除する必要はありません。肝機能を温存することができ、身体的負担が少なくて済むことは、RFAの大きなメリットといえます。

再治療を容易に行うことができる

再治療が容易であることも、RFAの大きなメリットです。1度のRFAでがんを焼灼し切れなかったり、治療時間が長くなってしまったりする場合には、数日後にあらためて再治療を行うことが可能です。

RFAの適応

寺谷先生

RFAの一般的な適応としては以下の通りです。

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  • 病変が切除不能または患者さんが切除を希望しない
  • 病変が3cm以下で3個以内、あるいは5cm以内で単発
  • 血小板5万/mm3以上
  • プロトロンビン時間50%以上
  • 総ビリルビン3.0mg/dl以下

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リスクへの対処を行ったうえで、適応に捉われないRFAを実施

当センターでは、RFAを行うことで生存率の向上に少しでもつながると考えられる場合には、患者さんの状態などに応じて、一般的な基準に捉われないRFAを実施しています。病変の大きさや個数などによって制限することも基本的にはありません。

血小板が5万/mm3以下の場合には、血小板を増やす薬剤(経口血小板産生促進剤)を処方したり、血小板輸血を行ったりします。また、プロトロンビン時間が50%以下の場合には、新鮮凍結血漿の輸血を行ったうえで、RFAを行います。

そのほか、透析治療中の患者さんやペースメーカ移植後の患者さんはRFAのリスクが高いという理由から、RFAを実施しない病院も多くあります。しかし当センターでは、これらの患者さんに対しても、リスクへの対処を行ったうえでRFAを実施しています。

人工胸水・人工腹水の使用

RFAが困難な位置にある病変に対しては、人工胸水や人工腹水を使用することでRFAを行っています。これは、胸腔内または腹腔内に人工的に水(5%ブドウ糖液)を注入する方法です。人工胸水・人工腹水を使用する目的は、以下の通りです。

<人工胸水を使用する目的>

  • がんが横隔膜のすぐ下にある場合、肺によって超音波の描出が妨げられることを防ぐ
  • 穿刺する経路に肺があり、そのまま穿刺してしまうことによって起こる気胸などの偶発症を防ぐ

<人工腹水を使用する目的>

  • がんと消化管または隣接する他臓器を分離して、熱損傷による偶発症を予防する
  • 肝臓の表面にあるがんと腹膜を分離し、超音波の描出の改善や焼灼に伴う疼痛を緩和する
  • がんと横隔膜を分離し、超音波の描出の改善や疼痛を緩和する

このように、人工胸水や人工腹水を用いることによって、RFAができないといわれた患者さんに対しても、RFAができるように取り組んでいます。

RFAの方法

それでは当センターにおける、RFAの具体的な治療法についてお話しします。

治療前日までに行うこと

出血の危険性が増す薬剤を内服している場合には、治療前に休薬する必要があります。また先述したように、血小板やプロトロンビン時間が適応基準よりも低い場合には、経口血小板産生促進剤の投薬や輸血を行います。

RFAの流れ

治療開始前に点滴を開始し、治療直前から鎮痛剤などを点滴から注入します。RFAは局所麻酔下で行うため、治療中の意識は保たれます。治療中は血圧・脈拍・酸素飽和度を定時的に測定した状態で行います。

イラスト

穿刺部位付近の消毒をしたあとに、両側の大腿部(太ももの部分)に対極板を貼り付けます。その後、超音波で病変の位置を確認します。このとき、必要に応じて体位を変換したり、先ほどお話しした人工胸水・人工腹水の作成を行ったりします。

局所麻酔を行い、超音波ガイド(誘導)のもと電極を病変に挿入します。1か所の焼灼にかかる時間は約6~12分で、直径約2~3cmまでの範囲が壊死します。このとき、みぞおちの部分や右の肩に痛みを感じることがあるため、痛みの程度によっては鎮痛剤の注射を追加します。病変の大きさや個数によっては電極を何回かに分けて挿入します。治療にかかる時間は症例によって異なりますが、通常1~2時間程度です。

治療終了後

RFA終了後は、原則として術後4時間は絶対安静・禁食としています。術後4時間後も翌朝までは出血を防ぐため、ベッド上で安静にしていただきます。室内トイレへの歩行以外は控えていただくようにお話ししています。

RFAの治療効果の判定

治療翌日以降に腹部造影CT検査を行い、治療効果の判定を行います。検査の結果、追加で治療が必要と判断した場合には、全身状態が改善次第、再度RFAを行います。肝臓がんの大きさや個数、存在する場所によっては複数回の治療が必要となる場合があります。

また、後述する偶発症により入院期間が延長する場合もあります。退院後、術後2週間は旅行や激しい運動などは避けていただくようにお願いしています。

RFAの偶発症

出血、肝膿瘍、消化管穿孔(しょうかかんせんこう)、播種など

RFAは身体的負担の少ない治療ではありますが、偶発症*が発症するおそれは少なからずあります。偶発症によっては、命を落としたり、後遺症を残したりする危険もあります。また、偶発症の治療のために特別な処置や手術が必要となる場合もあります。主な偶発症としては、以下のものがあります。

*偶発症…検査や治療に伴って起こる別の症状

出血

腹腔内や胸腔内、胆道から出血が起きたり、皮下に血腫(血液がたまった状態)ができたりすることがあります。

肝膿瘍(かんのうよう)

がんではないところの壊死部に、胆管からの細菌感染が起こることを指します。

消化管穿孔(しょうかかんせんこう))

消化管を直接穿刺してしまったり、消化管に通電や熱伝導が起こったりすることによって、消化管穿孔(せんこう)(穴が開くこと)が生じることがあります。

播種(はしゅ)

針を挿入した経路や腹膜にがん細胞が付着することで、新たにがんが発生することを指します。

当センターではこれらの偶発症に対して予防策を講じ、早期に診断・治療することによって偶発症の予防・軽症化に努めています。

肝臓がんの患者さんへメッセージ

NTT東日本 関東病院ラジオ波治療センターの医師   左から金崎峰雄先生、寺谷卓馬先生、大西俊彦先生
NTT東日本 関東病院ラジオ波治療センターの医師 
左から金崎峰雄先生、寺谷卓馬先生、大西俊彦先生

少しでも治療の可能性がある限り諦めないでほしい

当センターのポリシーは、限界にとらわれない「No Limit」の治療を行うことです。患者さんが諦めない限り、医師である私たちが先に治療を諦めることはありません。

しかし、残念ながら現実問題として、患者さんよりも先に医師が治療を断念してしまう病院も少なくありません。ですから患者さん自身が「諦めない」という気持ちを強く持ったうえで、あらゆる病院の情報収集を行い、治療を受ける病院を決定していただきたいと思います。